科学者じゃない僕たちは 想像力と妄想力と企画力とデザイン力で世界の未来と関わっていく
福田敏也
本書の要約
斬新なアイデアをつくるためには、他のみんなが発見していない新しくユニークな情報のEDITが鍵になります。アイデアの蓄積に自分の経験が積み重なっていけば、さらにそのEDITの対応範囲は拡大していきます。時代が次々に変化しても、組み上げてきたEDITがきちんと機能していれば、時代の変化に適応できるようになります。
斬新なアイデアつくりに必要なこと
アイデアとは既存の要素の新しい組み合わせ、というアイデアの基本原則を考えれば、狭い範囲をぐるぐる回っている思考が良きアイデアに到達しないのは当然です。(福田敏也)
私とほぼ同意世代のクリエイティブディレクターの福田敏也氏は、本書でジェームズ・W・ヤングのアイデアのつくり方を紹介しています。(ジェームズ・W・ヤングの関連記事)
「アイデアとは既存の要素の新しい組み合わせ以外の何ものでもない」というヤングの考え方は多くのクリエイターに影響を与えましたが、福田氏はその思考を一歩進めます。斬新なアイデアをつくるためには、他のみんなが発見していない新しくユニークな情報のEDITが鍵になります。
ハイレベルのEDITのために、脳にどれだけ幅広い情報を格納できるか?その格納された多様なエレメントをいかに柔軟に結びつけられるかが、私たちは問われています。閉じた狭い思考から抜け出し、思考のフレームを広げなければ、斬新なアイデアは生まれません。
イノベーションを起こし、世の中の人の行動変容を起こしたければ、他者の成功体験を追従するだけでは、成果を出せません。自分の殻を破り、意昧的な強さと感覚的な強さの両面でアイデアを考えるようにしましょう。ネタ集めの工程のなかでも、意識してバランスをとり、知識だけでなく、感性に訴える感覚ネタも取り入れるようにすべきです。
自分の思考癖を客観的に見つめ、知識ネタが多くなりがちな人は感覚ネタに反応することを意識する必要がありますし、感覚ネタが多くなりがちな人は知識ネタに反応することを意識する必要がある。この癖は、意識しないと治りにくい癖ですから、しつこく意識するようにしてください。 視点を広げて考える、ということは思考範囲を意識して広げて考えることになっている。
私は書籍からのインプットが多くなるため、どうしても情報が知識に偏りがちです。自分に刺激を与えるような体験を増やしていく必要がありそうです。アイデアを生み出すためには、自分の脳内の引き出しを充実させ、それを上手に組み合わせることが欠かせません。著者はその手法を読者にいくつも教えてくれます。
多様な視点を身につけよう。
視点を味方につける。 どんな業種の仕事をするにせよどんな職種で仕事をするにせよ、視点を味方につけると、その人の解決の幅は大きく広がる。
自分の固定観念を壊し、情報のインプットや付き合う人を変えることで、多様な視点が得られます。アイデアのネタを増やすことで、自分の可能性を広げられます。
世の中が複雑になる中で、課題を正しく定義することがとても重要になっています。目先の小さな課題を設定するのではなく、大きく課題を整理するようにしましょう。そのためために、さまざまな切り口を考え、課題を定義していきます。本当に解決すべき課題は何かを考え、ロジックツリーを組み立てていきます
その際、自分で徹底的に考えると同時に、他者の視点を大事にしながら、アイデアを磨きます。当然、アイデアだけでは人々の行動変容を起こせませんから、そのアイデアを商品やサービスとしてリリースし、顧客との対話を重ねる必要があります。その際、「Why=なぜ」が重要になります。
たぶん、世界は「なぜ」でできている。世界は「なぜ」が渦巻く世界でありそこには「なぜ」の体系が存在している。 改めて考えてみれば、世界は「なぜ」に溢れています。自然界の物も人工物も、この世に存在するものは、そこに存在してきた理由があって存在しています。
なぜ、自分がその課題を解決しようとしているのかを深掘りすることで、見えてくる景色が変わります。様々な情報をインプットした上で、なぜを何度も繰り返すうちに、アウトプットが変わります。情報の量を増やし、質を高めることで、EDITされるアイデアは自分らしいユニークなものになります。
アイデアの蓄積に経験が積み重なっていけば、さらにそのEDITの対応範囲は拡大していきます。時代が次々に変化しても、組み上げてきたEDITがきちんと機能していれば、時代の変化に適応できるようになります。
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