「類は友を呼ぶ」が成長の糧にならない理由。グレイス・ローダンのショートカット思考の書評

men and women having a meeting
ショートカット思考
グレイス・ローダン

本書の要約

多様性をもつチームのほうが問題解決や将来予測に優れ、創造性にも富むことは、多くの成功企業が証明しています。自分と似たような人だけ集めても現代のような複雑な世の中の課題は解決できません。年齢、性別、国籍、得意分野の異なる多様なメンバーを集めることで、私たちは成功を手に入れられるのです。

「類は友を呼ぶ」が成長を阻害する??

「類は友を呼ぶ」は科学的に正しいが、成長の糧にはならない。(グレイス・ローダン)

グレイス・ローダンショートカット思考書評を続けます。 自分と似たような人たちと付き合うだけでは、私たちは成長できません。自分の周囲を同類の人たちで固めようとする類似性バイアスによって、成長を妨げてしまいます。

同類の仲間は自分の意見にすぐ賛同してくれるため、正しい意見を見つけられなくなる可能性を高めてしまいます。自分にとって都合のよい情報ばかりを集める確証バイアスの影響を受けやすくなります。新しいことにチャレンジする際には、同類に頼ることはリスクが高いと考え、視点や視座の異なる人と付き合うべきです。

「ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス」の心理学・行動科学部の准教授のグレイス・ローダンは、キャリアの目標を定めて、遠回りを避けて、最も近道を進む「ショートカット思考(Shortcut Thinking)」を推奨していますが、多様なメンバーを仲間にすることで、様々な課題をスピーディに解決できるようになります。

「似たような仲間とつるむことが、本当にあなたの成長を助けるのだろうか?」 という質問を繰り返すことで、付き合う人が変わり、結果、自分の行動も変えられると著者は指摘しています。

異なる考えの持ち主からは異なる内容のアドバイスが得られます。これにより自分の選択肢が広がり、成功の可能性が高まります。

早く成長するための近道は、多様な経歴や人生経験をもつ人たちからフィードバックをもらうことだ。

多様性をもつチームのほうが問題解決や将来予測に優れ、創造性にも富むことは、多くの成功企業が証明しています。自分と似たような人だけ集めても現代のような複雑な世の中の課題は解決できません。年齢、性別、国籍、得意分野の異なる多様なメンバーを集めることで、私たちは成功を手に入れられるのです。

多様なプロフェショナルとの付き合いを増やそう!

チームのメンバーはそれぞれ異なる人生を送り、異なるスキルセットや異なる知識をもっている。全員が同じ考え方をもつことはなく、同じアイデアも繰り返さないだろう。その結果、同じ経歴、スキルセット、知識をもつ人たちだけで構成されたチームよりも、彼らのほうがはるかに早く前進できる。

優秀な経営者やマネージャーたちは、つねに優秀な人を雇うことを心がけています。 自分より優れた多様なプロフェッショナルを集めることで、チームの成長が加速することを彼らは知っているからです。優秀な人を周りに置くことでチームの生産性が高まるだけでなく、自分のパフォーマンスにもよい影響を及ぼします。

私は広告会社をやめ、企業の社外取締役やアドバイザーをしていますが、そこで多くの経営のプロフェッショナルに出会えました。マーケティングという狭い領域から会計やマネージメントのプロと出会うことで、多くの学びを得てきました。様々なプロフェッショナルとの出会いにより、私は優秀な外部脳を手に入れ、経営の課題を解決できるようになりました。

しかし、多くのマネージャーはこのやり方を採用したがりません。かつての私もそうでしたが、自分の周りには、自分と同等以下のパフォーマンスしか出せない人たちを置きがちです。自分の優秀さを周りに誇示したいというエゴが、真のプロフェッショナルの採用を見送り、チームの成長を止めてしまうのです。

必要な専門性を身につけるためには、 あなたよりもはるかに多くの知識をもち、はるかによいパフォーマンスを発揮する人が周りにいたほうが、あなたにとって有益なのだ。

2009年、アレクサンダー・マスとエンリコ・モレッティがあるスーパーマーケットチエーンのレジ係を対象に行った研究から「自分が努力する度合いは一緒に働く人次第で変わる」ということが明らかになりました。

ふたりの研究者は、平均以上の優秀な人が仕事に加わると、他の労働者たちの仕事ぶりが1パーセント向上することを発見しました。生産性の高い労働者がフロアにやってくるのを目にしただけで、他の労働者たちの生産性が上がることもわかりました。

私たちは、周りの人たちから多くの影響を受けています。しかし、多くの場合、私たちはそのことに気づかず、自分の意志だと思い込んでいます。

私たちは、周囲の人たちによってつくられる。私たちは彼らの行動を無意識に真似して、その結果新しい習慣を自分のものにする。

気づかないうちに、一緒にいる人はあなたの行動やスキルに影響を与えています。よい結果を出すためには、自分の成長を支えてくれるパートナーを自分の周りに置くべきです。同類なネットワークと過ごすのをやめ、多様なプロフェッショナルとの付き合いを増やすようにしましょう。


 

 

この記事を書いた人
徳本

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数
iU 情報経営イノベーション専門職大学 特任教授 

■著書
「最強Appleフレームワーク」(時事通信)
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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