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世界のエリートが学んでいるMBA必読書50冊を1冊にまとめてみた
著者:永井孝尚
出版社:KADOKAWA
本書の要約
グローバルエリートたちは、ビジネスのセオリーである経営理論を使い倒しています。MBAの知識を「読み書き算盤」し、活用することでビジネスを成功に導けます。著者は忙しいビジネスパーソンのための50冊をセレクトし、わかりやすくMBA理論を解説をしています。
MBA理論は「読み書き算盤」?
経営理論は「読み書き算盤」であり、仕事の基本スキルだ。(永井孝尚)
MBAの正しい知識があれば、よい戦略を作れるだけでなく、的確に判断できるようになります。しかし、ビジネスパーソンの全員が、MBAに通えるわけではありません。では、忙しいビジネスパーソンがMBAの知識を得るためには、何をすればよいのでしょうか?
答えは簡単で、本を通じてMBAの知識を得ればよいのです。海外のリーダーは、経営理論を「読み書き算盤」のように活用しています。彼らと戦うためには、少なくともMBAの理論を使えるようにしておく必要があります。
書店にはMBA関連の本がたくさん並んでいます。この中から、ビジネスパーソンはどんな本を選べばよいのでしょうか?正しい知識を得るためには、良書を選ぶ必要はありますが、どれが良書であるかが、素人目にはわかりません。入口を間違えると時間とお金が無駄になりますから、注意を払わなければなりません。
ビジネスパーソンのそんな課題をマーケティング戦略アドバイザーの永井孝尚氏が、解決してくれました。永井氏はビジネスパーソンが読むべきビジネス書をカテゴリーごとに整理・分類し、50冊にまとめてくれました。
今回、世界のエリートが学んでいるMBA必読書50冊を1冊にまとめてみたを読んでみましたが、50冊の良書がわかりやすく紹介されており、ここから多くの学びを得られました。難しい書籍の理論をコンパクトに説明するだけでなく、日本人にも馴染みのあるセイコーマートやQBハウスのケーススタディを使うことで、理論をより身近なものにできました。本書を使い倒すことで、海外MBA取得者のようにセオリーをビジネスに活用することで、結果を出せるようになります。
今回、本書がきっかけになり、リタ・マグレイスの競争優位の終焉 市場の変化に合わせて、戦略を動かし続けるやリチャード・P・ルメルトの良い戦略、悪い戦略を再読することにしました。恥ずかしながら、過去に読んだ本は時間の経過とともに印象が薄くなっており、永井氏の解説を読むことで、この2冊の面白さが改めて認識できました。
セオリーを学ぶ近道がある。お手軽なビジネス書だけでなく、海外MBAエリートが読むような時代を超えて読み継がれるビジネス書をしっかりと読み込み理解することだ。そういう本からはビジネスの普遍的な思想や理論を学べるし、困ったときの指針にもなる。
今日は永井氏がセレクトした50冊の中から、マイケル・E・ポーターの[新版]競争戦略論Iとヘンリー・ミンツバーグの戦略サファリ 第2版を取り上げます。セイコーマートのケーススタディが両書で取り上げられており、戦略論がわかりやすく解説されていたので、記事で紹介したいと思います。
「計画された戦略」と「創発戦略」にOODA LOOPを組み合わせよう!
戦略とは、何をやらないかを決めることである。(マイケル・E・ポーター)
マイケル・E・ポーターは「何をやらないか」を決めることが重要だと言います。戦略はトレードオフで、 どのお客様を捨て、どのお客様に対応するのか?どのニーズを捨て、どのニーズに対応するのか?を決めることなのでなのです。やらないことを決め、トレードオフを究めることで、企業は成長できるようになります。
セイコーマートは「北海道からは出ない」「大手コンビニがやることはやらない」という戦略を徹底することで、エリアに密着し、北海道のファンやパートナーを獲得していきます。
2018年の北海道地震の際には、北海道全店舗のなかでも被害の少ない90%ほどの店舗で営業を継続し、物資危機に陥った地域住民のライフラインを支えました。結果、地元住民からの支持を高めることに成功し、メディアに取り上げられることで、北海道以外での認知度もアップしました。
セイコーマートの戦略
■セイコーマートの営業時間は原則7時から23時(365日24時間営業をしない)
■半数以上の店舗で元旦休業を導入
■食品ロスをなくすため、見切り販売を実施
■地元食材を使った安いPB商品が人気(高価格帯を充実させる大手との違いを明確に)
■自社工場での製造を強化
■クラブデータで会員の購買データを活用
分析技法を通して戦略を開発したものはいない。分析技法が戦略を生み出すのではなく、人が生み出すのだ。(ヘンリー・ミンツバーグ)
セイコーマートの戦略は、試行錯誤の末、出来上がってきました。 セイコーマートの創業者である赤尾昭彦氏は、1960年代に酒卸業の営業マンで、新聞記事で、コンビニが米国で広がっていることを知りました。自己流でコンビニの勉強を始め、店主に「酒店をコンビニに変えましょう」と営業し、セブンのコンビニ1号店よりも3年も早い1971年にコンビニ1号店を北海道に出店します。これを契機に赤尾氏は酒卸業を退社して、セイコーマートを創業し、コンビニのFC事業を開始します。
北海道という過疎地に展開するには、フランチャイズでは採算が合わないため、直営店を増やすことを決断します。さらに過疎地の直営店で利益を確保するために、食品製造や配送も自社で手掛けるようになったのです。
創業者が最初に「酒店をなんとかしたい。コンビニで経営の近代化を図ればいいのではないか」と考えて事業を始め、行動と学びを積み重ね、現実にあわせて戦略を徐々に修正していった結果、現在の戦略に行き着いたのである。 現実のビジネスでも、当初考えた戦略は最初からうまくいかないことばかりだ。想定外が必ずあるからだ。
ミンツバーグは、戦略にはあらかじめキッチリと考えた「計画された戦略」と、試行錯誤による学びを蓄積することにより編み出した「創発戦略」があると考えました。
「計画された戦略」だけに頼り実行の学びを軽視した戦略は、現実の壁にぶつかり成功しません。行き当たりばったりの「創発型の戦略」も、迷走しがちです。「計画された戦略」と「創発戦略」の2つを組み合わせることで、すぐれた戦略が生み出せるようになります。
経営理論に基づいて最初に戦略を考え、現場での学びで創発的に進化させることで、すぐれた戦略が生まれますが、変化の激しい現代では、これをスピーディに行う必要があります。「計画された戦略」と「創発戦略」にOODA LOOP(ウーダループ)を組み合わせることで、企業は結果を出せるようになります。
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