ジョン・メディナのブレイン・ルール 健康な脳が最強の資産であるの書評


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ブレイン・ルール 健康な脳が最強の資産である
著者:ジョン・メディナ
出版社:東洋経済新報社

本書の要約

様々な研究から、社交的になることで脳の状態を維持できることがわかっています。逆に孤独になることで、脳の老化が早まるだけでなく、早死にするリスクも高まります。脳の健康を維持したければ、若いうちからダンスや太極拳をすべきだと著者は指摘します。

脳を守るための「10のブレインルール」

老年まで脳の活発さを保つには、アンデス山脈の高所から流れ落ちる川のように、勢いのあるライフスタイルが必要とされる。(ジョン・メディナ)

「100年人生」を楽しく過ごすためには、身体の健康だけでなく、脳の健康も欠かせません。いくら体が健康でも、脳がボケたら、自分の人生をつまらなくするだけでなく、家族にも犠牲を強いることになります。

年をとると脳のニューロンは衰え、つながりを失い、あるいは、単に機能しなくなります。しかし、この脳の老化には個人差がありますから、年だからと言ってあきらめる必要はありません。また、最近の研究によると、人間の脳は非常に反応力があることがわかってきました。脳は加齢と共に起こるシステムの崩壊を自ら、修復できるのですから、以下のルールを実践し、自分の脳を守るようにしましょう。

著者は自分の脳を守るための「10のブレインルール」を紹介しています。
1、友だちを作ろう。友だちになってもらおう
2、感謝する習慣を身につけよう
3、マインドフルネスは脳を静めるだけでなく改善する
4、学ぶのに、あるいは教えるのに、遅すぎるということはない
5、脳をテレビゲームで鍛えよう
6、「わたしはアルツハイマー病になったのか?」と疑う前に、探すべき10の兆候
7、食事に気をつけて、運動しよう
8、思考を明晰にするために、十分な(しかし、長すぎない)睡眠をとろう
9、永遠に生きることはできない、少なくとも今のところは
10、引退は絶対にやめよう、そして、郷愁を大切にしよう

今日は第1のルールである社交性について考えてみたいと思います。

社会的な活動が脳の老化を遅らせる!

社会的な活動は、老いていく脳にとってはビタミンやミネラルのようなもので、その効果は絶大だ。インターネット上の交流でさえ優れた効果がある。

研究者のブライアン・ジェームズは、ラッシュ大学アルッハイマー病センターの疫学者で、認知症でない高齢者1140人の基本的な認知機能と社交性について調査しました。まず、被験者になった高齢者の社交性を点数で評価し、その後、12年間にわたって、認知機能の低下の度合いを計測しました。その結果、最も社交的なグループは、最も社交的でないグループに比べて、認知機能の低下率が70パーセントも低いことが明らかになりました。

ある有名な研究では、1万6600人の社交的な人と社交的でない人の記憶力の低下率を6年にわたって調査しました。その結果、社交家の記憶力の低下率は、非社交家の半分ほどだったのです。他のある研究では、たった10分、他者と交流しただけで、情報処理能力とワーキングメモリ「作業記憶」が向上することがわかりました。

著者は他者との交流が活力を高める理由は2つあると言います。
1、ストレスの軽減
社交的になることで、体は全般的に健康になり、加えて、免疫システムも強化されます。

ストレスを減らすことは、免疫系にとってとりわけ重要である。免疫系は年をとると自然に衰えるが、ストレスが多いと衰えが加速する。今ではその理由もわかっている。免疫系の重要な武器の一つは、T細胞と呼ばれる、侵入者と戦う一群の細胞だ。T細胞は、あなたが(切り傷などの)傷を癒やしたり、(風邪やインフルエンザなどの)感染症から回復したりするのを助けている。しかし、結婚生活がうまくいかなかったり、慢性的なストレスを抱えたりして、コルチゾールなどのストレスホルモンの濃度が高まると、T細胞は死ぬ。実のところ、ぎすぎすした結婚生活を送る人は、幸せな結婚生活を送る人に比べて、傷が癒えるまでにかかる時間が1.4倍も長い。それに、風邪もひきやすい。

インフルエンザがはやる寒い季節でも、外に出て人と触れあい、人の中で過ごす時間が長いお年寄りの方が、ひとりで過ごしがちなお年寄りよりも、風邪や病気にかかりにくくなります。ポジティブな社会的相互作用によってストレスが軽減され、脳の老化を防げるようになります。

2、社交性が脳の鍛錬につながる
社会的な交流が老化を防ぐもう一つの理由は、人とつきあうには相当のエネルギーが必要とされ、それが脳にとって格好のトレーニングになります。

社会的交流は大仕事であり、それをこなすには、大量の生化学的エネルギーが必要とされます。研究者の中には、社会的交流は脳が意識的に行う仕事の中で、最も複雑で、最も多くのエネルギーを要すると、確信する人もいます。サイエンス・ライターのチェルシー・ウォールドは、「体を鍛えたら筋肉が増えるように、社交によって認知的な負荷をかけることで、脳を強化できるのではないか」と考えているほどです。

全身炎症が老人の脳をダメにする!

前頭葉のある領域の灰白質が大きくなる。甘いシェイクがウエストを太くするように、人間関係は前頭葉を太らせるのだ。前頭葉とは額のすぐ後ろにある大きな領域で、脳の中央まで続いている。この領域は、「メンタライジング」や「心の理論」と呼ばれるものに関係している。

メンタライジングとは、他者の心の状態、特に動機や意図を察知する能力で、人間関係を確立し維持するうえで大きな役割を果たしています。前頭葉は太らせて、幸せにしておいた方が良いことがわかっています。扁桃体は、耳の上方に位置するアーモンド形の部位で、感情の処理に関与し、社会的活動の影響を受けます。社会的ネットワークが大きいほど(そして、流動的であるほど)、扁桃体は大きくなります。社会的ネットワークの人数が3倍になると、扁桃体の大きさは2倍になります。

多くの人と交流していても、それがネガティブなものなら健康に悪いので、人間関係には注意を払う必要があります。複数の研究から、健康に良いのは、交流する人の総数ではなく、個々の交流の質だということがわかっています。

脳にとってプラスになる交流をしたければ、常に相手の立場になって考え、自分とは異なる見方を理解しようとすることです。先ほどのメンタライジングとは「自己中心的になるな」という言葉を科学的に言い換えたものです。 

さまざまな世代の人とつきあうと、自ずと多様な考え方に触れることになる。その結果、聴く音楽が変わるかもしれないし、これまでとは違うジャンルの本を読むようになるかもしれない。何を笑うかということさえ変わり得る。 そうやって他の人の立場から物事を見ることで、脳の重要な領域を鍛えることができる。

社交的になりたければ、、子どもを含め、あらゆる年齢層の友人を持つことです。高齢者は、幅広い年齢層、とりわけ小学生くらいの子どもとつきあうと、脳への恩恵がいっそう増えるそうです。実際、子どもと触れあうと、ストレスが減り、不安障害やうつ病といった心の病にかかりにくくなり、死亡率まで下がります。

また、孤独になることで、早死にすることがわかっています。孤独が免疫機能を弱めてしまうのです。

孤独な高齢者は免疫機能が弱い。そのせいで、ウイルス感染症やがんを撃退しにくくなる。また、ストレスホルモンのレベル孤独な高齢者は、社交的な高齢者に比べて、死亡率が45パーセントも高い。身体機能の衰えやうつ病といった条件を同じにしても、その割合は変わらない。つまり、友人が少なければ、必要以上に早く死ぬことになるのだ。

神経科学者ラウラ・フラティグリオニは、女性が、特に80歳以降、認知症にかかりやすいのは、男性の方が寿命が短く、妻を残して先に逝きがちなことと関係があるのではないかと考えました。フラティグリオニは認知症には孤独感が影響する結論づけました。

ひとり暮らしの女性や社会的交流が希薄な女性は、同居者のいる女性や、親密な社会的交流を維持する女性に比べて、認知症に罹るリスクが格段に高いのです。 過度の孤独は脳の損傷を招くことが、いくつもの調査で明らかになりました。

全身性炎症は長期間にわたってさまざまな組織を破壊します。炎症は特に脳の白質を損ないます。白質は、ニューロンとそれを包むミエリン(絶縁体の働きをする)からなりますが、全身性炎症はこのミエリンを破壊して、脳の情報伝達を阻害します。 全身性炎症の原因はいくつもあります。喫煙、汚染物質の影響、肥満、胃酸を逆流させるようなストレスなどが挙げられます。

そして、カーネギーメロン大学のコグニティブ・アクソン・ラボ所長、ティモシー・ヴァースタイネンは孤独もその原因になることを発見しました。 慢性的な社会的孤立が全身性炎症を悪化させ、脳に悪影響を及ぼすのです。
(1)孤独になると全身性炎症になる。
(2)全身性炎症になると脳の白質が損なわれる。
(3)白質が損なわれると、行動の変化が生じ、社会的交流が減る。
この3段階が繰り返されることによって、孤独の老人の脳が損傷されていきます。

高齢者はダンスをしよう!

どのダンスも脳に強力な魔法をかけた。

ダンスが高齢者の脳に良いことがわかっています。60歳から94歳までの健康な高齢者を、半年コース(週に1時間)のダンス教室に参加させました。最初に、認知や運動などの幅広い能力を測定し、半年のレッスンを経た後にも同じように測定しました。ダンス教室に参加しない高齢者についても同じことを測定しました。

その結果、手の協調運動(標準的な反応時間分析法で調べた)が、半年で約8パーセント上昇しました。一方、同じ期間にダンスをしなかった対照群の得点は下がっていました。流動性知能や短期記憶や衝動制御を含む一連の認知機能も13パーセント向上しました。姿勢保持力やバランスもおよそ25パーセントアップしました。 ダンスをしなかった対照群は、これらの能力においても実質的に得点が下がりました。

半年後、ダンスをした被験者たちは、身のこなしが変化し、考え方も変わりました。ダンスの種類は関係なく、タンゴ、ジャズダンス、サルサ、フォークダンス、あるいは、さまざまな種類の社交ダンスで効果が出ました。続く研究により、ダンスに限らず、太極拳やその他の武術などパターン化された動きを習うと、同様に多くの能力が向上することがわかりました。

ダンスが効果がある理由の一つは運動によるものです。ダンスをするには、調和のとれた動作を習い覚えるだけでなく、人前で踊るための気力も求められます。ダンスには社交要素があり、脳を活性化します。人が大勢いる部屋でペアを組んでダンスをするには、酒場で2杯、酒を酌み交わすのに相当する社会的交流が求められるそうです。

ダンスでは人と人がじかに交流しなければなりません。種類にもよりますが、総じてダンスには体の触れ合いが伴います。この体の触れ合いが高齢者の脳によい影響を与えます。著者は若いうちからダンスをして、人との交流を楽しむべきだと指摘します。人と一緒に体を動かすことで、自分の脳をよりよくできるのです。ダンスを生活に取り入れ、脳の老化を防ぎましょう。

この記事を書いた人
徳本昌大

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
IoT、システム開発のビズライトテクノロジー 取締役
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数 

■著書
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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