Awe Effect (カトリーン・サンドバリ, サラ・ハンマルクランツ)の書評

silhouette of man standing on rock while looking in sky

Awe Effect
カトリーン・サンドバリ, サラ・ハンマルクランツ
サンマーク出版

Awe Effect (カトリーン・サンドバリ, サラ・ハンマルクランツ)の要約

Awe体験は、私たちの人生に対する満足感を高め、時間をより価値あるものと感じさせます。この体験は、広い視点を持ち、明確な目標を設定し、心に余裕を生み出す手助けとなります。また、Aweは心とカラダの健康へも好い影響を与える可能性があることが明らかになっています。Awe体験によって幸福度をアップできるのです。

Aweが私たちにもたらすこと

「Awe」は、感性を刺激されるような美しいもの、信じられないもの、大きなものや小さなものに出会ったときに湧き起こります。 (カトリーン・サンドバリ, サラ・ハンマルクランツ)

本書の著者のカトリーン・サンドバリサラ・ハンマルクランツは、幸福における「Awe(オウ)体験」の重要性について探求しています。この本は、ポジティブ心理学に注目するスウェーデンのストーリー・コーチングやコミュニケーション戦略の専門家(カトリーン・サンドバリ)とジャーナリスト(サラ・ハンマルクランツ)の2人によってまとめられたものであり、世界中で話題になっています。

「Awe体験」とは、大自然などの果てしないものに直面したときに感じる驚きや畏敬の念を指します。この体験は、人々に喜びをもたらし、幸福感を高める効果があるとされています。彼ら2人は夕日や虹、星空、散歩、音楽、芸術など、感動を与える要素に注目し、それらが人々の幸福に与える影響を明らかにしています。

Aweとは、ストレスから解放された「ストレスフリーゾーン」であり、自分を充電し、新しい目で世界を見られるようにする場所だと考えてください。マインドフルネスの効果を手軽に享受できる場所だと言ってもよいでしょう。

Awe体験は、人々をより親切にし、より広い視点で物事を見るように導きます。これは、私たちが日常の小さな悩みを超えて、全ての人に利益をもたらす選択をすることを助けます。その結果、未来の世代のために賢い決断を下すことが可能になります。また、紛争や気候変動、環境問題への取り組みにおいても、前向きな一歩を踏み出すきっかけを提供します。

Awe体験は、人生への満足度を向上させ、時間に対する感覚を豊かにします。これにより、広い視野、明瞭な目標、そして心のゆとりを持つことができるようになります。 さらに、驚嘆体験が体内の炎症を抑制する効果があるという研究もあります。Aweの力は、健康にも良い影響を及ぼすことが示されています。

Awe体験にやってもたらされるもの
・健康
・ストレスの軽減
・人とのつながり
・頭の回転
・創造力
・自己中心的な考え方が薄らいだ
・思いやりの気持ち
・他者に寛容になった
・環境への関心が高まった

Aweは、私たちの感覚や認識に深い影響を与える独特な体験です。この感情は、次の4つの特徴によって定義されます。
①時間の感覚の変化
Awe体験は、時間が遅く流れているかのような感覚をもたらします。「時間に余裕ができた」と感じさせるこの現象は、私たちにとっての時間の価値を変え、瞬間をより深く味わうことを可能にします。

②自己の相対化
Aweを感じると、その壮大な体験の前に自分がどれほど小さい存在かを実感します。これにより自我中心的な考えが薄れ、「私は集団の中でそれほど重要ではない」という認識が生まれます。これは謙虚さを育み、自己超越へと導きます。

③帰属意識の形成
自我の相対化が進むと、私たちは自分だけでなく、周囲の人々や環境とのつながりをより強く感じます。「何か大きな全体の一部である」という感覚は、他者への共感や親密さを深める原動力となります。

④身体的感覚の高まり
Aweは、文字通り肌で感じる体験です。鳥肌が立つ、背中がぞくぞくする、口が開いてしまう、涙が溢れるなど、強烈な身体的反応を引き起こします。「心を揺さぶられる」この感覚は、体験の強烈さを物語っています。

これらの定義は、Aweが私たちの心と体に与える影響の理解を深める上で、非常に重要です。驚嘆体験は単に感動的な瞬間以上のものを提供し、私たちの世界観や自己認識を形成する上で重要な役割を果たします。

Aweは自動マインドフルネス!

Awe体験によって、「神経系と脳の両方の働きが弱まる」と言えます。ラニ・シオタは、この現象を「自動マインドフルネス」と呼んでいます。

社会心理学者のラニ・シオタの研究によれば、Aweを体験することは、人間の神経系に特異な影響を与えます。具体的には、交感神経系と副交感神経系が共に緩慢な状態になり、通常は共存しない「戦闘・逃走モード」と「休息・消化モード」が一時的に拮抗する現象が観察されます。この状態は、普段はオーガズムの後にのみ起こる非常に珍しい反応です。

シオタは、この神経系の特異な反応から、驚嘆の主な役割は私たちを行動に駆り立てることではなく、むしろ動きを止めて一息入れさせることにあると結論付けました。他の感情が私たちを特定の行動に向かわせるのに対し、驚嘆は私たちを立ち止まらせ、周りを見渡し、新たな認知的思考を刺激するのです。

シオタはさらに、交感神経系と副交感神経系が活動を停止しているわけではなく、常に(多かれ少なかれ)動いていると指摘します。これは、私たちの脳が静止状態にあるときにも、新たな認知的思考へのアクセスが可能であることを意味しています。驚嘆体験は、私たちを一時的に日常から離れさせ、新しい視点や思考へと導く力を持っているのです。

私たちは日常の中でさまざまな景色に出会いますが、中でも「燃える夕日」や「鮮やかな虹」といった景色は、私たちにAweを呼び起こす代表的なものです。 夕日が空をオレンジ色に染める様子を見て、私たちはみな同じようにAweを感じます。夕日は詩人や作家、写真家、芸術家などのインスピレーションの源であり、彼らにとって尽きることのない創造力を与えてくれます。

その美しい景色は、私たちの心を豊かにし、心の奥深くに感動を与えるのです。 また、自然の中で過ごすことは、私たちの体にも良い影響を与えます。

自然を楽しんだり、神社や教会での宗教的な体験を通じて、私たちは「癒やしと安らぎ」の状態に入ることができます。この状態では、免疫システムの強化、体の修復や成長などの重要な作業が促進されます。

Awe体験は、健康維持に役立ち、心と体の調和を促します。自然の中で時間を過ごすことには、うつ病、糖尿病、肥満、ADHD、心筋梗塞、がんなどのさまざまな疾患の予防効果もあることが分かっています。

好奇心とAweは、互いに作用します。好奇心はAweを呼び、Aweはますます好奇心を高めます。Aweを経験すると、自分にはまだまだ学ぶことがたくさんあると気づかされます。

神経科学者ピーター・エリクソンの研究は、脳が学習するたびに新しい神経回路を形成することを示しています。これは、脳の可塑性と可鍛性をさらに深く理解することを意味し、理論的には、私たちが好奇心旺盛で質問を繰り返していた子供時代のように、常に新しいことを学び続けることが可能です。

大人になっても、子供のように世界を新鮮な目で見ることで、日常生活の中でAweを感じる機会を見つけることができます。普段私たちが当たり前と思っているものからも、驚きや学びを見つけ出しましょう。

自然を散歩したり、美しい景色を写真に収めたり、星空を観察したり、面白い本を読んだりすることで、私たちはAweを体験し、幸福感を高めることができます。

また、感動的なものを見たり聞いたりし、それらの瞬間を記録することも、心の豊かさを増します。私たち一人一人が周囲に良い影響を与えることで、社会全体がより良い方向へと進むのです。


この記事を書いた人
徳本昌大

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
IoT、システム開発のビズライトテクノロジー 取締役
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数 

■著書
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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