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Third thinking 最先端の脳科学・心理学研究が証明した“最強の思考法”
著者:影山徹哉
出版社:あさ出版
本書の要約
直観(速い思考)と意識思考(遅い思考)だけでなく、Third Thinkingと呼ばれる無意識思考を活用しましょう。この「無意識思考」は、複雑な意思決定において「速い思考」「遅い思考」のどちらよりも優れた思考であることが、科学的に証明されています。
「Third thinking」(無意識思考)とは何か?
実は私たちは、意思決定に行き詰まったとき、あえて意思決定の対象とは何の関係もない活動に従事し、決定を先延ばしするということを、日常的に行っています。そうして先延ばしにしているうちに、ふとひらめきが訪れる瞬間を迎えるのです。そして、この「一旦考えるのをやめたあと、別のことをしているときに急に思いつく」という思考は、先に挙げた「速い思考」「遅い思考」のどちらにもあてはまりません。いわゆる「思考を寝かせてから決める」というまったく別の思考法です。(影山徹哉)
私たちの人生は選択の連続です。日々、様々なことを決め、行動しています。結婚や就職など大きな選択だけでなく、朝食に何を食べるか?どんな洋服をきるかなどの小さな意思決定を繰り返しています。私たちはよい決定をするためにじっくり考えることもあれば、直感に頼る場合もあります。ノーベル経済学賞を受賞した、アメリカの行動経済学者ダニエル・カーネマンは、人間の思考には、以下の2つがあると言います。(参考 ファスト&スローの書評)
1、速い思考(システム1)/直観的に素早く決める
2、遅い思考(システム2)/じっくり考えて決める
しかし、近年、最先端の科学では、このほかに「システム3(第三の思考)~Third thinking」があることが提唱されています。この「システム3(第三の思考)~Third thinking」を著者の影山氏は無意識思考”と呼びます。真剣に考えた後で、散歩や入浴など別のことをやっているうちに、突然ひらめきが生まれることがあります。この思考が「自分では意識できない思考」(Third thinking)なのです。
この無意識思考の研究はまだ新しいもので、アメリカのカーネギーメロン大学と著者の研究の2例しかないそうです。この無意識思考を積極的に活用することで、私たちは本来自分が持ってる素晴らしい能力を開花できます。
この「無意識思考」は、複雑な意思決定において「速い思考」「遅い思考」のどちらよりも優れた思考であることが、科学的に証明されています。 この思考法によって、ビジネスの意思決定から、進学、就職、結婚など生活における意思決定まで、これまで以上にベストな選択ができるようになると著者は述べています。また、「無意識思考」を活用することで、創造性も向上することがわかっています。
音楽の天才モーツァルト、文豪ヘミングウェイなどといった世界的偉人は、この無意識思考を使って偉業を成し遂げてきた可能性が高いと言います。GAFAなど世界的大企業の発展の影にも、この無意識思考の存在があります。AIにも負けない周囲をあっと驚かせるようなアイデアを生み出すことが、この思考によって生まれきます。クリエイティブに生きるために、この無意識思考を活用しましょう!
無意識思考の3つの重要な要素
無意識思考のためには、以下の3つの要素が欠かせません。
①「起動」させる時間が必要
注意を問題の対象からそらすことで、無意識思考が働き、解決のためのアイデアがもたらされます。
②他の何かに注意を向ける
無意識思考のスイッチは、休憩など何もしない状態だと入りません。「課題に取り組む」という行動がなければ、 無意識思考はスタートしないのです。その課題は、難しい課題よりも簡単な課題の方が、より無意識思考の効果が大きくなります。無意識思考をうまく活用したいなら、難しいことはやらないほうがよさそうです。妨害課題として、類推課題などの難しい課題ではなく、「好きな音楽をiPodで聴く」という課題で実験してみたところ、被験者は、好きな音楽を聴いたときのほうが、良い選択をしました。つまり、無意識思考でいい結果を出したいのなら、自分にとって楽しいことや、 気持ちのいいことを行うほうがよいのです。
③目的を明確にする
無意識思考は、文字通り無意識に行われるものですが、そのためのトリガーとして意識的に「目的意識」を持っておく必要があります。単に情報をつめこみ、放っておけば、勝手に良い選択、良い結果がひらめくというわけではありません。無意識思考を起動させるためには、目的意識を、自分自身が明確に持っておくことがとても重要です。 自分は何を決めなければならないのか?という点が明確になっていないまま、無意識思考を行おうと別の課題に向かっても意味はありません。
第三の思考である無意識思考はもちろんのこと、第一の思考である直観(速い思考)、そして第二の思考である意識思考(遅い思考)の2つもまた、私たちにとっては無意識思考と同じくらい必要で、あたりまえの思考だということです。問題解決、意思決定に対するアプローチは、これら3つの思考を武器として、課題に合わせて臨機応変に対応させながら、こなしていくことが重要です。
1、直観(速い思考)=意思決定の対象となる課題が与えられたあと、時間をかけず即座に意思決定をする方法。
2、意識思考(遅い思考)=課題が与えられたあと、時間をかけてじっくり考える方法。
3、無意識思考=課題が与えられたあと、その課題から一旦離れて、まったく関係のない課題に従事してから、意思決定を行う方法。
無意識思考では、課題から離れたあと、意識的に何かに従事しなければなりません。何かに従事しておかないと、十中八九、課題について意識的に考えてしまいますから、結果的に意識思考になってしまうのです。 もうーつの注意事項は「目標設定」です。 通常、意思決定では、何らかの課題があり、それについて目標を設定します。
たとえば、「どの人物を採用するか」が課題としてあるなら、その目標は「自社の組織に一番フィットする人物を選択しよう」となります。そして、この目標設定なしには、無意識思考は機能しません。
正しい意思決定をするための原則は以下の3つです。
1、基本的には直観を使い時間をかけない
2、数値化できるもの、定量的なものは意識思考を使い合理的に判断する
3、複雑で難しい意思決定は無意識思考を活用する
難しい課題の場合には、直感や意識思考に頼るのではなく、Third Thinking(無意識思考)を活用し、正しい選択を行いましょう。無意識思考で正しい選択をすることで、結果を出せるようになり、幸福度も高まります。
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