アニンディヤ・ゴーシュのTapスマホで買ってしまう9つの理由の書評

エコシステムを成功させるために重要なのは、どんな関係でも互いを尊重することが重要だと認識することだ。顧客といつ、どのくらいくの頻度でつながるかを汲み取る必要がある。(アニンディヤ・ゴーシュ)

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デジタル・マーケティングに必要な9つの力

スマホが私たちの消費行動をコントロールするようになってきました。朝起きてから、夜眠るまでの間、人はiPhoneをなんどもタップし、情報を得たり、買い物をしています。もし、あなたがマーケターで自分の商品を売りたければ、このスマホを基軸にマーケティングプランを練るべきです。

このプラットフォームは、適切な時間に、適切な場所の適切な店で、適切な製品に対して、消費者一人ひとりに適切な動機(インセンティブ)を提供できるように、状況(コンテクスト)に合わせて即座にターゲティングを行ってくれます。まさにチャンスはスマホというプラットフォームから生まれているのです。

アニンディヤ・ゴーシュTapスマホで買ってしまう9つの理由は、スマホ時代のデジタル・マーケティング戦略を考える際に、ぜひ読んでおきたい一冊です。著者のアニンディヤ・ゴーシュは「Thinkers50」選出の新進気鋭の経済学者で、豊富な調査研究と世界の最新事例をもとに、消費者の行動を徹底分析しています。

そこから著者が見つけたのが、状況(コンテクスト)、場所(ロケーション)、時間、顕著性、混雑度、天気、購買行動(軌跡)、社会的関係、テック・ミックス(端末と広告フォーマットの組み合わせ)の「9つの力」です。この力を最適に組み合わせることで、顧客とWin-Winの関係を築けるようになるのです。しかし、組み合わせを間違えると失敗をおかし、消費者の信頼を裏切ります。うざい広告を配信してきた、ダメなクライアントと思われてしまうのです。

たとえば、購買行動のなかには、平日と週末で異なるものがあります。人の行動は時間や場所、状況によって変わります。特定の場所と時間帯を掛け合わせると明らかに効果的に思える広告アプローチでも、ターゲット顧客の社会的関係が変わったり、買い物する状況がわからなければ、失敗するどころか逆効果にさえなりかねません。平日では経営者の顔を持った人も、休日には優しい父親となりますが、経営者というデータを鵜呑みにし、休日に仕事の広告を送信すれば、顧客にとっても大事なメッセージでもスルーされてしまいます。

(9つの)各力の組み合わせに焦点を絞り、そこに注力すれば、自社の製品やブランドへの評価とかかわり方を変えるだけでなく、適切な顧客をより簡単に見つけ出して的確にターゲットを絞ること、早く購入させて利益を提供すること、その関係を長期間維持することができるようになる。こうしているあいだにも、さまざまな企業がこの現実を作り出し、改善している。しかし、この方程式で利益を得るのは企業側だけではない。消費者もまた、自分とより関連性の高い製品を見つけ、自分のニーズにもっとも一致する提供者に協力できる。

モバイル広告は一部の人からは嫌がられていますが、最近では受け入れる人が増えています。マーケターが顧客と適切にかかわり、それと引き換えに実質的な価値を提供できると思わせることができれば、顧客との関係をより親密なものに変えられます。モバイル端末は、消費者にもたらす利益を最大限に増やし、煩わしさを最小限に抑えるべきマーケティングに理想的な媒体だと捉え、適切なコミュニケーションを設計するようにしましょう。

古典経済学によれば、割引すれば製品がたくさん売れる。直感によれば、消費者は遠くの店よりも近くの店に行く可能性が高い。あるいは、検索アプリやショッピングアプリの上位に表示された製品を選ぶ可能性が高い。天気がよければ、徒歩でも車でも客は増える。モバイル広告のパワーは、この9つの力の掛け合わせにある。

消費者はデジタル空間での楽しい時間をぶち壊す広告や、自分とは関係のない広告を嫌悪します。この問題を解決することがマーケターには求められています。顧客の情報をしっかり抑え、必要な情報を適切なタイミングで送れれば、広告を「邪魔で迷惑なもの」という先入観を和らげることができます。

そのために、マーケターは何をすればよいのでしょうか?考える際に、著者の次のアドバイスが参考になります。

消費者に主導権を握らせながら、彼らが決定を下すのに必要な最適量の情報を与えることだ。それをもっとも効果的におこなうためには、以下の9つの力を考慮する。状況(コンテクスト)、場所(ロケーション)、時間、顕著性、混雑度、天気、購買行動(軌跡)、社会的関係、テック・ミックス(端末と広告フォーマットの組み合わせ)だ。これらの力をすべて意識するのは無理な注文のように思える。しかし、ますます洗練されていくモバイル・エコシステムとさまざまな技術によって、消費者のニーズに応じて目に見える実質的な価値を継続的にもたらせるようになるはずだ。

たとえば、消費者は遠い店よりも近い店を訪れる可能性が高く、検索エンジンかショッピングアプリが示す結果では上位に近い商品のほうが購入されます。天気によって、買い物客の行動が左右されます。今までのマーケティングでは9つの力を組み合わせることは難しかったのですが、技術の進化で様々なことをトライできるようになったのです。このトレンドを捉え、チャレンジした企業が勝者になるのです。

価格が安くて店との距離が近いと、クーボンの利用率は高くなるという仮説を検証できます。この種の直感的な質的洞察を量的洞察に変えることができるのです。実際に、数値で測定し、それを精査し、PDCAを回していきましょう。9つの力の相互作用をしっかりと設計し、データを検証すれば、モバイル広告の力を引き出せるようになります。

9つの力のすべてを最大限に活用する最適なプラットフォームが、iPhoneに代表されるモバイル・チャネルです。このチャネルは、消費者が適切なときに、適切な場所の適切な店で、適切な商品を購入する適切な動機(インセンティブ)を一人ひとりに合わせて提供するために、状況に応じて瞬時に広告のターゲットを絞れます。

 

マーケターは9つの力を最大限に組み合わせよう!

スマートフォンとセンサー技術が新たなデータ収集方法を生み出すにつれて、マーケターが入手できる膨大なデータはこれからも増え続けるだろう。行動心理学の革新的な研究により、モバイル・データの解釈は人間の基本的な性質について新たな事実を浮き彫りにした。スマートフォンとのやりとりに関して、地域や人種に関係なく万人に共通する欲求がひとつある。それは、日々の生活をより便利にし、決断を下しやすくする、自分と関連性の高いメッセージを受け取りたいという基本的な欲求だ。

消費者は広告を拒否し、画面から排除したがっているように捉えがちですが、消費者は心の奥底で広告をありがたく思っています。人間の矛盾する4つの行動パターンを知り、消費者と寄り添うことができれば、顧客を広告を受け入れるようになります。

1.思いつきで行動しようとするが、実は慣れ親しんだ行動に従う安心感を重視するため、行動が予測できる。
2.広告は煩わしいが、情報は逃したくない。
3.選択の権利と自由を望むが、選択肢が多すぎると途方に暮れる。
4.プライバシーに敏感だが、個人情報が取引条件となることが増えている。

私たち人間は習慣の生き物です。試着しなくてもサイズが合うと知っているから、行きつけのお気に入りのショップで買い物をします。味もサービスもよいとわかっているので、行きつけのレストランに足が向くのです。時には、新しい店にも行くかもしれないが、地元の店で確実に得られる満足と安心感も大切にしています。

わたしたちにとって、「新しい」ことは、しばしばふだんの好みに少し変化を加えたものを意味するのだ。これはいくつかのバイアス、なかでも今日の選択が将来の選択肢に影響を与えるという考えから生じる”多様化選好”に根差している。

ウォーリック大学ビジネススクールの行動科学教授ダニエル・リードとカーネギー・メロン大学の経済心理学教授ジョージ・ローウエンスタインは、人間はすぐに消費しないときはより多様な商品を選ぶが、すぐに消費するときは似たようなものを多く選ぶ傾向があることを明らかにしました。

著者は、モバイル・マーケティングを活用し、安心感と好奇心に同時に訴えることで、顧客の信頼を得られるようになると指摘します。ネットで在庫がなくて購入できなかった商品や、買い物かごに入れっぱなしの商品など、個人の閲覧履歴を小売業者が知っていたら、店の近くにきたときに在庫があることを知らせ、来店する動機(モチベーション)を提供できます。また、自宅にある商品の補充時期や交換期限がきたと知っていれば、関心を持つとわかっていれば、タイミングよく提案ができます。企業は、割引や欲しい商品がすぐ近くにあることなど、自発的に来店する動機を与えることで、顧客の行動を変えることができるようになります。

モバイル広告が受け入れられるにつれて、消費者の行動が急速に変化しています。マーケターが、消費者のクリックと引き換えに顧客に価値を提供できるなら、世界中の消費者は着実にマーケターと信頼関係を築いていくはずです。これからのマーケティングでは、消費者の利益を最大限に増やし、押しつけがましさを最小限に抑えるようにすべきです。

広告がモバイル端末で適切に露出されれば絶大なインパクトを生み出せることを、消費者のこの数年の動きが実証しています。スマートフォンをストーカーにするのをやめ、顧客との信頼関係を構築するための武器にしましょう。本書の主張を今後何回かに分けて、紹介したいと思います。

まとめ

デジタル・マーケティングが盛んになる中で、状況(コンテクスト)、場所(ロケーション)、時間、顕著性、混雑度、天気、購買行動(軌跡)、社会的関係、テック・ミックス(端末と広告フォーマットの組み合わせ)の「9つの力」が注目を集めています。この9つの力を組み合わせることで、顧客とWin-Winの関係を築けるようになります。

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