一方の取り分が増えればもう一方の分が減るというゼロサムゲームではなく、当事者同士が価値を提供しあうプロセスが交渉。つまり、相互に影響力を持ちながら、解決策を提案しあって、双方が合意可能な行動指針を決めることが交渉だと発想の転換をするのです。(マーガレット.アン・ニールとトーマス.ゼット・リース)
photo credit: Kancelaria Senatu Finał VI Międzynarodowego Turnieju Negocjacyjnego via photopin (license)
交渉の定義を変えよう!
多くの日本人は自分には交渉力がないと悩んでいますが
交渉上手だと思われているアメリカ人も実は同じで
交渉に苦手意識を持っているそうです。
多くのアメリカ人も交渉の仕方がわからずに
失敗を重ねているようです。
当然、私も交渉のレベルを高めたいと考えていますが
今回、交渉術に関する良書を見つけ
マインドセットを変えることができました。
スタンフォード&ノースウエスタン大学教授の交渉戦略教室がそれで
マーガレット.アン・ニールとトーマス.ゼット・リースの
メソッドを学ぶことで交渉への苦手意識を減らせました。
著者の2人は交渉を嫌がるのではなく
交渉によって、問題解決がスムーズになると捉えるべきだと言います。
当事者同士がお互いの価値を提供しあうプロセスが交渉だと
著者たちは定義します。
お互いが解決策を提案し、合意可能な行動指針を決めれば
双方が恩恵を得られるようになります。
この交渉の定義が広がれば、もっと世の中はよくなるはずです。
今より交渉の機会が広がり、経済的なメリットを得るだけでなく
良好な人間関係を築けるはずです。
欲深い、わがまま、嫌な人だと思われることも減り
コミュニケーションも活発になります。
交渉を単に自分の要求を叶える場ではなく、相手にとっても合意可能で自分が抱える課題へのソリューションを見つける方法であるととらえ、相手の課題解決にもつながる話し合いの場へと意識をシフトさせると、交渉が「あなたと相手が協力して問題解決をする機会」へと変わっていきます。
こう考えると協調的に問題解決するアプローチが見つかるはずです。
ゼロサム型をやめ、相手を意識しながら交渉をすることで
良い結果が得られるようになります。
自分の立場からのアプローチだけではなく
相手の視点に立って、交渉戦略を考えるようにします。
本書では、経済学(トーマス教授)と心理学(マーガレット教授)の
両方のアプローチを取ることで、結果を出せる交渉戦略を学べます。
ゴール設定や情報収集、相手の心理などを考えながら戦略を作ると
交渉のイメージが膨らみます。
自分だけでなく、相手の目標も考えると交渉の穴がなくなり
しっかりと準備ができるようになります。
交渉で議論されるトピックは調和型、分配型、統合型の3つに分かれます。
調和はお互いのメリットが明確で、すぐに決着がつきます。
分配型は売り買いに価格差が生じるため
一方が得をし、もう一方が損をするなど勝ち負けが生じます。
最後の統合型はお互いの要求をいくつか並べて
その中でお互いが恩恵を受け取れるように交渉します。
一つの分野で譲ったなら、別の分野では相手に譲歩してもらい
双方が満足する結果を得られるようにするのです。
交渉において、しっかりと情報交換することで
交渉の材料がいくつかあることが明確になり
そこから、新たな価値を創造できるようになります。
このようにWinーWin、三方よしの発想で交渉すると
みんなが納得できる結果を得られるはずです。
経済学と心理学の視点で希望をはっきりというようにする!
「期待」はとても大きな影響力を持っています。なぜなら、それはあなたが設定するゴールでもあるからです。設定するゴールが低すぎれば自分の力を最大限発揮できていないことになり、逆に極端に高いゴールを設定してしまうと、目標を達成できずに残念な気持ちになるかもしれません。
アメリカ人でも交渉できずに終わることが多いのです。
毎日の生活の中には、多くの交渉のチャンスが潜んでいます。
そのチャンスを生かすためには
交渉すべきか否か、視野を広げて判断することが大切なのです。
自分には価値があるのに、交渉できずにいると
未来の自分のチャンスを潰してしまいます。
交渉に抵抗を感じる人は、交渉のメリットを過小評価したり
逆にデメリットを過大評価している可能性が高いと著者たちは言います。
交渉に不快感を持つと、せっかくのチャンスを逃してしまいます。
また、高い期待値を設定することで、自ずと交渉の成果も改善します。
高い期待値を設定することによって、私たちはパフォーマンスを改善し
大きな目標を達成できるようになります。
達成できなくても、自分の評価を良くすることで
別の果実を得られるようになります。
本書には面白い事例が数多く紹介されていますが
給与交渉において女性の方が交渉下手だという話が印象に残りました。
ハーバードビジネススクール出身者でも、女性の給与が低いそうです。
調査で調べたのは、男女の初任給の差です。
ハーバードビジネススクールを卒業する女子学生は
なんと男子学生と比べて6%も低い給与で合意したそうです。
ボーナスになるとその差はさらに開いて
女子の方が19%も低いという結果だったのです。
この給与とボーナスの金額に影響を及ぼしたのが期待値でした。
期待値が曖昧であるほど、男女間での差が開いたのです。
しかし、情報を明らかにすることで、違う結果が出ました。
給与やボーナスの相場額を事前に伝えて、情報量の調整をすると
交渉での態度や結果に男女差は見られませんでした。
つまり、双方に同程度の期待値を設定すれば、同じ結果になったのです。
女性だからという不利な思い込みを事前に無くし
情報収集を重ね、期待値を上げることで
給与とボーナスが男性の水準と同じになりました。
自分が交渉に望む際に、ゴール設定や情報収集することで
給与をアップできるのですから、戦略を練ることは意味があることなのです。
当然、給与以外にも様々な要素が面接ではあるはずですから
譲るべきところは譲って、お互いが恩恵を得られるようにしましょう。
まとめ
交渉術を学ぶことで、より豊かな人生を送れるようになります。
事前に準備を重ねたり、期待値を高めることで
良い結果を得られるようになります。
相手のゴールを意識し、Win-Winの関係を作れれば
自分のチャンスが広がるのです。
ソーシャルメディアを武器にするための10カ条 [ 徳本昌大 ] |
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