忘れる読書
落合陽一
PHP研究所
本書の要約
情報と情報を組み合わせて、自分でストーリーを練り上げる力を磨くことが読書によってできるようになります。抽象化しながら思考し、点在する知を自分の文脈でつないで物語化することが、現代のビジネスパーソンには求められています。多読、乱読、積読によって、情報をつなげる力が鍛えられます。
「持続可能な教養」を身につけるために必要なこと
今の時代に読書をする意味は何かと問われれば、第一に「思考体力をつけるため」、第二に「気づく力をつけるため」、第三に「歴史の判断を学び今との差分を認識するため」と私は答えるでしょう。(落合陽一)
メディアアーティスト、筑波大学准教授、ベンチャー企業の経営者として多方面で活躍する落合陽一氏の思考の源は、実は読書で培われたと言います。デジタル時代に「持続可能な教養」を身につけるために必要なことは読書で、現代人は読書を習慣化すべきです。
本書には著者が影響を受けてきた書籍が紹介されており、これを読むことで落合氏の思考のプロセスを知ることができます。
世界に情報が氾濫し、情報を持っていること自体の価値は著しく低下しています。私たちには、今「新しい時代の教養=持続可能な教養」が求められています。自分なりの「文脈」に気づき、俯瞰して情報を位置づけることで、課題を発見したり、イノベーションを起こせます。その教養を身につけるために、私たちはもっと読書をしたほうがよさそうです。
「持続可能な教養」とは、物事を「抽象化する思考」を鍛えること、と「気づく」能力を磨くことです。読書はたくさんのレイヤーでものを考え、抽象化し、整理して脳にインプットできます。また、様々な書籍を読むことで、脳内で情報がつながり、新たなアイデアが浮かぶようになります。読書によって、点と点をつながり、やがてはイノベーションが起こるようになります。
情報と情報を組み合わせて、自分でストーリーを練り上げる力を磨くことが読書によってできるようになります。抽象化しながら思考し、点在する知を自分の文脈でつないで物語化することが、現代のビジネスパーソンの必須なスキルになっています。書籍を多読、乱読、積読することで、情報をつなげる力が鍛えられます。
読んだ内容は忘れよう!
読んだ内容を覚えていようと思ったことはなく、むしろ忘れるために本を読んでいます。積読・乱読は当たり前ですし、本を読み通さずにざっと読む「ザッピング読み」や、何回もパラパラと読んで内容を把握する「周回読み」もしばしばです。ある時は小説や漫画を一気読みし、ある時は絶版の哲学書や古典的理工書を読む……さらに、自分の頭の中にそれぞれの本の「脳内マップ」を作り、「較べ読み」することで本の内容を血肉にしています。
様々なカテゴリーの本を読むために、私はKindleの中に本をストックし、いつでも読めるようにしています。暇さえあれば、活字を読み、点と点をつなげる努力を重ねています。このブログに読書メモを記録していますが、昔読んだ本はすっかり忘れてしまっていることがあります。
著者はウェブで調べれば十分な知識は、記憶しておかなくてもよいと言います。必要な時にその都度、調べればいいのですから、書籍の内容を細かく覚えておく必要はありません。クリエイティブであるための知的技術は、読後に自分の中に残った知識や考えをざっくりと頭に入れ、「フックがかかった状態」にしておくことで十分です。忘れることを気にするのをやめ、新しい本を読み続けることで、点と点がつながるようになります。
調べ物をしたり、企画書を書く際に、いくつかのキーワードを入れ、このブログで内検索を行いますが、結果を見ると過去の記憶が甦り、点と点がつながり、思いもかけないアイデアが浮かぶことがあります。今まで考えていたこととは異なるアプローチで思考することで、ロジックをジャンプさせることが可能になります。
年を重ねるにつれ、小説や文学、アートといった分野の書籍は読まなくなった、という人は多いようです。しかし、冒頭で述べたように、これからは「感性」が価値を決める時代だと私は考えています。だからこそ、あえて普段の仕事とは関係のない分野の本で感性を磨くのも重要かもしれません。そしてそれこそが、自分なりの教養にもつながっていくのではないでしょうか。
SF小説や歴史小説、哲学書からヒントをもらうこともあります。私も著者のように、ジャンルにこだわらず興味の赴くまま、何でも読むスタイルをとっていますが、この読書法によって、ビジネスがうまくいくようになりました。ビジネス書だけでなく、様々なカテゴリーの書籍を今後も貪欲に読み進めたいと思います。
好きな著者の本を読みながら、書籍の中で紹介されている本をひたすら読むことで、私の読書の幅は広がりました。特に翻訳本は、参考文献が充実しているため、そこから本を選ぶようにしています。この読書スタイルを続けるうちに、私は自分の世界を拡げることができました。
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