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探究型読書
著者: 編集工学研究所
出版社:クロスメディア・パブリッシング
本書の要約
探究型読書は、物事を深く思考したり、自分なりの考えを組み立てたり、問題を追求し続けるための「手段としての読書」です。本の内容を完壁に理解することよりも、主体的な仮説を立てることを優先します。自分の思考を大きくジャンプさせるために、探究型読書を活用しましょう。
探究型読書とは何か?
探究型読書は、物事を深く思考したり、自分なりの考えを組み立てたり、問題を追求し続けるための「手段としての読書」です。「本の内容を余さず理解しながら読み通すこと」を読書の目的とするのではなく、自分の思考を縦横無尽に展開させることを目的に本を活用すること、「本を読む」ことそのものより、「本を手がかりにして、考えること」を推奨するメソッドです。(編集工学研究所)
編集することによって、インプットとアウトプットの間のプロセスの過程で「情報」はいろいろ変化します。著書の視点と編集を組み合わせることで、様々な仮説を作れ、他者とのコミュニケーションを通じて、よりよい答えを導けるようになります。探究型読書とは、本を活用した編集メソッドで、ただ単に本を読むのとは異なる、クリエイティブな読書スタイルです。
本の内容をそのまま受け取るだけではなく、自分が持っている問題意識をフィルターにして本の内容をスキャンし、自分に必要な情報をピックアップしていく姿勢を持つことで、新たな思考ルートが見つかります。著者の視点を取り入れることで、自分の思考を広げられるようになります。
探究型読書は手に取った本の内容を完壁に理解することよりも、自分なりの思いきった仮説を立てることを優先します。探究型読書を用いることで、自分の思考を大きくジャンプできるようになります。本を手がかりにして、主体的に考える習慣を身につけましょう。
探究型読書の5つの心得
探究型読書には以下の5つの心得があります。
1.読前・読中・読後
2.著者の思考モデルを借りる
3.かわるがわる
4.伏せて開ける
5.仮説的に進む
その1 読む「前」と「後」も読書
本をパラパラとめくってみる……その時点で読書は始まっています。本を読む前に、カバーや帯、目次を読む時間を意識して見ながら、本の内容を推測、仮説を立てる作業を行うと本への親近感が増します。読後はアナロジカル・シンキングで読書体験をつなげるようにします。読んだ本と自分の過去の読書体験ををつなげることで、単なる「情報」から生きる力を育む「知恵」を生み出せます。
私は本を選ぶ際に、関連読書というメソッドを使っています。翻訳本などで引用されている著者の本を片っ端から読み、彼らの思考を盗みます。読後は自分の仕事に使えるアイデアはないか?を考えながら、ブログで情報を発信します。この積み重ねで読書体験の点と点がつながり、面白いアイデアを出せるようになりました。
その2 著者の思考モデルを借りる=著者たちとアクティブに対話する
探究型読書では、読んでいる本の著者の思考モデルを借りて、自身の思考を開始する端緒にします。本を読みながら、一冊の本に込められた著者の主張や論理の道筋を素早くピックアップすることに努めましょう。本のキーワードを複数選び、そのキーワードを軸に私はこのブログを書いています。著者のキーワードを使い、自分との対話の時間を持つことで、様々なアイデアが生まれてきます。
著者の思考モデルを参考にしながらも、それを自身の問題意識に引き寄せ、独自の思索を展開していくことで、自分の課題を解決できるようになります。私は取引先の会議で出てきたキーワードや社外取締役をしている会社の課題を解決できそうな本を選び、読むようにしていますが、この多読によって、様々な思考法を身につけることができました。
その3 かわるがわる
探究型読書では、「正しく理解する」ことよりも「仮説的に読み取る」ことを重視します。そのためのひとつのスタイルとして、短時間で本の内容をトレースします。そういう読み方をしていると、わからないことが出てきて、欲求不満に似た感覚がいくつも湧き上がってきます。そんな不満を解消するためにあらためて本に向かうと、その答えの手がかりを見つけた時にすっきりできます。
探究型読書は決められた時間内で本を”スキャニング”していきますので、たとえ読書中に疑問が浮かんだとしても、すぐにその疑問を解消する行動を取れるとは限りません。いきおい、短い時間の中で小さなモヤモヤと小さなスッキリがすごいスピードで交錯するわけですが、そういう状況に追い込まれると私たちの脳はとんでもない速度で情報処理のタスクを走らせます。本の中に答えを探そうとするのは当然の行動ですが、手持ちの知識で解決が可能かどうかを検証し始めたり、いったん脇に置いておいて、処理の対象外にするなど、なんとか自分の中の情報の混沌に秩序をもたらそうとします。
探究型読書はこのようなモヤモヤとスッキリのかわるがわるを体験することで、主体的に思考できるようになります。
その4.伏せて開ける
せっかく読んだのに、本の内容がまったく思い出せない、ということがあります。忘れてしまうということは、記憶に定着する仕掛けが作れていないということです。探究型読書では、読んだ場所をいったん「伏せ」、その内容を、目をつぶって回想し、その後、該当するページを「開け」て、内容を確認するという操作を行います。この作業によって、本を記憶に定着できます。「伏せて開ける」を繰り返すことで、本との距離感がぐっと縮まり、仮説が浮かび上がりやすくなります。
その5.仮説的に進む
探究型読書には「本を活用した編集思考の訓練メソッド」という側面があります。本の内容を理解すること以上に、自身の問題点と照らし合わせて、少ない情報を材料にしながらまずは仮説を組み上げ、その仮説をフィルターにして、本の内容を「編集」していきます。本の情報を組み替え、自分の課題を解決するための仮説を作るのです。
仮説を立てるには、ちょっと勇気が必要です。しかし、思いきって仮説を打ち立てることで、少なくとも思考の方向性は決まります。その方向が的外れなら、随時、修正していけばいいのです。
著者と読者の数だけ、さまざまな見方があり、その掛け合わせによって、多くの思考が生まれます。読書の幅を広げ、情報をつなげる探究型読書を活用することで、ただ単にフレームワークを使うより、アイデアが広がります。探究型読書のメソッドを取り入れ、編集力を養いながら、思考の幅を拡大しましょう。
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