選ばれるプロフェッショナル ― クライアントが本当に求めていること(ジャグディシュ・N・シース, アンドリュー・ソーベル)の書評

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選ばれるプロフェッショナル ― クライアントが本当に求めていること
ジャグディシュ・N・シース, アンドリュー・ソーベル
英治出版

本書の要約

クライアントから信頼され、卓越したプロフェッショナルになりたければ、次の7つの特質を培い、強化する必要があります。①無私と自立 ②共感力 ③ディープ・ジェネラリスト ④統合力 ⑤判断力 ⑥信念 ⑦誠実さのこの7つの特質を身につけ、そのレベルを上げ続けることで、クライアントとの関係を強化できます。

選ばれるプロフェッショナルの7つの特質

クライアントとの関係にブレークスルーをもたらすには、7つの重要な「特質」が必要である。この特質を適切に融合させれば、洞察を深め、奥の深い、信頼感のある関係ができあがる。(ジャグディシュ・N・シース, アンドリュー・ソーベル)

クライアントから信頼されるコンサルタントになるためには、どう行動すればよいのでしょうか?私も社外取締役やアドバイザーをしているので、クライアントからの信頼を得たいと絶えず考えています。

著者の2人は、本書でその疑問に丁寧に答えてくれています。クライアントとの関係が良好なコンサルタントには、次の7つの重要な特質があると指摘します。
●基礎
①無私と自立
②共感力
●思考
③ディープ・ジェネラリスト
④統合力
⑤判断力
●人格
⑥信念
⑦誠実さ

優れたアドバイザーは、経済的にも、知性的にも、精神的にも、完全に自立しているという姿勢を示します。彼らは自立することと無私とのバランスをとりながら、クライアントの重要課題を発見し、その解決に注力します。常に客観性と誠実さを維持し、クライアントのために思考し、行動を続けます。

2つ目の特質である「共感力」は、学びへの入り口である。共感することで、クライアントの考え方や感情がわかるようになり、クライアントのやっていることを理解する能力を高める。本当の問題が何なのかを見極められるようになり、それがクライアントと共に学ぶ関係を支えるようになる。

コンサルタントはクライアントのことを考えるあまり、自分の意見を主張しがちです。自分の提案に集中することで、クライアントの思いを見抜けないことがあります。クライアントの心理状態を理できなければ、相手からの共感を得られません。

共感力を活かすには、3つの基本的な前提条件があると著者たちは指摘します。
1、正しい態度 
・人に関心を持つこと
・真の学習意欲を持つこと
・謙虚さである

2、自己認識と感情のコントロール

3、傾聴する力

優れたアドバイザーは、優れた聞き手でもある。その能力は、仕事を進めるうえで欠かせない情報を得るのに役立つだけでなく、クライアントにも自分たちで問題をじっくり考えさせる機会を与える。共感力が、クライアントとの公私にわたる関係を支え、長いあいだにそれをさらに成長させるのである。

共感する能力が高まると、クライアントに対してもっと高いレベルでの提案ができるようになります。身の回りからヒントをもらえるようになり、良いアイデアが生まれてきます。結果、変化に適応できるようになり、クライアントに最適なタイミングで正しい提案ができるようになるのです。

統合力がクライアントを喜ばす鍵

学ぶことへの情熱は、プロフェッショナルの基礎である専門知識に磨きをかけ、継続的に知識の幅を広げることによって「ディープ・ジェネラリスト」への道を開く。

ディープ・ジェネラリストは、学習して知識を蓄えることに投資します。才能、スキル、経験、知識といった自分の資本は、さまざまな方法で増やすことが可能です。真のプロフェショナルは日常的に、読書したり、独学したり、旅行を通じて、自己資本を充実させています。

戦略家で最高の経営アドバイザーのC・K・プラハラードは、継続的に新しい分野や、なじみのない領域の学びを得る必要があると言います。自分の専門分野という安心領域から抜け出せなければ、クライアントの信頼を得られません。自分の領域を広げることで、クライアントに対する多様性と有益性を高められます。

広告会社出身の私は、独立した時にはマーケティングの知識や体験で勝負していましたが、これだけではクライアントである経営者の課題を解決できないことに気づきました。

クライアントの広範な課題を解決するために、私は士業や他のコンサルタントの人たちとチームを組み、提案活動を行いました。ミーティングを重ねる中で、彼らの知識を貪欲に吸収することができ、自分の価値を高めることができたのです。この書評ブログでもクライアントの課題を解決できる本を読み、経営者に役立つことを心掛けています。

「統合力」は、大局的にものを見る能力のことであり、大量のデータや情報から固有のテーマやパターンを引き出す能力のことである。また批判的な思考法や問題解決力といったスキルも含まれる。ビジネスのアドバイザーと、主に分析に頼り、狭い範囲の問題を扱うエキスパートとを区別するのも、この統合力である。

自分がこれまでに得た情報を統合することで、正しいアドバイスができるようになります。ビジネスだけでなく、哲学や瞑想、健康の知識が役立つこともあります。統合力に加え、優れた判断力を身につけることで、クライアントへの的確な提案ができるようになります。

アドバイザーが本格的に意見や提案、また判断を提供するにつれて、信念が働くようになります。誠実さは、信頼感を築くスキルや行動につながります。この信頼感がなければ、クライアントと本音で語り合うことができず、提案が中途半端なものになりがちです

豊かなメンタリティを持つ人は、どのような状況にあっても可能性とチャンスを見出します。著者たちは優れたコンサルタントになりたければ、次の行動を習慣化すべきだと言います。
・常にチャンスや、成長や発展を求める。
・絶えず新しいアイデアを生み出す。
・行動が前向きで楽天的である。
・すべての人に十分に行きわたる報酬があると考えている。
・より多くのものを長期的に得るために、短期的な資金や時間を進んで注ぎこむ。

クライアントから信頼され、卓越したプロフェッショナルになりたければ、7つの特質を培い、強化する必要があります。①無私と自立 ②共感力 ③ディープ・ジェネラリスト ④統合力 ⑤判断力 ⑥信念 ⑦誠実さのこの7つの特質を身につけ、そのレベルを上げ続けることで、クライアントと長期的で広範囲な関係を築き、維持できるようになります。


 

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