成功には努力と才能と運の力が必要?


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成功する人は偶然を味方にする 運と成功の経済学
著者:ロバート・H・フランク
出版社:日本経済新聞出版社

本書の要約

私たちの人生は些細な偶然や運によって左右されます。人との出会い、行動を続けることで、奇跡みたいなことが起こることがあるのです。成功者には日々の努力と才能以外に、運や偶然の力も必要なのです。自分の運に感謝し、恩送りをすることで、成功者を増やせるのです。

些細な偶然や運が、成功にとって大事な理由

長く生きていれば、信じられないようなことが起こるものなのだ。コインを投げて20回連続で表が出る確率は約100万分の1。つまり、100万回挑戦すれば1回は起こる。わたしたちが人生で経験することの大半は、さまざまなできごとが複雑に絡み合った結果だ。80年間を生きているあいだに起こる何百万ものできごとのなかには、起こりえないようなことがあってもおかしくはない。(ロバート・H・フランク)

ニューヨーク・タイムズで人気の経済学者のロバート・H・フランクは、運や偶然が成功に関係すると述べています。J・D・クランボルツが計画的偶然性理論で明らかにしているように、多くの出来事は偶然に左右されています。

私は20世紀後半の日本で生まれ、21世紀前半をビジネスパーソンとして過ごせました。これはとて運が良いことで、戦国時代の日本や文化大革命の頃の中国に生まれたら、今のような生活を送れなかったはずです。コロナウイルスには苦労させられていますが、これは19世紀までの人類にとっては共通の課題だったので、致し方ないと諦めることにします。

運や偶然の力によって、成功したと考える人が増えています。 ニューヨーク・タイムズのコラムニストのニコラス・クリストフの言葉を紹介します。

成功した人々は一様に、いまの自分があるのは努力と知力のたまものだと思い込んでいる。実際には、中産階級に生まれて、愛情に包まれ、本を読んでもらったり、リトルリーグに入れてもらったり、図書館へ連れていってもらったり、音楽を習わせてもらったりしたおかげなのである。彼らは受精した瞬間から、成功するようプログラムされていたのだ。(ニコラス・クリストフ)

成功者には日々の努力と才能以外に、運や偶然の力も必要なのです。

著者は2度死にそうになったことがあると述べていますが、偶然の力によって、生き残ることができたと言います。彼は2007年にテニスコートで突然の心臓発作で倒れますが、仲間が心臓マッサージをしてくれたことと、偶然、救急車が近くにいたことで、一命を取り止めます。このように些細な偶然が人生を変えるのです。

自分は運が良いと感謝しよう!

過去40年で最高の名優のひとりのアル・パチーノも運の力でのし上がります。彼が輝かしい経歴を築いたのは、実は若いころの配役のおかげだったのです。マリオ・プーゾの小説『ゴッドファーザー』を、フランシス・フォード・コッポラの監督によって映画化するとき、パラマウントの重役らは、マイケル・コルレオーネ役の俳優にロバート・レッドフォード、ウォーレン・ベイティ、ライアン・オニールなどを推しました。

一方、コッポラは、本物のシチリア人らしく見える無名の俳優を推します。重役らは若手監督であったコッポラの提案を却下し、ジェームズ・カーンと契約寸前にいたりましたが、コッポラは企画を降りることで抵抗を示します。結局、ジェームズ・カーンにはマイケルの兄ソニー役が、そして無名の俳優であったアル・パチーノに主役が与えられることになったのです。

もし、この時にアル・パチーノが主役になれなくとも、その後彼が成功した可能性は確かにあります。しかし、彼と同じレベルの俳優で成功しない人はたくさんいることも事実です。才能と努力だけでは成功が難しく、運や偶然の力が未来を左右するのです。

誕生日と成功の関係は、スポーツ選手の能力や学業に影響を及ぼします。アメリカは新学期が9月にスタートしますが、夏に生まれた子どもがクラスで最年少になります。夏生まれの生徒が総じて高校時代にリーダーにならない理由は、ここから説明できます。ホッケーの選手は1 〜3月生まれが多く、10〜11月生まれはわずか1割にすぎません。別の研究では、認知能力やその他の精神的・身体的特徴を考慮に入れても、リーダーを務めた生徒のほうが、将来著しく高い給料を得ることが明らかになっています。無作為に選んだアメリカの大企業を調べた研究者は、6月・7月生まれのCEOの数が、確率的に期待される3分の1であることを明らかにしました。

苗字の頭文字でさえ、成功に大きく関わることがわかっています。ある研究によると、トップテンに入るレベルの経済学部では、助教授が終身在職権を獲得するのは、苗字の頭文字が若いアルファベットであるほど早くなります。これは、論文を共同執筆した場合に執箸の名前がアルファベット順に記される経済学会の慣習によるからです。心理学ではアルファベット順の記載ではないから、そうした現象はみられません。「小さな偶然の出来事は極めて重要だ」と認めることは、「成功は才能や努力とは無関 係だ」と主張するのとは違います。

競争が激しい分野で成功する人は、とても優秀でたいへんな努力家です。ウォーレン・バフェットのバークシャー・ハサウェイの副会長チャーリー・マンガーは、次のように言います。

望むものを手に入れるためのいちばん確かな方法は、それにふさわしい人になろうと努力することだ。(チャーリー・マンガー)

成功を求める人にとって、深い専門知識を身につけることはとても重要です。専門知識は運ではなく、何千時間もの努力によって身につきますが、それと同時に偶然のできごともまた重要なのです。成功は大きな幸運に恵まれなければほとんど不可能であるという事実を認め、運を高める努力を続けるのです。

成功するためには、努力や才能と運の良さが欠かせないことが、本書を読むことで理解できます。自分は運が良いと感謝することで、成功する確率が高まります。自分の実力を過信するのをやめ、運が良いと感謝することで、周りの人からより応援してもらえるようになります。自分の運に感謝し、恩送りをすることで、成功者を増やせるのです。

以前、本書のブログを書きましたが、今日は別のアプローチで運について考えてみました。当時の記事もぜひ、ご覧ください。

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