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Joyful 感性を磨く本
著者:イングリッド・フェテル・リー
出版社:ダイヤモンド社
本書の要約
喜びには人と世の中を変えるパワーがあります。喜びはその場の幸福感を高めるだけでなく、自分のパフォーマンスをアップしたり、心身の健康の維持に役立ちます。自分が不幸だと感じても決してあきらめずに、喜びの感性を磨くことで様々な困難を乗り越えられるようになります。
10の喜びの美学とは?
喜びを見つけるのは難しいことではない。喜びはどこにでもある。この単純な真理を自覚してからは迷いが晴れ、生活ががらりと変わった。そしてそれをほかの人たちにも教え始めると、あることに気がついた。多くの人が、身のまわりの世界に喜びを見つけたいという衝動を感じながらも、そんなことは間違っているのではないかという不安をぬぐえずにいるのだ。(イングリッド・フェテル・リー)
人は「幸せ」を求めることは熱心ですが、「喜び」は見落とされがちだとJoyful 感性を磨く本の著者のイングリッド・フェテル・リーは言います。著者は「喜び」を追求するために、「何に喜びを感じるか」を人々に質問するうちに、年や性別や民族を越えてた共通する体験を見つけます。リーはそれを「喜びの美学」と呼び、以下の10の要素に整理しました。その一つひとつが、喜びの感情と、身のまわりのものの実体的な性質との結びつきを明らかにしていると言います。
■エネルギー 鮮やかな色と光
■豊かさ みずみずしさ、数の多さ、多様さ
■自由 自然、野生、広々とした空間
■調和 均衡、シンメトリー、流れ
■遊び 円、球、泡のかたち
■驚き コントラスト、斬新
■超越 上昇、軽やかさ
■魔法 見えない力、幻想
■祝い 同期性、きらめき、はじけるようなかたち
■新生 開花、拡大、曲線
私たちは今自分がいる場所で、より多くの喜びを見つけられます。
喜びあふれる世界は、あなたの手の中にある。何かのメソッドを学ぶ必要もないし、規律正しい習慣もいらない。必要なのはあなたがいま持っているものだけー身のまわりの喜びを進んで発見しようという意欲さえあればいいのだ。
著者はイノベーションで名高いデザイン会社IDEOでデザインディレクターとして働きながら、「喜びの美学」というブログを運営する中で、ものの美的特性が、人々の考え方や行動を外側から変える様子を目の当たりにしてきたと言います。リーは色と光に注意を払うことで、周りの世界を変えられることに気づきます。自分の周りにある喜びを意味出すものを注視することで、自分と世界をよりよくできるのです。形や色の中に自分の気分を良くしてくれるものがあるとわかれば、それを見つけることで、気持ちをポジティブにできます。
色とは、エネルギーを可視化したものである。色は、甘い食べ物を見つけたときに喜びというかたちで活性化する、古来の神経回路を作動させる。人工色にあふれる現代世界では、鮮やかな色のものは肉体に必要な栄養をもはや含まないが、それでも私たちはそうした色を見ると、太古の昔と変わらない喜びを感じる。より広くいえば、色は周囲の環境の豊かさを示す。
「エネルギーの美学」の中心にあるのは、周囲の環境が生きていて、繁栄を支えるものであることを知らせる、鮮やかさです。 刑務所のような学校を明るい色に塗り替えることで、生徒と教師は学校に対する認識を変えられます。学校に親しみを覚えることで、指導や学習に使える脳の領域が増え、集中力が高まる結果、学業成績も向上しました。
喜びの美学を生活の中に取り入れよう!
生き生きとした色は、学習や生産、成長に必要なエネルギーを奮い立たせるのだ。 制約からの解放は、喜びを勢いづかせる。
スウェーデン、アルゼンチン、サウジアラビア、イギリスの約1000人を対象とする研究で、明るく色彩豊かなオフィスで働く人は、薄暗い場所で働く人に比べ、より集中力が高く、喜びにあふれ、友好的で、自信に満ちていることわかりました。
ほとんどの学校の校舎やオフィスビルは、殺風景な色合いで刺激に乏しいため、心が落ち着かず、集中できません。学校やオフィスのデザインを変えることで、私たちは自分のパフォーマンスを高められます。このように人の内面や感情は目に映る物質の色や光、形によって大きく左右されるのですから、自分の身の回りの色や光をもっと意識しましょう。
1、喜びの感情は、ものに備わった色や形状、触感といった、ある種の「美的特性」によって引き起こすことができます。
2、その「美的特性」には年齢や性別、文化や民族を超えて、多くの人の感性に訴え、普遍的に喜びを感じさせるものがあります。
喜びは、自然によって人間に「報酬」として与えられた感情です。喜びを感じるとき、私たちは気分がよくなり、不安やストレスが和らぎ、生産性や記憶力が高まり、人との絆が深まることが、多くの研究によって明らかにされています。
喜びはただその場の幸福感を高めるだけでなく、心身の健康を保つうえで欠かせないものである。しあわせを見つけにくい時期にも、喜びの感性を磨くことによって、悲しみやつらさから逃避するどころか、それと向き合い、乗り越えていく力を高めることができるのだ。
生命が増殖するのと同じで、喜びも増殖すると著者は言います。 喜びには伝染性があり、繁殖力の強い雑草にも一本の花を飾るといった小さな取り組みが、上昇スパイラルを生み出し、地域社会や近隣、生活全体を変えていくパワーを持っています。色や光が生み出す喜びの種をまき、デザインをよりよくすることで、世の中をよりよくできるのです。
視点を変えて、日常の風景を見渡せば、「喜び」を感じる「物」がたくさん溢れています。自分を元気にする色や光に囲まれることで、自分をより豊かにできることを著者から学べました。「喜びの美学」を自分の生活の中に積極的に取り入れましょう!
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