神田昌典氏、衣田順一氏の売れるコピーライティング単語帖 探しているフレーズが必ず見つかる言葉のアイデア2000の書評


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売れるコピーライティング単語帖 探しているフレーズが必ず見つかる言葉のアイデア2000
著者:神田昌典、衣田順一
出版社:SBクリエイティブ

本書の要約

PASONAの法則を活用し、言葉と構成を意識することで、読者に届くコンテンツが書けるようになります。読者に寄り添う文章を書くことで、共感が生まれ、ものやサービスが売れるようになるのです。本書の667の単語と2000のフレーズを活用することで、文章のレベルを一気に引き上げられます。

読者を引きつけるPASONAの法則

デジタル変革の時代に、誰でも擦れる「魔法のランプ」があるとするなら、それは、すでに私たちが日常で使っている言葉の力を、最大限に引き出すコピーライティングの技術である。(神田昌典)

文章が上手くなれば、仕事がもっと上手くいくと考える人は多いと思います。ソーシャルメディアやブログから情報を収集することが当たり前になる中で、コピーライティングが、売り上げを大きく左右するようになりました。

コピーライターは、おしゃれな言葉を紡ぐ人と思われがちすが、彼らの重要な仕事は読者の共感を得ることです。印象に残らない空虚な言葉をいくら並べても、読者の心は響きません。売れるコピーを書く人たちは、読者の心をつかむために、あるテクニックを使っているのです。

では、彼らはどのように読者の心をつかんでいるのでしょうか?

私が広告会社で働いていた頃、何度も優秀なコピーライターと仕事をしましたが、彼らはクライアント視点ではなく、顧客の立場になり、商品の魅力を語ることを意識していました。彼らは魅力ある「言葉」を生み出すために「構成」を考えることで、人を動かすコピーを書いていたのです。

売れるコピーライティング単語帖の著者の2人も、「構成」の重要性を説いています。縦糸である「言葉」と横糸である「構成」を上手に紡ぎ、販売する商品を分かりやすく説明できたとき、「売り手」のもとに、ぴったりの「買い手」が集まります。

神田氏は「PASONAの法則」を使うことで、読者に刺さるコピーを簡単に書けるようになると言います。PASONAのフレームワークは以下の英語の頭文字を並べたもので、この法則を使うことで、読者の共感を得られます。

P:Problem 買い手が抱えている問題点である「痛み」を明確化する
A:Affinity 売り手が買い手の痛みを理解し、解決する術を持っていることを感じてもらう
S:Solution 問題の根本原因を明らかにし、解決へのアプローチ法を紹介する
O:Offer 解決策を容易に取り入れられるように、具体的な商品・サービスの提案を行う
N:Narrow  解決策が功を奏して、購入後満足いただける買い手の条件を絞り込む
A:Action 痛みを解決するために必要な具体的な行動を呼びかける

文章を書くには、言葉と構成が重要な要素になります。構成×言葉=反応率と考えると、このPASONAの法則の重要性を理解できます。人は自分の痛みを解決するために検索を行い、ものやサービスを買うのですから、顧客の痛みにフォーカスしなければ、反応率が高まるわけがありません。

売れるコピーライターは、人の痛みに敏感で、彼らの痛みをイメージし、言語化していきます。コピーライターが顧客の痛みを見つけ、それをわかりやすいストーリーにするから共感が生まれるのです。

比較で興味を引く

問題点を明らかにする手法の一つに、比較で興味を引くというテクニックがあります。他社と自社を比較し、価値を提供することで、製品やサービスに注目を集められます。読者の興味を引く「ギャップ」をコピーで作ることで、自社の優位性を明らかにできます。

たとえば、金持ち父さん 貧乏父さんという本のタイトルを見れば、顧客の頭の中に変化を起こせます。人は「望ましいもの(金持ち)」と「望ましくないもの(貧乏)」を対比させられると、「その違い(=ギャップ)はどこにあるのか?」と自然に知りたくなります。

コピーライティングの歴史上、最も有名なセールスレターの1つにウォール・ストリート・ジャーナル購読の広告がありますが、同紙はこの手紙1本で、累計数千億円を売り上げたとも言われています。よく似た大学時代の同期の2人が、25年後に再会したときもよく似ていましたが、1人は社長となり、1人は管理職という立場に甘んじていました。

この立場の違いは「ウォール・ストリート・ジャーナルを読んでいたかどうか」というオチなのですが、2人の主人公を比較するだけで、読者は新聞の価値を理解できます。「対比」という演出方法は、明暗を分けたストーリーがあることを暗に示し、読み手の心をつかむことができます。 

また、読み手に寄り添うことで、読者との距離を縮められ、親近感を生み出せます。リアルで名刺交換をするときに私たちは相手との共通点を探し、共感を得ようとしますが、コピーを書くときにも同じことをするのです。

人は自分との「共通点」があると他者に親近感を感じるものだ。これは、「類似性の法則」とも呼ばれている。そして、共通点を見つけるだけでなく読み手の感情に寄り添うことで、さらに強く親近感を感じさせる。寄り添うというのは、読み手を励ましたり、読み手の立場に理解を示し、同意することである。「あなたの味方or理解者ですよ」とエールを贈るわけだ。実際のコミュニケーションでも、自分の考えに理解を示して、賛同してくれた相手に好感を持つことは多いが、コピーにおいてもこの原則は変わらない。聞き手は読者の立場に寄り添うことで、「自分の主張」にも理解を示してもらえる。つまり、「共感」はセールスにおける頼もしい武器なのだ。

先ほども書きましたが、優秀なコピーライターは読者の立場に立つことで、親近感を得ています。共感はセールスにおける強力な武器だと捉え、読み手に寄り添う文章を書きましょう。

本書には、コピーライティングでよく見る単語が667語とフレーズが2,000収録されています。その単語一つ一つに解説があり、すぐにコピーが書けるようになっています。できる人VSできない人、泣く人と笑う人の対比やフレーズを読むことで、コピーのアイデアが浮かんできます。文章を書くときに本書をデスクの横に置いていくことで、書くことのハードルを下げられるはずです。私もブログのタイトルに悩んだときに、すぐに本書を開こうと思います。

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