無礼な態度は伝染する。(クリスティーン・ポラス)
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態度や言動は伝染する?
恐ろしいことに無礼な態度は伝染するとクリスティーン・ポラスは、Think CIVILITY(シンク シビリティ) 「礼儀正しさ」こそ最強の生存戦略であるの中で指摘します。無礼さはウイルスのように人から人へと伝染していくので注意が必要です。
たとえば、ある企業の本社内のあるオフィスで誰かが誰かに無礼な態度を取ったとします。すると、その悪影響は知らない間に、廊下にも、3つ上のフロアにも、休憩室にも伝染していくのです。影響を受けた人はその後、社外の人、顧客などとも接することになり、誰も気づかないうちに、無礼さの影響が世の中に広がっていくのです。
一人の嫌な振る舞いが、世の中をより不親切に、より不寛容にし、すべての人の元気や楽しさを奪っていくのです。一人の上司が無礼な行いをするだけで、その会社の業績を悪化させることもあると著者は述べています。
ただ、無礼な態度だけでなく、良い態度も同じように伝染していきます。
良い態度も悪い態度も、その影響はまったく同じように広がる。つき合いの中にちょっとした優しさ、ちょっとした無礼があると、その人たちが属する組織、集団の中にさざ波のように広がっていく。同じネットワーク内にいる人ならば、その態度を取った人に直接関わらない人たちも影響を受けるということだ。
同じ集団に属する誰かが無礼な態度を取ると、無意識のうちに人は必ずその影響を受けることを忘れないようにしましょう。
また、脳のある部分が活動をすると、神経細胞のネットワークを通じ、その活動の影響は脳内の別の部分に広がることがわかりました。たとえば、あなたが誰かから送られた無礼な内容のメールを読むと、脳内の一部がそれに伴って活動をすることになります。以前に直接、あるいは間接的に見聞きした無礼な行動の記憶と結びついた部分が活性化され、自分の行動に悪影響を及ぼします。そうなると、通常よりも他人の無礼さに対する感受性が鋭くなるのです。脳の状態がこのように変化すれば、物事の判断や意思決定に必ず影響が及びます。通常ではやらないような判断、意思決定をすることで、人間関係を悪化させてしまうのです。
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良い態度を心がけ、良い空気を伝染させよう!
エリザベス・ロフタスとジョン・パーマーが1970年代に行った実験の結果を見ると、直前の体験が実際に人の判断に影響を与えることがわかります。被験者をグループに分け、自動車の衝突事故を撮影した映像をいくつか見せました。そして、衝突する前のそれぞれの車の速度がどれくらいだったと思うかを質問しました。
見せる映像と質問はどのグループでも同じでしたが、使う言葉はグループごとに変えました。ひとつのグループでは、「車が『ぶつかった』時、速度はどのくらいだったか」と尋ねましたが、他のグループには「ぶつかった」のところを「激突した」あるいは「衝突して大破した」などに変えて質問したのです。より強い言葉を使って質問をされた被験者は、そうでない被験者より、車の速度を高く言うという傾向が見られました。ロフタスとパーマーは、強い言葉が使われると、人は無意識に車の速度を高めて、その言葉に影響を受けた行動をしてしまうのです。
オフィスの中で誰かが無礼な態度を取るのを見た直後には、そうでない場合に比べ、同じ態度を見てもより無礼と感じやすくなる可能性がある。無礼な態度を体験すると、無礼な態度への感受性がより高くなるのである。その人が元来、敏感な人かどうかは関係ない。直前に無礼な態度を見たことで、無礼な態度により注意が向くようになっているだけである。
このような無礼な言動の悪影響は短時間のうちに広がりますし、影響はその言動のあとも長期的に続きます。
礼儀正しい言動にも同じことが言えることがわかっています。あるバイオテクノロジー企業を対象に著者が同僚とともに実施した調査によれば、一部の社員がほんの少し礼儀正しい行動を取るだけで(たとえば、思いやりのある言葉をかける、微笑みかける、話をしている時に途中で遮らないなど)、相手の社員もすぐに同様のことをするようになるとわかりました。そして短時間のうちに全体に礼儀正しい行動が広まるのです。
著者はワシントンDCのレーガン空港のアラス力航空の社員の立ち居ふるまいがヒントになると言います。その態度は、周囲のすべての人を良い気分にさせるし、皆に良い影響を与えているそうです。寒さが厳しいひどい天候の日でも、乗客がいらだって無茶な要求をしてきた時でも、その社員の態度は常に素晴らしい対応をすると言います。彼女は誰に対しても、敬意をもって微笑みながら接します。その結果、アラス力航空の乗務員も、乗客も、空港に来る前よりも良い気分になって目的地に向かうことになるのです。アラスカ航空は顧客満足度の高い航空会社として有名ですが、一人の笑顔が周りに伝染し、同社の接客にに良い影響を及ぼしているのかもしれません。
ルイジアナ州の大病院にオクスナー・ヘルス・システムでは、礼儀正しい態度の影響力を重要視し、それを最大限に活かすために病院公式の「ガイドライン」を策定しています。「10/5ウエイ」と名づけられたこのガイドラインでは、誰かと10フィート(約3メートル)以内に近づいたら目を合わせ、微笑みかけること、5フィート(約1.5メートル)以内に近づいたら「こんにちは」と声をかけることが定められました。このガイドラインが実際に運用され始めると、病院内にはすぐに礼儀正しい態度が広まりました。患者の満足度も向上し、「この病院がいい」という推薦を受けて来る患者も増え、病院の業績にもこの「10/5ウエイ」が貢献しているのです。
礼儀正しく思いやりのある態度に接すると、そのあとには優しさ、喜びが周囲の多くの人に広がっていきます。私たちの一人ひとりが些細な行動に注意し、温かく、互いのことを認め合える雰囲気、皆に元気を与える空気を作り出すことができます。そして、態度を変えることは、今日から、今からでもできるのです。礼儀ある態度を伝染させ、周囲の人を幸せにするようにしましょう!
まとめ
態度が周りに伝染することがわかっています。あなたがほんの少し礼儀正しい行動を取るだけで、他者に影響を与え、すぐに彼らも周りの人に礼儀正しく接するようになります。短時間のうちに全体に礼儀正しい行動が社内やグループに広まります。このルールを信じて、礼儀正しく行動するようにしましょう!
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