優れたマーケターがネオフィリアを狙う理由。セス・ゴーディンのTHIS IS MARKETING ディスイズマーケティング 市場を動かすの書評


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THIS IS MARKETING ディスイズマーケティング 市場を動かす
著者:セス・ゴーディン
出版社:あさ出版

本書の要約

マーケターはまず、新たし物好きのネオフィリアを狙うべきです。優れたマーケターは、自分が提供する変化を望んでいる人を探して熱狂を起こし、変化を望む人たちどうしのネットワークを作っていきます。小さなマーケットを生み出し、ストーリーの力でそれを大きくするのが、マーケターの仕事なのです。

まずは、小さなマーケットを狙え!

最小の成長可能な市場であれば、消費者を自由に選べるということだ。消費者は、ある特定のシンボルを探している。最小の成長可能な市場をうまく選べは、その市場の人たちが探しているシンボルは、大勢の人たちに役立っているものとはかなりちがうはずだ。逆に考えれば、変化を起こしたいのなら、いちばんに成長可能な最小の市場に乗り出し、革新的なポジションをとる必要がある。(セス・ゴーディン)

セス・ゴーディンTHIS IS MARKETING ディスイズマーケティング 市場を動かす書評を続けます優秀なマーケターはいきなり大きなマーケットを狙いません。彼らはある特定のシンボルを探している小さな集団にターゲットを絞ります。

革新的なプロダクトやサービスは、まずイノベーターをつかまえることからスタートしましょう。よりよいプロダクトを探している新しモノ好き(ネオフィリア)を味方につけるのです。最も小さなマーケットに絞り、そこにいる顧客を熱狂的なファンに変えていくことが、優秀なマーケターの仕事なのです。

有名なアップルのスーパーボウルの「1984」をテーマにしたコマーシャルは、これが真実であることを私たちに思い出させてくれます。難解なメッセージをすぐさま理解したニュースキャスターやコンピュータオタクたちは、そのエサに飛びついて噂を広めました。アップルの広告チームは、マスを狙うのではなく100万人に関心を持ってもらえれば十分だと考えていたのです。彼らは100万人に向けた広告をつくり、それ以外の人は無視したのです。

100万人から世界中に知れ渡るまで30年、時価総額数千億ドルの企業になるのに30年かかりました。それができたのは、アップルの技術が優れていただけでなく、シンボルの活用法が見事だったからなのです。アップルは今でもいたるところでシグナルを発しています。ターゲットにした人たちだけが、理解できれば十分というクリエイティブで、熱狂的なファンを生み出しているのです。

マーケターがネオフィリアと行動を共にする理由

怠慢なマーケターは派手な広告で熱狂を起こそうとする。ところが、優れたマーケターは、自分が提供する変化を望んでいる人を探して熱狂を起こし、変化を望む人たちどうしをつなぐ。こうして起こった変化こそ、マーケターが求めるものだ。

ネオフィリアは誰よりも先に行きたい人たちで、希望と可能性と魔法をほしがっています。彼らは新しいプロダクトやサービスが成功するスリルと、失敗するかもしれないというリスクを楽しんでいます。周りの人たちに、自分が見つけた真新しいプロダクトを紹介することが、ネオフィリアの喜びなのです。

「人の行動を観察すると、多くのことを学べる」とセス・ゴーディンは言います。あなたの信念(プロダクト)を受け入れてくれる人を見つけたら、自分の信念をふたたび思い返すようにしましょう。あなたについて誰かに話したくて仕方のない人がいたら、話のネタを提供し、彼らをファンにするのです。人を観察し、話を聞いて、何を誰に提供するのかを決めることで、可能性のある小さなマーケットを見つけられます。

「私たちが事業を続けられるように、私たちのために動いてくれる顧客のためである」たくさんの人に尽くしても、利益をもたらしてくれるのはわずかな人でしかない。最高の仕事をするには、少数の人を探し出して喜ばせたほうがいい。その見返りとして得られるのは、自社商品やサービスを買い込んでくれる忠実な顧客だ。

小さなマーケットからスタートしたパタゴニアは戦略・戦術ともに秀でています。パタゴニアの戦略は、衣服の質にこだわるだけでなく、環境に配慮するよう少数の人に考え方を再定義させることでした。この考えを周りの人に伝えてもらうのに活用できる名前(ラベル)とツールを社内と社外の人に提供することで、彼らは成功しました。当時、環境を意識する人は少数派でしたが、今では多くの人がパタゴニアを支持しています。

パタゴニアらしさを表現することが、同社の戦術になっています。衣服の新しいリサイクル方法を探すこと、レンガづくりの建物に店舗を構えること、材料や品揃えや価格を決めることなど、顧客がパタゴニアを説明できるような仕掛けがなされています。パタゴニアのことを好きになった人が、彼らのマーケティングを担当し、商品を口コミしてくれるようなストーリーが考えられているのです。

セス・ゴーディンは絶えずマーケターに2つのことを問いかけます。
①これは誰のため?
②これは何のため?

この答えを見つけたマーケッターは、顧客のための優れたストーリーを考えます。彼らは、顧客が何をどのように語るのか、プロダクトやサービスを使ったあとの顧客の言動も予測して、マーケティングプランを作成しています。ネットワーク効果でモノが売れる時代には、その基盤を生み出すことが重要です。まずは、小さなネットワーク作り、それを大きくすることから成功を目指しましょう。メトカーフの法則を信じて、ネットワークを生み出し、そのつながりをより大きく、より強固なものにするのです。そのためにファンが周りの人に話したくなるストーリーを考えましょう。

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この記事を書いた人
徳本

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数
iU 情報経営イノベーション専門職大学 特任教授 

■著書
「最強Appleフレームワーク」(時事通信)
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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