羊を数える迷信は睡眠に効果があるのか?チャールズ・スペンスのセンスハックの書評

herd of lambs
センスハック:生産性をあげる究極の多感覚メソッド
チャールズ・スペンス
草思社

本書の要約

私たちの睡眠は約90分周期で、その周期中にノンレム睡眠、続いてレム(REM)睡眠、その後の徐波睡眠〔ノンレム睡眠のうち、出現する脳波の特徴として低振幅徐波が中心となる睡眠、深睡眠〕が含まれています。記憶を固定するために本当に必要なのは、最後の徐波睡眠なのですから、しっかりと長時間眠ることが重要になります。

短時間睡眠が危険な理由

睡眠は他のどの活動よりも多くの時間を使う。平均すると私たちは、人生の約3分の1を睡眠に費やしているか、少なくとも費やそうとしている。睡眠を時間の浪費と思うか、一日の至福の時と思うかにかかわらず。わずか4、5時間の睡眠で効率的に働いていたというマーガレット・サッチャーやロナルド・レーガンのような伝説的人物が、のちに認知症を発症したのは聞いたことがあるだろう。(チャールズ・スペンス)

チャールズ・スペンスは、サッチャーやレーガンのように短い睡眠時間で、働くことは危険だと指摘します。私はショートスリーパーなので、夜中にすぐに目を覚ましてしまいますが、この本を読んでから、睡眠の質を高める努力を重ねています。

私たちは皆、習慣的に一晩に7、8時間の質のいい睡眠を取るべきなのです。睡眠不足は以下のリスクを高めることがわかっています。
・認知症
・肥満
・ガン
・心臓病

睡眠不足は心血管疾患、脳血管疾患、肥満を含む15の主要な死因のうちの七つと関連付けられています。 一晩6時間未満の睡眠は、私たちにの健康に害を及ぼしています。

ランド研究所の2016年のレポートによれば、ショートスリーパーは7、8時間の睡眠をとっている人よりも、死ぬ可能性が確実に17%以上あると言います。もしあなたが45歳以上で睡眠時間が一晩6時間未満であれば、生涯において心臓発作と脳卒中になる可能性がそうでない人の200%以上あるのです。

ドイツのルートヴィヒ・マクシミリアン大学、医学心理研究所の教授のティル・ロネンバーグは、科学雑誌『ネイチャー』において、私たちの睡眠時間は50~100年前の先祖に比べると、一晩に1、2時間短くなっていると指摘します。

私たちの睡眠は約90分周期で、その周期中にノンレム睡眠、続いてレム(REM)睡眠、その後の徐波睡眠〔ノンレム睡眠のうち、出現する脳波の特徴として低振幅徐波が中心となる睡眠、深睡眠〕が含まれています。記憶を固定するために本当に必要なのは、最後の徐波睡眠なのですから、しっかりと長時間眠ることが重要になります。サッチャーやレーガンになりたくなければ、長時間睡眠を心がけるようにしましょう。

睡眠の質を高め得るためにやるべきこと

では、どうしたら、長時間の睡眠が取れるようになるのでしょうか?専門家によると、私たちは就寝前の最低3時間は食事を取らないようにすべきです。これはダイエットにも効果があります。夜間の飲酒もまた、カフェインやその他の刺激物の摂取と同様、睡眠の質を下げてしまいます。

2015年の研究によると、就寝前の2、3時間、KIndleなどの書籍リーダーで読書する人は、活字本に比べて、寝入るのに時間がかかるうえに、夜間に眠くなりにくく、メラトニンの分泌量も少なくなります。体内時計が遅れたタイミングを示し、翌朝の目覚めも悪くなります。

電子機器のブルーライトは私たちの脳をだまして、起きる時間だと思い込ませることがあるので、睡眠の質を高めたければ、就寝前には使わないようにすべきです。

また、照明またはテレビを付けたまま寝ると、体重増加や肥満のリスクが増加すると言います。ノース力ロライナ州にある米国国立環境健康科学研究所(N-EHS)が発表したコホート研究によると5年間にわたって、35歳から74歳までの4300人以上の女性を観察したところ、人工光無しで眠っている人と比べて、夜に光に晒されている人は体重が5キロ(1ーポンド)以上重いことが明らかになったのです。人工光は体の自然な時計を混乱させ、遅らせ、正常なホルモンバランスを狂わせているのです。

子供の頃に教わった羊を数える迷信は効果があるのでしょうか?カリフォルニア大学バークレー校の心理学の教授のアリソン・ハーヴエイ教授は、就寝時に羊の数を数えるのは意味がないと言います。不眠症のあるグループに対して、うとうとしているときに、否定的な考えを抑えるのではなく、羊の数を数えさせたところ、入眠の時間は平均10分遅くなってしまったのです。

羊の数を数えるよりもも滝や、休暇中の穏やかでくつろいだ光景を目の前に思いうかべるようにすると、入眠の時間を約20分早めるのに役立ったという研究があります。

著者は就寝時のセンスハックをいくつか提案しています。
①就寝前の2、3時間は明るいスクリーンを見るのを避ける、いわゆる細胞の夜間外出禁止令を行使する。やむなく夜にさまざまな電子機器を使う場合は、専用の眼鏡をかけるか、ブルーライトを除去するようなアプリをダウンロードすべきです。

②パッシブボディヒーティング(PBH)〔温浴等で受動的に体温を上げること〕も睡眠の質にプラスの影響があり、徐波睡眠を増やします。理想的な夜の入浴温度は、40~42.5℃で、タイミングさえ合っていれば、8.6分、あるいは36%、眠り込むのが早くします。

③横になる。体を横にすることで、体の深部から四肢への熱の放散を促すします。ネイチャー誌の論文によると、足を温めると、眠りにつく時間が減少すると言うのです。



 

この記事を書いた人
徳本昌大

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
IoT、システム開発のビズライトテクノロジー 取締役
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数 

■著書
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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