ユヴァル・ノア・ハラリの21 Lessons: 21世紀の人類のための21の思考の書評

テクノロジー革命を先導する企業や起業家は当然ながら、自らの所産を褒めそやしがちだから、警鐘を鳴らし、物事がとんでもない方向に進みうる可能性を余さず説明するのは、社会学者や哲学者、そして、私のような歴史学者の責務となる。(ユヴァル・ノア・ハラリ)

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バイオテクノロジーとITの融合がもたらすもの

歴史学者のユヴァル・ノア・ハラリ21 Lessons: 21世紀の人類のための21の思考が面白い!サピエンス全史で人類の「過去」を、『ホモ・デウス』で人類の未来を描いた著者は、今回は「現在」をテーマにし、私たちの生き方を問うています。

特にテクノロジーの進化は凄まじいものがあります。AIや5G、ロボティクス、バイオテクノロジーなどの技術は、私たち人類を果たしてどこに連れていこうとしているのでしょうか?民主主義の行き詰まり、地球温暖化、貧富の格差、フェイクニュースなど深刻な社会課題がいくつもあり、私たちはそれらを解決できずにいます。

ITとバイオテクノロジーの双子の革命は、経済や社会だけでなく、私たちの人生大きく変えていくはずです。私たちは自分の内側の世界を制御することも、生命を操作したり作り出したりすることもできるようになります。過去のホモ・サピエンスにはできなかったこと、脳を設計したり、寿命を延ばしたり、自分の考えを抹殺したりする方法を手に入れるはずです。

バイオテクノロジーが自分自身を作り変えるという新しい体験が起こり始めていますが、私たちはそれに耐えられるのでしょうか?AIやロボティクスが私たちの働き方を変え、失業するリスクが高まります。働き方が進化する中、普通の人はその変化に追いつけなくなります。私たちの心は乱れ、マインドフルネスや哲学に頼る人も増えそうです。

バイオテクノロジーとITが融合したら、民主主義は現在のような形ではなく、独裁国家、管理型の国家が当たり前になるかもしれません。実際、中国ではカメラによる監視社会が安心・安全な街を作り、国民がそれを容認しています。人類は近い将来「データ至上主義」に取り込まれ、アルゴリズムの支配下に置かれると著者は指摘します。

間もなく、権限は再び移るかもしれない人間からアルゴリズムへと。神の権限が宗教的な神話によって正当化され、人間の権限は自由主義の物語によって正当化されていた。それとちょうど同じで、来るべきテクノロジー革命はビッグデータアルゴリズムの権限を確立し、同時に個人の自由という考えそのものを切り崩すかもしれない。

やがてバイオテクノロジー革命とIT革命が融合すれば、私たちの感情を上手にモニターし、理解するビッグデータアルゴリズムが誕生します。やがて権限は人間からコンピュータにシフトします。自分の行動はアルゴリズムに決定され、国家もそれを強制するかもしれません。アルゴリズムに支配されることで、徐々に自ら決定する能力を失っていきます。新しい民主主義を人が作れなければ、私たちは「デジタル独裁国家」で生きるはめになります。

ビッグデータアルゴリズムは、自由を消し去りかねないばかりか、同時に、かつてないほど不平等な社会を生み出すかもしれません。あらゆる富と権力が、ほんの一握りのエリートの手に集中する一方で、ほとんどの人が搾取で苦しみます。そして、それ以上に残酷なことが起こります。多くの人たちが存在意義を喪失し、自分の人生を生きられなくなるという苦しみを味わうのです。

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データをどう管理するかで、未来が変わる?

AIが普及すれば、ほとんどの人の経済価値と政治権力が消滅しかねない。同時に、バイオテクノロジーが進歩すれば、経済的な不平等が生物学的な不平等に反映されることになるかもしれない。超富裕層はついに、自分の莫大な富を使って本当にやり甲斐のあることができるようになる。これまで彼らが買えるものと言えば、ステータスシンボルがせいぜいだったが、間もなく彼らは生命そのものを買えるようになるかもしれない。寿命を延ばしたり、身体的能力や認知的能力をアップグレードしたりするための治療や処置には多額のお金がかかるようであれば、人類は生物学的なカーストに分かれかねない。

20世紀は平等を目指す社会でしたが、21世紀は不平等が進み、私たちは新たなカーストを生きる可能性が高まっています。生物工学とAIの普及の組み合わせという、この二つの過程の相乗効果によって、一握りの超人の階級と、彪大な数の無用のホモ・サピエンスから成る下層階級に二分されるのです。

上位のカーストが「文明」を自称するものの中に集まり、壁や堀を建設して、外の「野蛮人」の群れからその文明を隔絶し、世界は非グローバル化することさえあるかもしれないと著者は指摘します。21世紀のAIと生物工学とナノテクノロジーを頼みとするポスト工業化文明では、階級、国家や大陸までもが存在意義を失います。ドローンやロボットで守られた文明人が住むエリアと野蛮人が住むエリアに分かれ、お互いの行き来はなくなり、新たなカーストは固定します。

新たなカーストを生み出さないためには、データの所有を明確にする必要があります。誰がデータを支配するかが重要になり、政治はデータの流れを支配するための戦いと化すことになりそうです。

長期的には、巨大なデータ企業は十分なデータと十分な演算能力を併せ持つことで、生命の最も深遠な秘密をハッキングし、そうして得た知識を使って私たちのために選択をしたり私たちを操作したりするだけでなく、有機生命体を根本から作り直したり非有機生命体を創り出したりできるようになりうる。

私たちの体や脳からバイオメトリックセンサーを通してスマートマシンへ流れるデータが増えるにつれて、企業や政府機関は人の体と脳の難解なメカニズムを解読し、それによって生命を創り出す力を獲得していきます。そのような神のような力を一握りのエリートが独占するのを防ぎたければ、そして、人間が生物学的なカーストに分かれるのを防ぎたければ、肝心の疑問は、誰がデータを制するかを明らかにすることです。
 
この数年でGAFAにデータを渡すことのリスクに多くの人は気づきはじめました。データは土地や機械とは違い、どこにでもあると同時にどこにもなく、光速で移動でき、好きなだけコピーを作れれます。ですから、私たちはデータの所有をどう規制するかという問題に注意を向けた方がよいのです。新たなカースト制を防ぐためには、データの管理を怠らず、企業や国家に権限を与えないことです。

まとめ

私たちは、近い将来「データ至上主義」に陥ることで、アルゴリズムの支配下に置かれる危険性があります。データを一部の支配層に預けることで、21世紀は不平等な世の中になり、新たなカーストが生まれる可能性があります。データの管理を怠ることで、私たちの未来を暗くしてしまうのです。

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この記事を書いた人
徳本昌大

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
IoT、システム開発のビズライトテクノロジー 取締役
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数 

■著書
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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