センスハック:生産性をあげる究極の多感覚メソッド(チャールズ・スペンス)の書評

person showing green plant
センスハック:生産性をあげる究極の多感覚メソッド
チャールズ・スペンス
草思社

本書の要約

著者のチャールズ・スペンスは、センスハッキングを五感や感覚的刺激を利用して、社会的、認知的、情緒的健康の向上を促進することと定義します。クオリティライフを実現したければ、センスハックを取り入れるべきです。五感を組み合わせた「多感覚」な環境を構築することで、私たちの人生はより素晴らしいものになるのです。

センスハックが人生を豊かにしてくれる?

生まれた瞬間から息を引き取るまで、感覚は私たちの存在にとってなくてはならないものだ。知覚、経験、認識、理解するすべてのことは感覚を通して私たちに伝わってくる。(チャールズ・スペンス)

近年、テクノロジーが進化する中で、人間の五感に負荷がかかっています。街中は車の音やBGMなどのノイズだらけで、デジタルサイネージからの情報が私たちを苦しめています。

アクセンチュアの2015年のレポートによると、私たちの87%が複数のメディア機器を同時に使用していると言います。聴覚と視覚が大きな影響を受けていることは間違いありません。

一方、北米の研究者でマイアミ大学医学部タッチ・リサーチ研究所のティファニー・フィールドは、私たちの多くが「タッチ・ハングリー」〔触れ合いに飢えている〕と指摘します。これは健康と幸せにとってマイナスの結果につながります。

たちの最大の感覚器官である皮膚は、身体全体の約16~18%を占めています。手のひらと足の裏を除く身体のすべての皮膚には感覚受容器が密集しており、それらは優しく撫でられることを欲しているいや、必要があるというのです。

温かい対人間の触れ合いは、社会的、認知的、精神的健全性にさまざまな恩恵をもたらす。なかでも、カップル同士の対人間の触れ合いはとても影響力が強いので、肉体的な痛みさえも緩和するのに効果的だ。また、頻繁なハグによってもたらされる、ストレス緩和効果のあるソーシャルサポートは、上気道のウイルス感染や病気にかかりにくくする。

人との関わりが少なくなる高齢者は「感覚過少負荷」に陥る真の危険に晒されているため、彼らの感覚に注意を払うことも必要になってきます。

著者のチャールズ・スペンスは、センスハッキングを五感や感覚的刺激を利用して、社会的、認知的、情緒的健康の向上を促進することと定義します。私たちは五感のすべての独特な能力をよく知り、そしてそれらが互いに作用しあって私たちの感情や行動を左右する予測可能な方法を認めて初めて、感覚的経験の最も効果的なハックを期待できるようになります。

クオリティライフを実現したければ、センスハックを取り入れるべきです。五感を組み合わせた「多感覚」な環境を構築することで、私たちの人生はより素晴らしいものになるのです。

ガーデニングが健康に良い理由

ほんの少しの自然でさえも、私たちの気分やパフォーマンスを向上させ、健康を増進することが証明されているー。自然の中で過ごす時間が長くなればなるほど、その恩恵は増すだろう。

今回のコロナ禍の中、私は1日中自宅や会議室に閉じこもり、zoomをすることが当たり前になりました。これは2つの意味で私たちの健康リスクを高めます。

室内にいることで自然に触れられなくなり、五感が刺激されなくなります。また、換気のされていない室内に長時間いることで、化学物質を浴びる可能性も高まります。

五感は自然によって刺激されればされるほどいいと著者は指摘します。さらに自然環境が与えてくれるすべてのものに、細かい注意を払うと、この恩恵は増大すると言うのです。

庭を持っている約8000人のイギリスの住民を対象としたその研究では、庭を利用していない人の61%に対して、利用している人の71%が健康だと報告しています。精神的安定や活動レベルの上昇の観点から立証されているこの違いは、高所得地域に住んでいる人々と、より貧しい地域の人々を比較したときの違いと同等になります。ガーデニングをしていようと、単にくつろいでいようと、庭で過ごすことは本当に私たちの健康に良いことがわかっています。

私の自宅には狭いながらも庭がありますが、今の季節はそこで薔薇や芍薬が楽しめます。花と緑の時間を少しでも持つことで、センスハッキングが可能となり、自分の気持ちをクリアにできます。センスハッキングは私たちの健康バランスを高めてくれるのです。

本日取り上げた人との触れ合いやガーデニング以外のセンスハックにも、効果があることがわかっています。本書にはさまざまなセンスハックが紹介されています。l五感を組み合わせ、センスハックを人生に取り入れることで、 「より生産性が高く」、「よりストレスレス」で、「より幸福な人生」が実現できるのです。


この記事を書いた人
徳本

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数
iU 情報経営イノベーション専門職大学 特任教授 

■著書
「最強Appleフレームワーク」(時事通信)
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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