確証バイアスに負けずに、相手を説得する方法。THE CATALYST 一瞬で人の心が変わる伝え方の技術の書評

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THE CATALYST 一瞬で人の心が変わる伝え方の技術
ジョーナ・バーガー
かんき出版

本書の要約

確証バイアスの存在によって、人を説得することは難しくなります。この確証バイアスを乗り越え、他者の意見を変えるためには、以下の3つの方法が有効です。1、移動可能な中間層を見つける。 2、小さなお願いをする。 3、現状打破のポイントを見つける。

確証バイアスの乗り越え方

「自分の考えを裏づけるような情報ばかりを探す」という人間の性質は「確証バイアス」と呼ばれている。確証バイアスから逃れられる人は存在しない。医者が治療法を決めるときも、陪審員が評決を出すときも、投資家が投資戦略を決めるときも、リーダーが取るべき行動を決めるときも、科学者が研究の方向を決めるときも、社員がフィードバックを受け取るときも、すべて確証バイアスの影響を受けるのだ。(ジョーナ・バーガー)

私たちは確証バイアスによって、自分がすでに持っている先入観や仮説を肯定しがちです。そのため、自分にとって都合のよい情報ばかりを集め、自分の認知を歪めてしまいます。当然、確証バイアスの存在によって、人を説得することも難しくなります。

人が考えを変えるためには、変えようという意志だけでなく、自分の考えとは相容れない情報にも耳を傾けようという意志も必要になるからです。

人は新しいアイデアや情報に触れると、まず自分の中にあるアイデアや情報と比較します。新しい情報が自分の許容のゾーンの範囲内なら、その情報を信頼できるものとして認めます。

一方、拒絶の領域に入るアイデアや情報に対しては、重箱の隅をつつくようにあら探しをします。アイデアや情報は役に立つ可能性もあるのに、無視され、別の行動を取ろうとします。

この確証バイアスを乗り越える3つの方法をペンシルベニア大学ウォートン校マーケティング教授のジョーナ・バーガーは、THE CATALYST 一瞬で人の心が変わる伝え方の技術の中で紹介しています。(本書の関連記事

1、移動可能な中間層を見つける
2、小さなお願いをする
3、現状打破のポイントを見つける

多くの人が強い思い入れを持つような問題を扱う場合は、移動可能な中間層を探すという方法が有効だ。彼らはそもそもそこまで強い思い入れはないので、説得によって動かすことができる。移動可能な中間層を見つけるーつの方法は、「行動の遺留品」に注目することだ。行動の遺留品とは、私たちが日常生活を送る場所に残す痕跡のことで、ある問題についてどんな考えを持っているかを知るヒントになる。

例えば、自社の売上を伸ばしたい場合には、SNSでライバル会社の製品やサービスに対する不満を書いている人を探します。顧客や製品に関するデータを分析し、同じような性質や好みを持つ人たちを探します。既存顧客に似ている人なら、新規顧客になってくれる可能性もが高くなります。

ベンチャーキャピタリストは、よく製品やサービスのことを「ビタミン」と「痛み止め」に区別します。今すぐに必要というわけではないものはビタミンで、今すぐに必要なものが痛み止めになります。変化の触媒になる力タリストは、すべての人を変えることを目指しません。彼らが狙うのは、自分の製品やサービスを「痛み止め」だと思ってくれる人たちなのです。

ミーティングで他の参加者の意見を変えたいなら、まず考え方が自分といちばん近い人を夕ーゲットにします。考えが近い人を説得するのは、比較的簡単ですし、賛成した場合には、他の人の説得も手伝ってくれるのです。

まずは、小さなお願いから始めよう!

大きなお願いに関連する小さなお願いを最初にすることで、相手を望みの方向に動かすことができる。最初に小さなお願いをされた人は、後から突拍子もないお願いをされても、許容範囲だと感じるようになるのだ。フィールド上の位置を移動すると、それにつれて許容のゾーンも拒絶の領域も一緒に移動する。その結果、最終的なお願いが許容のゾーンに入る可能性が高くなるのだ。

誰かの考えを変えたければ、まずは小さなお願いから始めましょう。本来のお願いを相手の許容のゾーンに入るまで小さくしていくことで、当初の目的を達成できます。

ダイエットをする際もいきなり、飲んでいる清涼飲料水を止めるのではなく、徐々に減らすようにします。全てを止めることは難しいですが、少しづつ清涼飲料水の量を減らすことで、体重は減らせます。

たいていの人は最初から大きく変えようとしてしまいます。今すぐに変わってほしいと考えますが、相手が一瞬のうちに炭酸飲料を飲むのをやめたり、支持政党を変えることはありません。説得には時間がかかるものだと捉え、小さなお願いからスタートするのです。

ただ小さなお願いをすればいいというわけではない。ここで大切なのは大きなお願いをどう分割するかということだ。いきなり大きな変化を突きつけるのではなく、相手にとってちょうどいい大きさに分割する。

現状打破のポイントを見つけてフィールドの反対側に連れてくることも効果があります。両者の間ですでに合意している点をみつけ、それを足がかりにして一気に飛躍するのです。

1つの問題にもさまざまな側面があります。その側面のうちのーつに真っ向から反対している人であっても、他の側面なら同意できる何かがあります。どんなに価値観の違う相手であっても、何か共通点が見つかれば、こちらの主張に耳を傾けてもらえるようになります。その何かを見つけ、小さなお願いをすることで、相手の態度を徐々に変えていきましょう。


この記事を書いた人
徳本昌大

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
IoT、システム開発のビズライトテクノロジー 取締役
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数 

■著書
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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