世界を変えたいなら一度”武器”を捨ててしまおう (奥山真司)の書評

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世界を変えたいなら一度”武器”を捨ててしまおう
奥山真司
フォレスト出版

本書の要約

自己責任を基本にしたファーストイメージ思考を採用し、戦略の抽象度を上げることを習慣にしましょう。順次戦略と累積戦略の陰陽のバランスを取ることで、結果を出せるようになります。物事を冷静に考え、柔軟に対応し、選択肢を多く持つことで、自分らしい人生を送れるようになるのです。

戦略的に思考・行動することが重要な理由

戦略学では、技術のようなハード面でいかに勝つかと考えることは、戦術という低いレベルに属するものなのです。その下のレベルがハードそのものについて考える技術というレベルですから、日本がどれだけ頑張っても欧米に勝てるわけがないのです。(奥山真司)

日本人は時代が変化しているのに、甘い見通しで未来を考えがちです。リアリズムの視点で思考し、行動する欧米の経営者には、世界観や戦略があり、戦術レベルで戦う日本企業との差が大きくなっています。

欧米社会は、日本では技術では抜かれていってしまったために、ハード作りを捨てて、ソフトの面に力を注いできました。彼らは流通の仕組みを変えるだとか、金融の仕組みを変えるだとかして、自国にお金が回ってくるシステムを構築することで、日本企業に対して優位性を発揮しました。

アップルはプラットフォーム戦略を採用し、ビジネスのルールを変えてしまいました。スティーブ・ジョブズは抽象的に思考することで類まれな戦略を生み出し、ソニーや村田製作所などの日本企業を下請けにしてしまったのです。

戦略とは何かと簡単に言ってしまえば、「自分の思い通りにする」「自分の思い通りになるようにコントロールする」ということです。  

日本人は決められたルールのもとで戦おうとしますが、欧米人は自分が不利になると仕組みやルールを変えようとします。この仕組みやルール作りを考えることが、戦略の第一歩なのです。

日本は「戦略的ではない」「ルール作りができない」「ビジョンを持っていない」となって、これからは世界でも取り残されていく存在となっていくと著者は指摘します。

個人が生き残るためにもこの戦略思考が役立ちます。戦略思考を身につけ、スキルのみに頼らない自分を作り上げることで、結果を変えられます。戦術レベルで戦うのをやめ、今まで大事にしていた”自分の武器”を手放すことで、戦略的に思考できるようになります。

欧米社会では生存競争は常識で、誰も守ってくれない前提で行動します。彼らはリアリズムのレンズを通した目で、自分自身を見つめ、人生の戦略をつくっているのです。戦術レベルの思考で自分の武器を磨くのをやめ、戦略的に思考し、行動することで、時代の変化に適応できるようになります。

順次戦略と累積戦略を組み合わせよう!

人間・国家・戦争: 国際政治の3つのイメージの中でケネス・ウォルツが指摘していますが、全ての事象は以下の3つのイメージで説明できます。
①人間の本質を原因としたファーストイメージ
②組織を原因としたセカンドイメージ
③国家や環境を原因にしたサードイメージ

個人の収入も3つのイメージから説明可能です。すべては自己責任であるという考え方こそが、ファーストイメージ思考なのですが、収入の低さも自己責任だと考えられる人が、成長できる人なのです。

サードイメージの視点で見ると、自分の年収が低いのは、世界の景気が悪いことに原因があり、自分は悪くないと考えます。セカンドイメージであれば、所属する会社がダメだから、賃金が上がらないと考えます。

環境や組織を変えるためには、自分を変えるしかないのです。世界を変えられるのは、自分だけだと思考することで、自分をアップデートできます。

社会に出るときから戦略的に上のレベルで考えるように訓練しておいたほうがいいということです。そうすれば、無駄になる動きをできるだけ排して、戦略から見て必要なスキルだけを習得して、どんな人脈を構築すればいいかということが自分のイメージのなかで確立できるからです。

戦略的なバックボーンがあれば、自分のワクワクな未来からバックキャスティングして、やるべきことを見つけられるようになります。戦略思考を取り入れることで、意味のない転職や、自分が好きでもない仕事を選択せずにすみます。戦略的に考えることで、自己責任(個人主義)が当たり前になります。ファーストイメージで見れば、自分に問題があると考え、なりたい自分を描き、そのための成長を目指せるようになります。

多くの成功者は、成功の理由は「運がよかった」「タイミングがよかった」と表現します。彼らは偶然の力を強調します。しかし、失敗したときはすべて自分に責任があると言います。

たいていの成功者は、失敗したときこそ自分が変わることによって状況を改善できると思っているわけです。つまり、悪いことに関しては自分が悪いからだと考えないと、そもそも思考は変わらないし、現状を変えていく力やエネルギーが生まれてこないのです。

あらゆる事象、社会も組織も、今の状況はすべて自分の責任だという考え方(ファーストイメージ)を採用することで、結果を出せるようになります。

戦略は順次戦略と累積戦略に分類できますです。
■順次戦略
「陽」の戦略。「見える・見せる戦略」、ビジュアル化、数値化する、合理的、具体的に行う戦略です。量よりも質を重視するもので、目標とイメージを重視します。前後の順序があって秩序があり、1つの方向に進む「見える化する」戦略です。

■累積戦略
「陰」の戦略。「見えない・見せない戦略」で、非合理的で、ただの繰り返しの行為があり、質よりも量を重視して行う戦略です。進み方は不明確で、あるとき突然効果が出るものです。

成功している人は、順次戦略と累積戦略を上手に組み合わせています。陰の累積戦略を優先し、そのあとに陽の順次戦略をやると、爆発的な効果があると著者は述べています。

自己責任を基本にしたファーストイメージ思考を採用し、戦略の抽象度を上げることを習慣にしましょう。順次戦略と累積戦略の陰陽のバランスを取ることで、結果を出せるようになります。物事を冷静に考え、柔軟に対応し、選択肢を多く持つことで、自分らしい人生を送れるようになるのです。スキルという武器に頼るのをやめ、戦略的に思考し行動することで、自分のビジョンを実現しましょう。


この記事を書いた人
徳本昌大

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
IoT、システム開発のビズライトテクノロジー 取締役
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数 

■著書
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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