残り30年ジャーニー 悔いなき人生を歩むための50の教え (大住力)の書評

man holding luggage photo

残り30年ジャーニー 悔いなき人生を歩むための50の教え
大住力
KADOKAWA

残り30年ジャーニー 悔いなき人生を歩むための50の教え (大住力)の要約

人生において「遅すぎる」ということはありません。私たちはいつでも、自分にとっての「最高傑作」を創り出せるのです。本書が最も強く訴えているのは、「後悔しない人生」を歩むこと。そのためには、今この瞬間から勇気をもって自らの舵を取り、好奇心やチャレンジ精神を持って偶然をチャンスに変えていくことが重要です。人生の最期を幸せに迎えるために、日々を情熱的に生きよう――それこそが本書から学べる最高のメッセージです。

理想の自分からバックキャスティングし、行動を重ねよう!

過去を土台にして、未来の姿から逆算し、人生を感動的なストーリーにする。(大住力)

現代社会は先行きが不透明で、年々その変化は激しさを増しています。私たちは、まるで地図のない旅を続けているような状態です。このような時代において、私たちはどのようにして人生の舵を取り、悔いのない生き方を選んでいくべきなのでしょうか?

社会起業家の大住力氏の残り30年ジャーニー 悔いなき人生を歩むための50の教えは、まさにこの問いに対する答えが書かれている一冊です。本書では、著者が、自身の経験から得た教訓をもとに、これからの時代を生き抜くための指針を示しています。

著者はかつて、東京ディズニーリゾートを運営する株式会社オリエンタルランドに20年以上勤務し、安定したキャリアを築いていました。しかし、44歳のときに大きな決断を下します。安定を手放し、「自分の社会的役割」を果たすために退社し、難病の子どもとその家族を支援する「Hope&Wish公益社団法人 難病の子どもとその家族へ夢を」を設立したのです。

この決断は、多くの人がためらうような大胆なキャリアチェンジだったに違いありません。しかし、自らの使命感に従い、新たな一歩を踏み出した著者の行動こそが、本書のメッセージを力強く物語っています。

私自身、44歳までアルコール依存に苦しんでいました。しかし、自分の人生を本気で変えようと決意し、まずは「理想の自分」を明確に描くことから始めました。なりたい自分の姿をバケットリストに書き出し、夢に日付を入れることで、未来から逆算した行動を積み重ねていったのです。

「著者になる」と決めたときには、正直それが本当に叶うとは思っていませんでした。けれども、48歳で出版という夢を実現することができました。このとき、自己肯定感と幸福度が大きく高まり、私の人生はここから本格的に動き出しました。

そして50歳で、私は長年勤めたサラリーマン生活に終止符を打ちました。以降は社外取締役やコンサルタントとして活動を開始し、さらに4年前には、もう一つの夢だった「大学教授」としてのキャリアをスタートさせることができました。広告会社で培ってきたマーケティングの知識を活かしながら、SNSやブログを通じて情報発信を続け、自分のビジョンを少しずつ形にしてきたのです。

もちろん、この道のりは平坦ではありませんでした。数多くの失敗も経験しましたが、それらを単なる挫折とは捉えず、ポジティブに解釈しながら、自分を励まし、前に進み続けてきました。自分の内なる声に耳を傾け、新たな挑戦に踏み出す勇気を持つことで、ハードルをクリアしていったのです。

そして、たとえ失敗してもそこから学び、乗り越える力を身につけることこそが、悔いのない人生への第一歩になることに気づきました。 実際、私も40代で大きなキャリアの転換を経験しました。それは決して楽な道ではありませんでしたが、今振り返ってみれば、すべてがかけがえのない貴重な財産になっていると感じています。

人生には、誰にとっても予期せぬトラブルや逆境がつきものです。しかし、それを単なる障害と見るのではなく、「マジカルチャンス」へと変えるという著者の発想から、大きな気づきをもらえました。困難な状況こそ、自分の限界を超えるきっかけになる。そんな視点の転換が、新たな可能性を拓くのです。

著者が語る「失敗のままやめてしまわなければ、それは失敗ではない」という言葉には、実践的で力強い考え方が込められています。この姿勢を自分の中に根づかせることで、私たちは一歩前に踏み出す勇気を持てるようになるはずです。逆境を成長の糧に変えるこの前向きな姿勢こそ、現代を生きるリーダーに求められるマインドセットです。

大住氏が提唱する「トラブルはマジカルチャンス!」という考え方は、このブログでもお馴染みのクランボルツ博士の「計画的偶発性理論」にも通じます。すなわち、「予期せぬ出来事をチャンスとして活用する」という姿勢です。

この理論で掲げられる「好奇心」「持続力」「楽観性」「チャレンジ精神」「柔軟性」という5つの要素は、著者の生き方とも見事に重なっているように私には思えました。人生の後半を未知の冒険と捉え、偶然の出来事やトラブルさえも、自らを成長させる機会とする。そのための具体的なマインドセットが、本書には余すことなく描かれています。

言い換えれば、『残り30年ジャーニー』は、計画的偶発性理論を現実の人生に応用した、実践的な「人生戦略書」なのです。経営者やリーダーがこれからのキャリアを再構築し、未来に希望を持つためのヒントが詰まっています。

人生に遅いということはない!

今、何歳であっても”最高傑作”はこれからつくれる。

人生のどの段階においても、私たちはこれから自分の「最高傑作」を生み出すことができます。 人生において「遅すぎる」ということはありません。この考え方は、芸術家に限らず、すべての人、そしてもちろん経営者や組織のリーダーにも当てはまります。

「最高傑作」とは、絵画や小説、音楽作品といった芸術的な成果だけを指すものではないのです。 むしろ、それは私たちが情熱を注ぎ、心を込めて取り組むあらゆる挑戦に当てはまります。企業の成長戦略、組織文化の醸成、新たなビジネスモデルの創出、そして地域社会への継続的な貢献など。さらには、日々の小さな気配りや、社員への思いやりでさえ、経営者としての「最高傑作」となり得るのです。

人生における本質的な価値は、「与えること」にあります。時間、知識、経験、愛情、そして笑顔——。これらを惜しみなく他者に提供することで、私たちは深い満足感を得ることができます。与えるという行為は、周囲との信頼関係を築くだけでなく、自らの存在意義を再確認する機会にもなります。

経営においても、この「与える姿勢」は極めて重要です。長期的な信頼の構築や、持続可能な成長の土台となるのは、利他的なリーダーシップに他なりません。「愛とは相手の立場になって、相手のために動くこと」や「ポジションを与え、チャンスを与え、考えや行動指針を与える」といった著者の言葉は、多くのリーダーの心に響くはずです。

近年の脳科学や心理学の研究では、他者への貢献行動が脳内の報酬系を活性化させ、幸福感を高めることが明らかになっています。たとえば、共感や他者理解に関与する脳領域の活動が、援助行動と密接に関連していることが報告されています。 さらに、組織における情報共有や協力行動が、パフォーマンスの向上に寄与することも、数多くの研究で実証されています。メンバー間で信頼に基づくコミュニケーションが行われているチームほど、生産性や創造性が高まる傾向があります。

これらの知見は、他者への貢献が個人の幸福感を高めるだけでなく、チームや組織全体の強化にもつながることを示しています。リーダーが「自分の価値を他者に提供する」という姿勢を持つことは、脳科学的にもポジティブな影響があり、組織の結束力や成果向上にも貢献するのです。

命運尽きる最期の30秒が幸せなら、それは最高の人生だ。

人生の最期に、「あのとき始めておけばよかった」「もっと冒険すればよかった」と後悔しないためには、まさに今この瞬間から、自ら舵を取ることが大切だと本書は教えてくれます。著者の熱い言葉に触発され、私も改めて自分の人生を見つめ直しました。 現在62歳の私に残された時間は、確かに少なくなっています。

しかし「時間を無駄にしないこと」を自分のルールとし、日々を大切に生きることを心がけています。人生最期の30秒をどう迎えるかを想像することは、「今この瞬間からの生き方」を決める行為でもあります。 私自身、アルコールで命を縮めないと決意したことで、人生の舵を大きく切ることができました。

現在は、ベンチャー企業や学生起業家の支援に全力を注いでおり、多くの方に感謝される日々を送っています。「死」を意識したことが、私にとって人生を変える大きな転機となったのです。

著者が語る「人生の最期をピークエンドにすることで、幸福度を高められる」という考え方には深く共感しました。この発想は、ノーベル経済学賞を受賞したダニエル・カーネマンが提唱する「ピーク・エンドの法則」にも通じます。人は出来事全体ではなく、「最も印象的な瞬間(ピーク)」と「終わり(エンド)」でその経験を記憶する傾向があるというこの理論は、人生の時間の使い方を考える上で重要な示唆を与えてくれます。

自分に明確なビジョンやミッションがあるならば、一代でできることには限界があると認識し、その役割を次の世代へつないでいくことが大切です。そして、自分のパーパスに共感し、応援してくれる仲間を増やしていくことも、使命を広げていくうえで欠かせません。たとえ自分がいなくなったとしても、100年、200年後の社会に貢献できるような仕組みを築くことこそが、リーダーに求められる姿勢です。

「残り30年ジャーニー」には、未来を切り開くための50の教えが詰まっています。これらは単なるノウハウではなく、著者が実体験を通じて培った人生哲学に基づいています。たとえば、困難に直面したときに何を考え、どのように行動するべきか。あるいは、自分の強みや才能をどのように見つけ、それをどう活かすか。そうした問いへの具体的なヒントが、本書の随所にちりばめられています。

本ブログの考え方とも通じる部分が多く、共感しながら読み進められる内容です。人生やキャリアに悩みを抱える多くの方に、ぜひ手に取っていただきたい一冊です。

本書は献本いただきました。

最強Appleフレームワーク


 

 

 

 

 

 

 

この記事を書いた人
徳本昌大

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

Ewilジャパン取締役COO
Quants株式会社社外取締役
株式会社INFRECT取締役
Mamasan&Company 株式会社社外取締役
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数
iU 情報経営イノベーション専門職大学 特任教授 

■著書
「最強Appleフレームワーク」(時事通信)
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
徳本昌大 Amazonページ >
 

徳本昌大をフォローする
リーダーウェルビーイング戦略書評生産性向上ブログアイデアクリエイティビティマーケティングライフハック
スポンサーリンク
徳本昌大をフォローする
Loading Facebook Comments ...

コメント

タイトルとURLをコピーしました