瞑想で人生を変える方法。あなたという習慣を断つ (ジョー・ディスペンザ)の書評 

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あなたという習慣を断つ
ジョー・ディスペンザ
ナチュラルスピリット

あなたという習慣を断つ (ジョー・ディスペンザ)の要約

習慣の生き物である私たちは、3つの脳で知識→経験→知恵へ進化します。瞑想で嫌な自分を捨て去り、新たな自分のリハーサルを繰り返すことで、身体が意識の役割を担い、新しい行動パターンが自然に身につきます。これにより、古い自分を捨て、ビジョンを実現できるようになるのです。

脳の可塑性を活用し、人生を変える方法

私たちの日課、習慣化した考えや気分などは、同じ心の状態を永遠に生み続ける。同じ心の状態は同じ行動、同じ現実を再生し続ける。したがってもし私たちが現実の何かを変えたいと思ったら、自分の考え、気持ち、そして行動を新しいやり方で行う必要がある。外的経験に対する反応の仕方も、それまでとは違っていなくてはならない。新しい意識の状態を作ることにより、いつものあなたではない誰かにならなくてはならない。ジョー・ディスペンザ)

ジョー・ディスペンザ博士の著書あなたという習慣を断つは、人間の潜在能力を科学的な視点から解き明かし、読者に自己変革の具体的な方法を提示しています。ディスペンザ博士は、カイロプラクターとしてのキャリアを経て、脳科学と量子物理学の分野で世界的に認められる権威となりました。彼の研究は、思考と感情が脳の科学的・物理的構造に与える影響に焦点を当てており、その成果は多くの人々に新たな気づきをもたらしています。

本書の核心は、私たちが日常的な思考や行動パターンを変えることで、人生を劇的に変革できるという考えです。ディスペンザ博士は、脳の可塑性という概念を用いて、私たちの脳が常に変化し適応する能力を持っていると説明します。新しい思考や行動を繰り返すことで、文字通り脳の構造を変えられるという主張は、多くの読者に希望を与え、自己変革への意欲を掻き立てます。

著者は、多くの習慣や行動が潜在意識によって制御されているという事実を踏まえ、意識的に新しいパターンを作ることで潜在意識を再プログラムする方法を提案しています。

思考が現実を決めるなら、そしていつも同じ思考(環境の産物であり、環境を反映している)にとらわれているなら、あなたは来る日も来る日も同じ現実を生産し続けることになる。したがって、あなたの心の中の思考と感情は寸分違わずあなたの外的環境とマッチすることになる。なぜなら、問題や条件、状況などすべてを内包したあなたの外的現実が、あなたの内的現実である思考と感情のあり方に影響を与えているからだ。

私たちの日常生活は、多くの場合、繰り返しのパターンで成り立っています。同じ考えを巡らせ、同じ行動を繰り返し、そして同じ感情を体験しています。このサイクルは、一見安定しているように見えますが、実はこれが私たちの成長と変化を妨げる大きな要因となっています。過去のマイナスの感情に囚われることをやめない限り、人生はよくならないのです。

博士の理論によれば、このような反復的な思考・行動・感情のパターンは、脳内に特定の神経回路を強化していきます。これらの回路は、私たちの限定的な現実認識を反映したものとなり、時間とともにますます強固になっていき、人生を変えられないと言うジレンマに陥ります。

結果として、この確立された回路に沿って生きることが、私たちにとってより自然で簡単なことになってしまいます。この自動反応周期は、私たちの脳と意識に対して、外界の特定の現実をますます強化する働きをします。外界の刺激に同じように反応し続けることで、私たちは自らの脳と個人的な世界観をより密接に同化させていきます。言い換えれば、私たちは神経化学的に人生の条件に縛られていくのです。

この過程で、脳は限定的な回路のみを活性化させるようになり、私たちの思考はその枠内に閉じ込められます。これが、極めて限定的な意識状態、すなわち「人格」の形成につながります。しかし、ディスペンザ博士は、この固定的なパターンを打破する方法があると主張します。

博士の理論の核心は、望ましい未来の出来事が実際に起こる前に、脳を変える能力が私たちにあるという点です。つまり、私たちの意思と一致する新しい神経回路を、現実の変化に先立って作り出すことができるのです。これは、今よりも望ましい考え方、行動、あり方を心の中で繰り返しリハーサルすることで達成されます。

この精神的なリハーサルは、単なる想像以上の効果があります。それは、新しい出来事に対応するために必要な生理学的ハードウェアを、文字通り私たちの脳にインストールする過程なのです。この実践を通じて、私たちは未来の自分を現在に呼び込むことができるのです。

さらに興味深いのは、この創造的なプロセスが古い自己を解体する効果を持つという点です。脳が創造モードに留まると、それまで古い人格を形成していた神経ネットワークの結びつきが緩んでいきます。これは、生物学的レベルでの古い人格の解体を意味します。 古い人格に直結していた感情は、以前のような形で遺伝子に信号を送らなくなります。

つまり、私たちのDNAレベルでの変化が起こるのです。エゴを克服する努力を重ねるほど、古い人格を示す物理的な痕跡が書き換えられていきます。 私たちが自分の思考や感情、行動のパターンを意識的に変えることで、文字通り新しい自分に生まれ変わることができるという可能性です。

事前に感謝することで、ビジョンが実現する!

あなたは自分がその新しい存在になったかのうように想像を巡らせるだけで、脳に新しい方法で発火させ、新しい意識を作り始めている。これがメンタルリハーサルの働きだ。

思考(脳の言語)と感情(身体の言語)が整った時、望む現実に向かって、人生が変わり始めると博士は指摘します。 博士の理論によれば、望む現実を実現するためには、それが今この瞬間に既に存在しているかのように感じる必要があります。そのために「事前に感謝する」ことが求められると言うのです。

「事前に感謝する」という行為は、単なる楽観主義や前向きな思考とは異なります。それは、望む現実が既に実現したかのような深い感謝の念を、現在の瞬間に体験することを意味します。この感謝の感情が、私たちの身体に「それは既に起きている」というシグナルを送るのです。

例えば、新しい仕事を望んでいる場合、その仕事に就いた自分を鮮明にイメージし、そこから生まれる喜びや達成感、感謝の念を今この瞬間に感じます。これは単なる空想ではなく、全身で体験する感情的な没入です。 この実践の効果は、神経科学的にも説明されています。

強い感情を伴うイメージは、脳内に新しい神経回路を形成します。繰り返しこの状態を体験することで、脳はその現実が既に存在しているかのように反応し始めます。これが、いわゆる「引き寄せ」の科学的根拠の一つとなっています。

瞑想の重要性も本書の中で強調されています。ディスペンザ博士は、瞑想が脳の状態を変え、新しい神経回路を形成するのに役立つと主張しています。多くの人々が瞑想をストレス解消や心の安定を得るための手段と考える中、ディスペンザ博士は瞑想がもたらす変容的な力に注目しています。

博士によれば、瞑想の真の目的は、私たちの日常的な思考パターンを超越し、無意識の領域に入ることにあります。この過程で、私たちは左脳的な分析思考から解放され、より深い意識状態にアクセスすることができます。この状態において、私たちは現実に恒久的な変化をもたらす力を獲得するのです。

あなたの人生を変えるとは、あなたのエネルギーを変えるということ──それはつまりあなたの思考と感情を根本から変えることを意味する。新しい結果がほしいなら、今のあなたでいる習慣を断ち、新しいあなた自身を再発明しなくてはならない。

博士は、瞑想の効果を測る興味深い基準を提示しています。瞑想を終えた後のあなたが、瞑想前のあなたと全く同じであるならば、その瞑想はどのレベルでも実質的な変化をもたらさなかったことになります。この視点は、瞑想が単なる一時的な気分転換ではなく、私たちの存在の根本的な変容をもたらす手段であることを強調しています。

瞑想の過程で、私たちは自己の内なる力と調和し、より高次の意識状態を体験するのです。 ディスペンザ博士の理論の中で特に注目すべき点は、この高められた意識状態がもたらす現実への影響です。博士は、この状態に到達したとき、外界の現実に属するどんなモノ、人、状況、場所、時間も、そのエネルギー状態にいるあなたに作用することはできないと主張しています。

これは、私たちの内なる状態が外部の現実よりも強力であり、むしろ外部の現実を形作る力を持っているという、革新的な考え方です。

3つの脳を変えれば、自分を変えられる!

人生を変えるにはまず自分の思考と感情を変えてから、新しい経験をするために何らかの行動を起こさなくてはならず(行動や態度を変える)、それが新しい感情を呼び起こす。その感情が意識状態(意識と身体が一致した状態)になるには、少なくともいくつかの成果が見られるまでその感情を記憶し続ける必要がある。脳の神経可塑性に加え、私たちの味方は脳ひとつだけではない。実際のところ脳は3つある

ディスペンザ博士は、人間の意識と行動の変容プロセスを「3つの脳」という概念を通じて説明しています。この理論は、私たちの思考が行動を生み出し、その行動が最終的に私たちの存在のあり方を形作るという、段階的な変化のプロセスを示しています。
・思考脳・・・大脳新皮質(意識)
・行動、経験脳・・・大脳辺縁系(身体)
・存在脳・・・小脳(魂)

まず、「思考の脳」から始まります。これは私たちの日常的な意識の状態で、常に周囲の環境や自分の身体、時間について考えている状態です。この段階では、私たちは外部の刺激に反応し、過去の経験や学習に基づいて思考を形成しています。

次に「行動・経験の脳」へと移行します。これは思考を実際の行動に移す段階です。私たちは自分の考えに基づいて行動を起こし、その結果を経験します。この段階では、新しい習慣や行動パターンを形成することが可能になります。

最後に「存在の脳」へと至ります。ディスペンザ博士によれば、この段階こそが真の変容が起こる場所です。存在モードにおいて、私たちは自分の置かれた環境や身体、時間という制約から解放されます。この状態では、外部の現実と内面の経験の区別がなくなり、純粋な意識の状態に到達します。

存在モードへの移行は、意識的な実践によって達成できます。自分の周囲の環境や身体、時間に対する意識を手放し、内面に集中することで、私たちは行動モードから存在モードへと自然に移行することができます。この状態では、何かを「する」必要はなく、ただ「ある」だけで十分です。

興味深いことに、存在モードにある時、脳は外界で起きている現実と、心の内面で起きていることを区別しなくなります。これは、イメージトレーニングや視覚化の効果が科学的に裏付けられる理由の一つでもあります。望ましい経験を心の中でイメージすると、それが現実に起きる前から、その経験に伴う感情が湧き起こるようになるのです。

この現象は、私たちの意識と身体が一体となって機能することを示しています。つまり、心で思い描いたイメージが、身体的な反応を引き起こし、それが新たな神経回路を形成するのです。この過程を通じて、私たちは新しい存在モードへと移行していきます。

ディスペンザ博士の理論は、私たちが望む変化を実現するためには、単に考え方を変えるだけでなく、その思考を行動に移し、さらにはそれを自分の存在の一部とするまで統合する必要があることを示唆しています。

瞑想により人格を覆っている層のいくつかを剥がすことができ、あなたがかぶっている仮面のいくつかを取り除くことができる。それらはみなあなたの中にある大いなる英知の流れを遮断してきたブロックだ。それらの層を払い落とすことであなたは透明化していく。外から見たあなたイコール内面のあなたになったとき、あなたは完全に透明になる。そうやって生きるとき、あなたは感謝や高揚した喜びを経験し、それこそが私たち人間のあるべき姿だと私は考える。この過程であなたは過去から脱却し、未来の展望を抱けるようになる。

瞑想によって、私たちの身体を新しい意識に慣れさせることで、思考脳と感情脳の協調的な働きが生まれます。この過程は、単なる心理的な変化を超えた、全人的な変容をもたらすものです。

博士は「思考は脳のために、感情は身体のために」という座右の銘を強調しています。この言葉は、私たちの思考と感情が別々に機能するのではなく、互いに密接に関連し合っていることを示唆しています。瞑想の実践において、特定の思考と感情に意識を向けることは、この協調を強化する重要な手段となります。

瞑想を始める前と後では、私たちは明らかに異なる状態にあります。特定の思考と感情に集中することで、脳内に新しい神経回路が形成され、神経化学的な変化が起こります。これらの変化は、単なる主観的な体験ではなく、脳と身体に物理的な証拠を残すほど実質的なものです。

このプロセスを通じて、私たちは新たな意識の状態へと移行します。それは単に幸せや感謝を「練習している」段階を超えて、本当に感謝に満ち、幸せな存在へと変容することを意味します。つまり、私たちは望ましい感情や状態を演じるのではなく、それを体現するようになるのです。

博士によれば、この新たな意識状態は日々の瞑想の実践によって作り出すことができるようになると言います。それは一時的な体験ではなく、継続的に再生し、強化することが可能です。この状態において、私たちは理想の自己を経験したときの感情反応を生み出すことができます。これは単なる想像ではなく、脳と身体全体で体験される実質的な状態変化です。

本書の特徴は、科学的な知見と実践的なアプローチを融合させている点にあります。ディスペンザ博士は、複雑な脳科学や量子物理学の概念を、一般の読者にも理解しやすい形で説明しています。同時に、これらの理論を日常生活に適用するための具体的な方法を提示しており、理論と実践のバランスが取れた内容となっています。

瞑想でするべきことはもうやめたい自分についてじっくりと考え尽くし、あなたが変えたいと願っている古い自分に結びついた思考、行動、感情が古い意識としての発火や結束をやめ、古いパターンで遺伝子に信号を送らなくなるようにすることだ。それからあなたがなりたいあなた自身について反復して考え続ける。その結果新しい発火や結束により新しい意識が形成され、それにより生まれる感情を身体が受け止め、やがてそれは習慣となっていく。これを変化と呼ぶ。

本書は、読者に自己の可能性を再認識させ、より充実した人生を送るための具体的な道筋を示しています。私たちが根本的な変化をもたらすための4週間の瞑想プログラム(古い嫌な自分を捨て去り、新しい未来の創造とリハーサルのステップ)が紹介されています。 博士の脳を最適化する瞑想プログラムを通じて、創造性と喜びのために私たちの神経ネットワークを意識的に再配線する方法を示しています。

私たちは習慣の生き物です。知識、経験、知恵へと進化する3つの脳を持ち、内面で学んだことを繰り返し経験することで、身体を訓練して意識の役割を担わせます。これが習慣の本質です。古い自分を捨て、新たな自分になるためのリハーサルを瞑想によって反復することで、新しい行動パターンが自然に身につき、ビジョンを実現できるようになります。

私も瞑想と感謝を習慣化することで、ダメダメだった人生を書き換えることができ、幸福になれたので、著者の考えには共感を覚えました。著者が提示した見解は興味深いものですが、これらの主張の全てが科学的に完全に立証されているわけではありません。今後の脳科学の発展により、これらの仮説がさらに検証され、より深い理解が得られることが期待されます。

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この記事を書いた人
徳本

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
IoT、システム開発のビズライトテクノロジー 取締役
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数 

■著書
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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