熊谷徹氏の5時に帰るドイツ人、5時から頑張る日本人 ドイツに27年住んでわかった 定時に帰る仕事術の書評

日本の労働には大きく4つの問題がる。第一が少子化による労働人口の減少。第二が先進7ヶ国中でビリという低い労働生産性(労働者一人が一時間で生み出す価値)。財政危機のうえ残業などに縁のないスペインやイタリアより二割も低い、というのだから国辱的低さである。第三が正規と非正規職員の不合理な格差、子育てや介護との両立の困難。第四は長時間労働だ、最近は過労死がしばしばニュースになっているが、先進7ヶ国中は日本人の労働時間が飛び抜けて長い。(藤原正彦)


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長時間労働が生産性を下げる?

働きすぎ改革の議論が進んでいますが、国や経済界は長時間労働をよしとする旨の法案を通そうと躍起になっています。私も好きな仕事をしているときは時間が気にならず、ついつい働きすぎてしまいますが、そんなことを続けているとやがて心と体が疲れ、ストレスを抱えることになります。限界にチャレンジすると集中力がなくなり、逆に生産性を下げてしまいます。長時間労働が常態化するとやがては自分の成長を止めてしまうのです。最近は働きすぎは自分のパフォーマンスに影響すると考えるようになり、私は休息と睡眠を意識していますが、これを労働者側だけに求めるのは無理があると思います。企業や社会、政治家が残業を減らし、リフレッシュしたほうが生産性を上げるという議論をもっともっとすべきです。

週刊新潮3/8 号藤原正彦氏は日本の長時間労働の問題点を指摘しています。平日の長時間労働によって、土日は寝ているだけの休日になり、他のことをする時間を奪います。やりたいことをする時間や自分への投資ができなくなり、人生をつまらなくしてしまいます。これでは自らの活力を削ぎ、仕事のアイデアも生まれなくなります。働きすぎが結婚や子作りに影響し、人口のバランスを崩しているにも関わらず、残業を強いるような法案が国会で議論されているのは寂しい限りです。

先日のブログでも書きましたが、過度な残業は生産性を下げてしまいます。スタンフォード大学の調査によれば、55時間を超過して働くと生産性が急激に低下することがわかったのです。週に70時間働く者は、余分な15時間で何も生産しないことになり、ただ単にストレスを増やしただけでした。これはよく考えればわかることで、働きすぎにブレーキをかけなければ、過労死を助長したり、うつ病を増やしてしまいます。アメリカの一部のハードワーカーのような働き方が当たり前になっている日本のホワイトカラーは無理をし過ぎていることは間違いありません。それでも仕事が好きで、楽しく働いていればよいのですが、過労死などの実態を見るとそうは思えないのが残念です。

過労死を増やさないために何をすればよのか?

産業構造の似たドイツでは残業は一日2時間までならよいが、半年間の勤務時間が一日平均8時間を超えてはならないと決められている。労働基準局が抜打ち調査をし、違反企業には厳罰を科す。それでも生産性は日本より5割も高い。裁量労働制では、特別な事情がある場合は月100時間まで残業させてよいことになる。特別な事情など会社はいつでも作れる。死んでもよいということだ。しかも残業代を働いた時間だけ払わなくてよい。社員を増やすより残業をさせる方が安くつくから、多くの企業がこれに飛びつき過労死はさらに増えるはずだ。我が国の労働形態は日本の恥部である。なぜドイツ型にできないのか。政府は労働力不足に対し、大量の外国人、労働者導入や働かせ方改革など大企業の言いなりとなっている。対症療法に走るのでなく、根本的解決を熟考すべきだ。

ドイツでは働きすぎにブレーキをかける法案があり、過度の残業が禁じられています。残業を強いる会社には罰則が与えられていますし、多くの労働者は自分の時間を大切にしています。残業が生産性を下げることが常識になっているのです。この藤原氏の指摘を読みながら、熊谷徹氏の5時に帰るドイツ人、5時から頑張る日本人 ドイツに27年住んでわかった 定時に帰る仕事術を思い出し、再読しました。日本政府や経済界の考え方を変えるのは時間がかかるかもしれませんが、自分のマインドセットはシフトできるはずです。自分の体や心が傷つきそうになるほど働いてもパフォーマンスは上がりません。自分は機械ではないと考え、勇気を持ってドイツ人の働き方を見習いましょう。

大半の日本人にとって、重要なことを優先するために、重要度の低いことを切り捨てるのは、義理を欠くこともあって勇気がいる。しかし、ワーク・ライフ・バランスを充実させるためには、ある程度の割り切りは必要である。(熊谷徹)

日本社会では「頑張り」や「粘り強さ」が賞賛されますが、これが過労死や過労自殺の原因になっています。自分自身の限界を知り、過度の労働をやめて自分に優しくならなければ、最後に自分を傷つけてしまうのです。うつや病気になったり、過労死する前に、自分の働き方を見直しましょう。企業や社会は自分を守ってくれないと考え、無理をするのをやめる勇気を持つことが自分の人生を豊かにしてくれます。仕事の成功だけでは人は幸せになれません。家族や友人との時間を大切にし、自分の人生をもっともっと楽しんだほうがよいと思います。

まとめ

日本では長年働き過ぎが美徳だと考えられてきましたが、ようやく最近になって過労死が問題視され、ライフワークバランスが意識されるようになりました。ドイツ人は適度に働くことで生産性を高めています。政府や企業の考え方をいきなり変えることは難しいですから、自分の仕事に対する意識を変えましょう。好きな仕事を集中して行い、平日の夜や土日は休息をとったり、自分への投資のために使うのです。働き方を変えると余裕が生まれ、よいことが起こるようになります。

      

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この記事を書いた人
徳本

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数
iU 情報経営イノベーション専門職大学 特任教授 

■著書
「最強Appleフレームワーク」(時事通信)
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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