故ビル・キャンベルのことを“コーチ”と呼んでいました。彼はシリコンバレーで勝つ方法を知っていたからです。彼のリーダーシップ論で特に印象的だったのが、「互いに敬意を払う文化を築くこと」でした。そして、それは組織のトップが作り出すことも彼は理解していました。だからこそ、私はグーグルで敬意ある企業文化を育もうとし、それは今も続いています。(エリック・シュミット)
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経営に信頼を取り入れなければならない理由
1兆ドルコーチ シリコンバレーのレジェンド ビル・キャンベルの成功の教えの書評を続けます。ビル・キャンベルは人との信頼にこだわったコーチでした。シリコンバレーというITベンチャーが集う場所で、信頼を経営に取りいれたのです。グーグルのCEOだったエリック。シュミットもビルにコーチングを受け、経営を信頼型にシフトしました。
コーネル大学の2000年の論文は、チームにおける「課題葛藤」(決定に関する意見の不一致)と「関係葛藤」(感情の行きちがい)の相関関係を論じています。課題葛藤は健全なものであり、最善の決定を導くために必要なことですが、課題葛藤が高まると、まずい意思決定や士気低下を招きかねない関係葛藤も高まる傾向にあると言います。それを避けるために、経営者はまず、信頼を築くべきだと研究者たちは指摘します。
しかし、ほとんどのビジネスパーソンは、会うとすぐ用件に入り、時間を短縮しようとします。現代のビジネスパーソンはやることがたくさんあり、目先の優先事項を仕上げようとします。ましてやシリコンバレーでは、賢さが評価基軸になっています。信頼などは価値がないものと思われているのです。
信頼はあらゆる関係の基盤です。信頼関係のあるチームにも意見の相違は生じますが、感情的なしこりは少ないことがわかっています。
ビルは野心的なテクノロジストたちと付き合っていたが、彼らとは世界の捉え方がまったくちがった。彼はこの世界を、お互いの強みと弱みを知ったうえで信頼し合い、協力して目標を達成しようとする人々のネットワークと見なしていた。(シシル・メヘロートラー)
信頼を築くために、伝説のコーチのビル・キャンベルは雑談を活用し、1on1を実施していました。ビジネスライクな付き合いではなく、人との人間関係を築くことから始めたのです。
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苦境の時には、CEOがコーチになろう!
信頼関係があるからこそ、人に対して様々なアドバイスができます。相手の強みを伸ばし、弱みを気づかせるためには、率直なコミュニケーションが欠かせません。コーチは雑談を重ねることで、相手への理解を深めることができ、信頼を深められるのです。
コーチとは、自分がなれると思っている人物になれるように、聞きたくないことを聞かせ、見たくないものを見せてくれる人だ。(トム・ランドリー)
NFLダラス・カウボーイズのコーチを29年間務め、チームを20シーズン連続勝ち越しと2度のスーパーボウル優勝に導いた名将、トム・ランドリーも言うように、コーチは経営者に嫌なことを伝えなければなりません。CEOとの信頼があるからこそ、コーチは相手に嫌なことが言え、その結果、経営を改善できるのです。
CEOは組織のコーチになるべきです。J.クルーとギャップの元CEOで、ビル・キャンベルとともにアップルの取締役を16年間務めたミラード・”ミッキー”・ドレクスラーは、CEOが自信を持ち、チームを牽引しなければならないと述べています。ものごとがうまくいっていないときにこそ、CEOの存在が重要になります。
社員は毎日ボロボロの状態で仕事に来る。みんな気が滅入っている。リーダーは自分1人で問題を解決できないし、チームの士気が低くても解決できない。だからチームの自信を醸成しなくては。(ミラード・”ミッキー”・ドレクスラー)
組織に自信を与えること、部下を信頼し、チームを元気にすることがCEOの役割です。ビルはコーチとして、CEOを励まし、CEOを組織のコーチにすることに尽力しました。クライアントのCEOたちにとてつもない信頼を寄せ、高い目標を設け、勇気の伝道師になることで、グーグルやアップル、インテュイットなどで結果を残せたのです。
まとめ
伝説のコーチのビル・キャンベルは、経営者やチームのメンバーとの信頼を築くことを重視しました。信頼があるからこそ、相手に嫌なことを伝えられ、組織をよくできるのです。コーチの仕事は相手に信頼をよせ、勇気を与え続けることなのです。
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