大切なことはすべて茶道が教えてくれる。(石川雅俊)の書評

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大切なことはすべて茶道が教えてくれる。
石川雅俊
クロスメディア・パブリッシング(インプレス)

大切なことはすべて茶道が教えてくれる。(石川雅俊)の要約

ビジネスリーダーと組織には、左脳の論理的思考と右脳の創造的思考を融合させ、アートとサイエンスのバランスを見つけることが求められます。これは、不確実で複雑な現代を生き抜く上での重要な要素です。茶道の実践を通じて、私たちは多様で複雑な課題に対して柔軟かつ創造的な解決策を導き出す能力を高めることができます。

茶道がビジネスパーソンに必要な理由

茶道では、美を創造する実践的トレーニングによって、繊細かつ豊かな感性が養われます。また伝統文化という新たな価値観を身につけることができます。さらに、ひらめきがもたらされやすい意識状態を継続的に経験することによって、洞察力や直観力を活用できるようになっていきます。加えて、崇高な価値観や美意識が、少しずつ磨かれていきます。(石川雅俊)

現代のビジネス環境は、変化が激しく、不確実性が高まり、今までの常識が通用しなくなっています。このようなVUCA(変動性、不確実性、複雑性、曖昧性)の時代において、従来の論理的・分析的な「ロジカル思考」だけでは十分ではないことは、多くのビジネスパーソンが実感しているはずです。

現代のビジネス界では、伝統的なロジカル思考だけではなく、デザイン思考、アート思考、クリエイティブ思考、直感的思考といった右脳的思考法が重要視されています。これらは、感性と知性を融合させ、「アート」と「サイエンス」を統合することで、新たな価値を創出し、競争力を強化する力となります。

この分野において、茶道の実践はビジネスパーソンに貴重な学びを提供します。茶道は、美を創出することを通じて豊かな感性を育み、伝統文化や歴史を通して新たな価値観を深める機会をもたらします。茶道の鍛錬によって、得られるひらめきや洞察力は、直観的な思考力を強化し、ビジネスシーンでの新しいアイデアやソリューションを生み出す源泉となります。

さらに、茶道における崇高な価値観や美意識は、日常のビジネス決定においても、より洗練された視点を提供します。 ビジネスリーダーや組織が左脳と右脳の思考を統合し、アートとサイエンスのバランスを取ることは、VUCA時代を生き抜くための鍵となります。

茶道を実践することで、ビジネスパーソンが直面する多様で複雑な課題に対して、柔軟で創造的な解決策を見出せるようになります。

私は7年前から「ビジネス茶道」というイベントをお手伝いしています。このイベントでは、多くのビジネスパーソンが茶道を体験することで、クリエイティブ思考やアート思考を身につけています。

さらに、茶道を通じて、他者とのコミュニケーション能力やリーダーシップ力を養うことも可能です。「ビジネス茶道」は、ビジネスパーソンにとって新たな視点や価値観を提供し、仕事においてもより豊かな人間関係や成果を築く手助けとなっています。

ビジネスパーソンが、たとえ短い時間でもデジタル機器から距離を置く時間を持つことは、健康上の観点からみてもとても大切です。

デジタル機器に囲まれた現代社会では、常に情報に晒され、ストレスや疲労が蓄積しやすくなっています。そのため、茶室という静かな空間でデジタル機器を使わずに過ごすことで、余白がつくれ、心身ともにリフレッシュできます。

茶室という「マイナスの美学の空間」で時間を過ごすことで、瞑想やリラックス効果を得ることができます。さらに、デジタル機器を使わない時間は、目や脳への負担を軽減し、目の疲れや頭痛の予防にもつながります。また、茶室での時間は、自己リフレクションや自己成長の機会としても活用できます。

自分自身と向き合い、内面を整理することで、仕事や人間関係においてもより良い判断を下すことができるでしょう。つまり、茶室での時間は、デジタルデトックスだけでなく、心の充電や成長にもつながる重要な要素と言えます。ビジネスパーソンにとって、忙しい日常の中で茶室で過ごす短い時間が、健康と仕事の両面でプラスの影響をもたらすことは間違いありません。

私自身も茶室で過ごす時間を通じて、この効果を深く実感しています。デジタル機器との距離を置き、約2時間の静寂の中で過ごすことで、心がクリアになり、身体の疲れも感じなくなります。

日常とは一線を画す「一期一会」の体験が、新たなエネルギーを私にもたらしてくれるのです。この貴重な時間は、日々の喧騒から離れ、自己再生の機会を提供してくれます。

「一期一会」「一座建立」「茶禅一味」からビジネスパーソンが学べること

出会いと交流については、茶道に有名な言葉があります。稽古を始めると、遅かれ早かれ、「一期一会」「一座建立」を教えられます。

「一期一会」は、茶道の心根に深く根ざした概念であり、一生に一度の出会いを何よりも大切にする精神を表しています。この考え方は、茶道の稽古やお茶会だけでなく、日常生活における人との触れ合いや、さまざまな物事との出会いにおいても、その瞬間瞬間を尊重し、大切にする重要性を教えてくれます。

すべての出会いは、一生に一度、その時だけの貴重な経験として捉え、心を込めて行動することが、より充実した人生への道を開く鍵となります。

ビジネスの世界においても、一期一会の精神は重要な価値を持ちます。顧客との個々の接触や、同僚、ビジネスパートナーとの関係構築に際して、その一瞬一瞬に全力を注ぐことが、信頼関係と相互理解の強固な土台を築くことに繋がり、結果として成功への道を切り開くことになります。

このように、一期一会の精神を実践することで、ビジネスパーソンは日々の業務や対人関係において、今この瞬間に意識を集中させ、価値のある成果を創出することが可能になります。この考え方は、深い人間関係の構築と、目の前の仕事に対する真剣な取り組みを促し、価値ある成果を生み出すことができるのです。

たとえ同じ顔ぶれで幾度、茶会を重ねたとしても、今日の茶会は、一生に一度のこと。そうとらえれば、亭主は万事に心を配って手抜かりのないよう尽くし、また客も一度限りのことと心得て、亭主の心づくしの機微を深く受け止め、誠心誠意に交流するべきである。(井伊直弼)

江戸幕府の大老の井伊直弼の言葉を実践することで、私たちは自分の人生をより豊かにできるのです。

「一座建立」は、茶道における空間や雰囲気の創造を意味し、茶室の配置や道具、お菓子を通じて、参加者が共に心地良い時を過ごせるような環境整備を強調します。茶会では、参加者が互いに思いやりを持ち、知識や技術、感性を共有することで、質の高い茶席を創出することが可能になります。

この茶道の精神はビジネスの世界においても、同様に大きな価値を持ちます。「一座建立」の考え方は、ビジネスシーンで快適かつ効率的な作業環境を構築する重要性を示唆しています。チームの雰囲気を良好に保ち、プロジェクトや会議を円滑に進めるために、共有空間の質を高めることが成果を引き出す鍵です。

「茶禅一味」という表現は、茶道と禅が同じ精神的な境地を追求していることを示しています。この概念により、茶道での行動―茶を点て、湯を注ぐこと―を通じて、禅の修行で重視される心の静けさや集中力を育むことの重要性が強調されます。同様に、禅では座禅を組むことで内省し、心を整えることが求められます。

茶道の実践を通して、このような禅の精神的な境地へと到達することが可能です。茶禅一味は、感覚を通して得られる深い理解を示し、茶道の深遠な美しさと禅の教えが一体となったものです。茶道と禅は互いに密接に関連しながら、心の平静と精神の集中を通じて人々に平和と感動を与えています。

この精神的な追求は、スティーブ・ジョブズが深く影響を受けた禅の考え方とも通じます。ジョブズは、禅の教えを通じてシンプルさの美学と集中力の重要性を学び、これを彼のビジネスと製品設計に取り入れました。彼のリーダーシップとアップル製品のデザイン哲学において、茶禅一味が示すような心の静けさ、集中、そして内省の精神が反映されています。

ジョブズにとって、禅は単なる宗教的実践を超え、彼の創造的なプロセスとビジネスの成功に不可欠な要素となりました。茶禅一味の精神は、茶道と禅の教えだけでなく、ジョブズの生き方やアップルの革新性にも深く根ざしているのです。

茶道から学ぶこれらの教えは、ビジネスパーソンにとって日常業務や人間関係の中で遭遇する様々な挑戦に対応するための洞察力や直感力を育成します。また、良好な人間関係の構築や、より優れた成果の達成に繋がる重要なスキルとなることでしょう。


この記事を書いた人
徳本昌大

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
IoT、システム開発のビズライトテクノロジー 取締役
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数 

■著書
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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