価値観を広げた方がよい理由。自分の価値を最大にするハーバードの心理学講義の書評


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自分の価値を最大にするハーバードの心理学講義
著者:ブライアン・R・リトル
出版社:大和書房

本書の要約

自分の価値観の評価基準が狭いと日常の様々な問題に対処できなくなり、不安を感じやすくなります。特定の評価基準にこだわるのをやめ、世界を解釈する価値観を広げることで、私たちの幸福度はアップします。つまらない評価基準は捨て去り、様々な評価で自分や他者を見るようにしましょう。

評価基準を狭くしないようにしよう!

評価基準のレパートリーが少ない(あるいは範囲が狭い)人は、世界を解釈する自由度が低くなるために、日常生活で日々新たに生じる出来事にうまく対処できず、不安を感じやすくなります。(ブライアン・R・リトル)

私たちには「価値観の核」と言われる重要なポイントがあります。それを否定することで、自分を責めてしまう核となる基準です。

大学生の多くは、「頭がいい・頭が悪い」という基準によって、自分はもちろん、周りの友人のことも見ています。この基準が、他の基準と強く結びついているケースもあります。たとえば、「成功・失敗」「将来いい職に就ける・条件の悪い仕事にしか就けない」「価値がある人・無価値な人」などです。

このように相互に結びついている評価基準の中で核となっているのが、「頭がいい」「頭が悪い」であると仮定します。この基準で考えたときに、試験の成績が悪くて単位を落としてしまったとき、その学生に何が起こるでしょうか?

それは、単なる事実を超えて、その学生が人生の拠り所にしている評価基準体系そのものの否定につながります。「頭がいい」が基準になると単位を落としたことによって、とてつもない「恐怖」を感じます。一方、「頭がいい頭が悪い」が評価基準の核でなければ、単位を落としたことでガッカリしたとしても、恐怖までは感じません。

「いい成績をとる(自分の頭のよさを証明する)」ことを人生の拠り所にしていない学生は、中間試験でしくじったからといって、自暴自棄になったりもしないはずです。その学生は、「クリエイティブであること」や「洞察力が優れていること」など、他の評価基準を大切にし、それを自らの価値観の体系に取り入れているはずです。

価値観の核を狭くすると、人は失敗したときに、立ち直れなくなります。世界を解釈する価値観を広げることで、私たちの幸福度がアップします。

特定の評価基準に執着するのをやめよう!

人の「外見」や「言動」に大きな関心を示すタイプの人を、私は「ヒト志向」と呼んでいます。これは、科学者のように、他人の言動を分析しようとするタイプの人たちです。一方、私が「モノ志向」と呼ぶ人たちは、まったく異なる志向を持っています。このタイプの人もレストランで他のテーブルを見ることがありますが、注目するのは文字通りテーブルそのものです。食事を運ぶワゴンの脚が細すぎないかと気にしたり、レストランが模様替えをしたことや、職場の給水器具が修理されたことに興味を示したりするのです。

■ヒト志向の人
→ヒトの世界に魅了されています。彼らは他者を人間的な方法で理解しようとします。

ヒト志向の人は、他者の意図や動機に注目し、心理的に解釈しようとします。話をせずに相手を解釈することは困難だと考え、会話を重視します。現実的な制約で話ができなかったり、「見慣れた他人」であるために相手と話をしにくい状況にあったりするときも、他者を心の中で推察しようとします。そのため、情報不足から相手を大きく誤解してしまうこともあります。

■モノ志向の人は
→モノの世界に興味をひかれています。彼らは物理的な方法で、モノはもちろん、人間をも解釈しようとします。

モノ志向の人は客観的なデータに固執する傾向があり、目に見えること以上のものを推察しようとはしません。その分、確実に相手を理解していると言えますが、明白な部分だけに注目することで、相手の全体像を深くとらえられず、結果として誤解が生じることもあります。

モノ志向の人は、モノだけではなくヒトも物理的に解釈しようとします。ヒト志向の人とは異なり、目に入る情報、つまり人の外見を重視します。ですから、たとえば作業服を着た長髪の男性が面接に現れたら、その外見だけで、ビジネスの現場にはふさわしくないヒッピー風の人間だという評価を下してしまうのです。 柱となる評価基準が一つしかないと、それが脅かされたときに人は身動きがとれなくなります。世界を解釈するうえでの自由度が低くなってしまうからです。

この柱となる評価基準は、私たちが世界を見るための”メガネ”のようなものです。このメガネが一つしかないときは、その評価基準の尺度の両端を行ったり来たりする以外に道はありません。

たとえば、あなたが「知的・愚か」という評価基準で世界を解釈している場合、誰かが知的だとは認められないような振る舞いをしたら、その人を「愚か」と認識するしかありません。

しかし、評価基準が複数あれば、一つが上手く機能しなくても、”別のメガネ”で世界を解釈することができます。 私たちは、「聡明」「愚か」「デビッドの妻」「猫好きの女性」などの一つの評価基準で、自分や他者をとらえるべきではありません。自分勝手なイメージで相手を解釈しようとするのではなく、自由な目で相手を見るようにしなければなりません。

世界を広げたければ、相手を観察するだけではなく、相手に積極的に関わっていく必要があります。単なる観察や第一印象に基づいた推察ではなく、相手を奥深く探求しなければならないのです。

特定の評価基準に執着することで、視野が狭くなったり、不安になったり、攻撃的になったりすることもあります。自分自身のパーソナリティや、望ましい人生についてよく考えるには、家族や友人、同僚など、あなたと人生を共に歩む人たちを、これまでとは異なる視点で見つめ直すことが必要です。

つまらない評価基準は捨て去り、様々な評価で自分や他者を見るようにしましょう。視点を変えることで、自分の中にチャンスを見つけることができるようになりますし、他者を味方にできるようになります。第一印象だけで人を判断するのをやめ、客観的に評価することで、相手の強みを見つけられるようになります。

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この記事を書いた人
徳本

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数
iU 情報経営イノベーション専門職大学 特任教授 

■著書
「最強Appleフレームワーク」(時事通信)
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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