書評 アルバート=ラズロ・バラバシの ザ・フォーミュラ 科学が解き明かした「成功の普遍的法則」

パフォーマンスが成功を促す。パフォーマンスが測定でき時には、ネットワークが成功を促す。(アルバート=ラズロ・バラバシ)


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ネットワークが成功を左右する?

アルバート=ラズロ・バラバシザ・フォーミュラ 科学が解き明かした「成功の普遍的法則」は、科学的アプローチで成功法則を解き明かした良書です。 著者と研究者チームは、数年の月日を費やして、人間の功績にまつわる膨大な量のデータを集め、人が成功する仕組みを分析しました。

彼らの目標は、成功を数学的な問題として「公式化」することでしたが、データ分析の結果、成功を生み出すメカニズムを発見できたのです。個人的な目標を達成することを著者は「パフォーマンス」と呼びます。この「パフォーマンス」と「成功」には大きな違いがあるのです。

人は何かをうまくこなせるからといって、必ずしも認められるわけではありません。いくら素晴らしい成果を出しても、社会がそれを知らなければ、よい評価を得られません。

あなたのパフォーマンスを社会が知って、受け入れて、報酬を与えなければ、もし世間がこの”世間”とは、孤立した少数の声という意味ではない価値を見出さなければ、そのプロジェクトは行き詰まるか、失速するか、順調なスタートさえ切れない。

社会的な認知のないパフォーマンスは意味がなく、すぐに忘れ去られてしまいます。ただし、テニスのように個人のパフォーマンス(スキルや勝敗)が正確に測定できる分野では、「パフォーマンス」を高めることで、成功を手に入れられます。そうテニスコートの中では、努力が報酬を生むのです。

問題は、パフォーマンスの測定が不可能な分野(業績が客観的にとらえにくいアート)では、「ネットワーク(社会的な要因)」が成功のカギを握るのです。この事実を知れば、パフォーマンスを高めるだけではだめなことがわかります。多くの場合、知名度を高め、ネットワークを強化することが成功を左右します。

 

成功するための5つの法則

成功は集団的な現象であり、パフォーマンスに対する社会の反応によって測定される。そのため、成功という現象を理解するためには、成功が生まれるネットワークについても観察しなければならない。

著者は成功を集団的な現象だと定義し、ネットワークの重要性を指摘します。成功者は家族や友人、会社の中の小さな成功を外の世界へ広げることで、大きな成功を手に入れたのです。彼らはネットワークを駆使する術を熟知し、集団的な意識の中に潜り込み、多くの人々の中の記憶に残ったのです。

共産主義体制のルーマニアから亡命を余儀なくされた物理学者の著者の足取りを読むことで、パフォーマンスだけでは成功できないことを理解できます。成功のためには、ネットワークと社会が重要な役割を担うのです。ネットワークの中で有益な存在だと認められることで、成功が増幅されることが、第一次世界大戦の時のドイツの英雄レッドバロンの事例で明らかにされています。

また、才能が似通ったアル・ディアスとジャン=ミシェル・バスキアの2人のアーティストの人生を知れば、大胆なネットワーカーになることがいかに重要かがわかります。バスキアはアンディ・ウォーホルやキース・ヘリングや画商のディエゴ・コルテスと関係を築くことで、ニューヨークでのポジションを確かなものにしていきます。わずか2年でネットワークの力を活用することで、ホームレスのティンエイジャーがスターアティストに上り詰めたのです。

アートの価値は、実は作品ではなく、ネットワークにあるのです。ネットワークがなければ、モナリザやバスキアも評価されずに終わったはずです。ネットワークのない作品は、どんなにそれが芸術的に優れていたとしても、ガレージセール行きなのです。人づき合いの橋をかけることが成功には欠かせないと信じ、ネットワークを強化しましょう。

著者は本書で以下の5つの成功法則を明らかにしています。
1、パフォーマンスが成功を促す。パフォーマンスが測定できない時には、ネットワークが成功を促す。
2、パフォーマンスには上限があるが、成功には上限がない。
3、過去の成功 x 適応度 = 将来の成功
4、チームの成功にはバランスと多様性が不可欠だ。しかし、功績を認められるのはひとりだけ。 誰の功績かを決めるのはパフォーマンスではない。社会がどう評価するかだ。
5、不屈の精神があれば、成功はいつでもやってくる。

本書ではワインやピアノコンクールなどのコンテストの結果を分析し、パフォーマンスに上限があることを明らかにします。優秀な作品やアーティストを正確に評価しランク付けするのはとても難しいことなのです。コンテンストや面接などでは、実は順番が重要です。選考プロセスが終わりに近づければ、採点者は多くのことを学びます。演技を見るたびに審査員の目が肥えるように、知識を得た面接官はあなたによい質問を投げかけ、優秀さを判断します。

パフォーマンスに上限があるから、審査は難しくなり、順番が結果に影響を及ぼすのです。たとえ、失敗しても自分を過度に責めないようにしましょう。そして、あきらめずにチャレンジを続けるのです。敗北をもたらすのは絶望やあきらめです。優勝者と自分の間の優劣はほんの少ししかないのですから、負けを気にせず、次の機会にもエントリーを続けるのです。

どんな審査や選考にもランダムな要素が伴うことがわかれば、成功とは時として、宝くじのようなものだと理解できるだろう。コンクールで勝ちたければ、せっせと応募することだ。職にありつきたければ、履歴書を送り続ける。主役の座を射止めたければ、オーディションを掛け持ちする。オーディションの順番が最初か最後か、いつでも自分でコントロールできるわけではない。だが当せん確率を高めるためには、たくさん宝くじを買う必要があるように、オーディションに出没する回数を増やせば、望む役柄もずっと手に入れやすくなるはずだ。

そして、著者は膨大なデータ分析から一度勝利を掴むと続けて勝ちやすくなることを見つけます。成功が成功を生み、その規模に応じて成長するのです。最初の勝利を掴んだ後も、チャレンジを続ければ、やがて勝者のポジションが手に入るのです。経済学者のジェニファー・ブラウンはスーパースターが競争相手を威圧し、周囲の優秀な選手のパフォーマンスを下げさせることを明らかにしました。タイガー・ウッズはコースに存在するだけで、ライバルの成績を落としていたのです(タイガー・ウッズ効果)。

このタイガー・ウッズ効果は、スポーツだけでなく、ビジネスやアカデミックな世界、政治やアートなど幅広い世界にあります。スーパースターの前で優秀なライバルたちは精神的プレッシャーを感じ、自分の実力を出しきれなくなるのです。一方実力のない人はスーパースターと協力関係を築くことで、力を発揮できるようになるのです。スーパースターは新たな人材を引き寄せ、ゲームチェンジャーになりやすいのです。

また、パフォーマンスには上限がありますが、成功には上限がありません。とりわけ才能があると世間が見なす者に市場は味方をするものです。社会から認められたひときわ輝くスーパースターが成功の鍵を開け、無限と思われる富の報酬を手に入れたのです。成功で重要なのは社会であり、社会がパフォーマンスに報酬を与えていることを私たちは忘れてはなりません。スーパースターも失敗を犯します。ウッズがスキャンダルで試合に出れない時に、二番手の選手たちはその座を手に入れることができたのです。成功者の時代もなにかのきっかけで終わります。そのポジションを自分が狙えると信じ、決して諦めないようにしましょう。

まとめ

科学的データ分析によって、成功には法則があることが明らかになりました。自分のパフォーマンスを高めると同時に、人との関係をつくれなければ、成功はおぼつきません。審査される順番によって、結果が左右されることを理解していれば、あきらめずにチャレンジを続けられるはずです。

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