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たいていのことは20時間で習得できる
著者:ジョシュ・カウフマン
出版社:日経BP
本書の要約
現代人は時間が足りないという言い訳をして、新しいスキルの獲得を先延ばしします。そんな時に「超速スキル獲得法」を活用すれば、20時間程度で新しいスキルを習得できます。何を練習するかを決め、最適な練習方法を考え、練習時間を確保し、目標とするレベルに達するまで練習するだけでよいのです。
何かを始めたければ、20時間を意識しよう!
「やりたいことは山ほどあるのに、まったく時間がない」。現代人に共通の悩みだろう。やってみたいと思うことがどれだけあるか、ちょっと考えてみよう。あなたのリストにはどんな項目が並んでいるだろうか。さっさと始めない理由は何だろう。理由はたいてい二つ。時間とスキルだ。不愉快な真実を言ってしまおつ。およそ人生で実り多い経験というのは、ある程度のスキルを必要とする。スキルを身につけるには時間と努力が必要だが、たいていの人は時間がないし、努力もしたくない。だから「時間ができたら、いつかやってみよう」となる。(ジョシュ・カウフマン)
現代人は時間がないという言い訳によって、新しいスキルの習得を自ら拒んでいます。時間ができたらいつかやろうと考えると、行動を先延ばししてしまいます。
そして、何かを始めた時に、大概の人は、それを上手くできないという不愉快な真実があります。どんなスキルにも、”イライラの壁”と著者が呼ぶものがあります。スキルがおそろしく低く、それが自分でも痛いほどよくわかっている時期を過ごさない限り、物事は上達しないものです。
著者の経験では、このイライラの壁を超えるには、およそ20時間の練習がかかるとのことです。これは挑戦することについて知識ゼロの状態から、明らかにうまいと言える段階まで到達するのにかかる時間だそうです。著者は20時間で新しいスキルを身に付ける「超速スキル獲得法」を明らかにすることで、1万時間の法則を信じたくない人に勇気を与えました。(アンダース・エリクソン博士の1万時間はプロになるための時間で、超速スキル獲得法は必要十分という考え方に基づいています。)
超速スキル獲得法とは、習得したいスキルをできるだけ小さなパーツに分解し、そのうち特に重要なものを見極め、まずそれを意識的に練習するというプロセスである。そう、たったそれだけのことだ。
超速スキル獲得法は、以下4つのステップに分かれます。
1、分解
スキルをできるだけ小さな「サブスキル」に分解する
2、学習
賢く練習できるように、また練習中に自己修正ができるように個々のサブスキルについて十分な知識を得る
3、除去
練習の邪魔になる、物理的、精神的、感情的障害を取り除く
4、練習
特に重要なサブスキルを少なくとも20時間練習する
超速スキル獲得法においては、何を練習するかを決め、最適な練習方法を考え、練習時間を確保し、目標とするレベルに達するまで練習するだけでよいのです。これだけで、新しいスキルを短時間で習得できるようになります。
超速スキル獲得法の10のルール
新しいスキルを練習しはじめると、きわめて短期間のうちに自然と、そして明らかに上達する。大切なのは、とにかく早く練習を始めることだ。練習について考えたり、思い悩んだりするのではなく、実際に練習するのだ。
著者は、短時間で新しいスキルを獲得するための10のルールを紹介しています。
1、魅力的なプロジェクトを選ぶ
関心のあることを習得すると決め、それを選ぶようにします。
2、一時に一つのスキルにエネルギーを集中する
エネルギーを注ぐスキルは1つに絞れば、時間を有効に使えます。
3、目標とするパフォーマンスレベルを明確にする
ちょっと頑張れば、達成できそうなゴールを一旦作ります。小さなゴールを達成した後で次の目標を考えるようにしましょう。
4、スキルをサブスキルに分解する
スキルを十分小さく分解すれば、最も重要と思われるサブスキルを特定するのもずっと楽になる。まずカギとなるサブスキルに集中することで、少ない努力でたくさん上達できる。スキルを分解することで、とても無理だという気分になるのも避けられる。スキル全体を同時に練習する必要はない。それより最も劇的な効果が期待できるサブスキルに集中するほうがずっと効果的だ。
プロセスの初期に段階で重要ではない、サブスキルを取り除き、大切なサブスキルにフォーカスできます。
5、重要なツールを手に入れる
効率よく練習するために準備すべきツールを用意し、時間を節約しましょう。
6、練習の障害を取り除く
セットアップを習慣化すると効率が上がります。ツールを準備し、手間取らないようにすべきです。気が散るような環境、恐れや恥などの感情を排除しましょう。
7、練習時間を確保する
スキル獲得の時間をつくる一番の方法は、付加価値の低い時間の使い方を洗い出し、それを意識し、なくすことです。付加価値の低い時間の使い方を排除することで、スキル獲得に使える時間は大幅に増えます。
1日あたり投下できる時間が増えるほど、スキル獲得までの総時間数は短くなる。 練習を始めたら、20時間に達するまで何があっても続ける。行き詰まっても、やりつづけるのだ。目標とするパフォーマンスレベルに到達するまで、あるいは20時間を投資するまでやめてはいけない。20時間も注ぎこむのが嫌だと思うぐらいなら、最初から別のスキルを選んだほうがいい。この理由は単純だ。スキル獲得のプロセスでは、たいてい初期段階が特に辛く感じるからだ。
新しいスキルを習得するために、最初から20時間はがんばると決め、あきらめないことをルールにしましょう。
8、すぐにフィードバックが返ってくる仕組みをつくる
正確なフィードバックが返ってくるのに時間がかかるほど、スキル獲得に時間がかかってしまいますから、コーチなどから、適切なフィードバックをもらいましょう。すぐにフィードバックが返ってくると、自然とスキル獲得が加速します。
9、時計のそばで一気に練習する
新しいスキルを練習する初期段階では、それまでに練習した時間を過大評価しがちです。うまくいかないと(またそれを自分でわかっていると)、時間はなかなか経たない気がして、実際よりも長く練習しているように思えてきます。この問題を解決するには、時計のそばで練習することです。
カウントダウンのできるタイマーを使って、20分測って、トレーニングを続けましょう。タイマーをスタートしたら、ベルが鳴るまでわき目もふらずに練習します。これを何度か繰り返すと、短期間でスキルを習得できます。練習した時間が長いほど、スキル習得は速くなります。
10、量と速さを重視する
新しいスキルを学ぼうとすると、完壁にやりたくなります。しかし、素人には失敗がつきもので、イライラが募ります。最初から、完壁を目指そうとせず、「これで十分」というフォームを維持しながら、できるだけ速く、できるだけたくさん練習することに集中しましょう。
何かのスキルを習得したければ、さっさと始め、それを繰り返すことです。著者のスキル獲得法を活用して、自分の可能性を広げましょう。コロナ時代は自宅での時間が増えますから、新しいスキルを習得するチャンスです。本書のノウハウはその際の参考になるはずです。
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