ジョン・ウッデンの元祖プロ・コーチが教える 育てる技術の書評


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元祖プロ・コーチが教える 育てる技術
著者:ジョン・ウッデン、 スティーブ・ジェイミソン
出版社:ディスカヴァー・トゥエンティワン

本書の要約

組織のリーダーは明確なビジョンを示し、個々のメンバーのやる気を引き出し、チームを一つにする必要があります。同じビジョンを持ったメンバーが、規律を守り、規律ある行動をとることで、組織は強くなります。メンバーの自滅を防ぎ、最高のパフォーマンスを発揮させるために、規律を徹底すべきです。

偉大なリーダーは部下に関心を寄せる!

部下を教えて、やる気を起こさせる能力は、指導者によって大きな違いがある。知識だけでは理想的な結果を得るのに十分ではないのだ。部下にやる気を起こさせるという、つかまえどころのない能力がなければならないからだ。(ジョン・ウッデン)

ジョン・ウッデンは、アメリカの大学バスケット界の名コーチとして知られています。ウッデンはカリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)を10度全米王者に導いた名将ですが、彼のメッセージはバスケットボールだけでなく、人生や経営にも使えます。

ウッデンは「部下にやる気を起こさせることができないなら、人を導くことはできない」と述べていますが、経営者にもこの能力が求められます。リーダーは部下に敬意を払い、一人の人間として関心を払うべきです。人を動かしたければ、銃を使うのではなく、彼らの趣味や家族に心から関心を示すべきだと言います。リーダーから優しい言葉をかけられた部下は協力してくれるようになり、それだけで業績がアップします。多くの人は自分に寄せられた期待に応えるために、自ら考え、動くようになります。

人を信じることは、人間の高尚な性質のひとつだ。それに対し、人を疑うことは低劣な直感である。疑うのはたやすく、信じるのはむずかしい。けれども、信じれば、それにふさわしい報酬を得ることになる。

人に向かってほほえんだり、明るく振る舞ったりすることで、私たちはそれ以上のものを得られます。ウッデンは絶えず選手に礼儀正しく行動することを求めていました。人を信頼し、礼儀正しさを心がけていると、与える以上のものが手に入るのです。

人間は他人を助け、礼儀正しく行動し、思いやりを持つことで幸せな気持ちになれます。こちらが礼儀正しさと思いやりを示すと、相手もすぐさま同じ美徳で応えてくれます。信頼と礼儀正しさという当たり前のことが、チームを強くするのです。

規律がチームを強くする!

メンバーに、自分の能力を最大限に発揮するために最善を尽くすことを課しなさい。

ウッデンが大切だと信じている目標は、自分の能力を最大限に発揮することです。この目標なら、誰でも実行可能です。反対に人がなしうる最悪の行為は、自滅することだと言います。自滅するというのは、最善の努力をせず、自分の能力を最大限に発揮しないで終わるということです。前の晩に夜更かしをした、個人成績を気にしすぎた、十分な準備をしなくても全力を発揮できると思った、あせって逆効果になることをやってしまった、などが、自滅するということです。

ウッデンは実践的な練習よりも基礎的な練習を重視しました。準備したものにチャンスが訪れ、練習したものだけが結果を出せるのです。(練習の重要性についての関連記事

準備をしておけば、やがてチャンスがやって来る。もしチャンスがやって来たときに準備ができていなかったら、次はなかなかチャンスがめぐって来ないかもしれない。

チャンスが来るずっと前にしっかり準備をしておくことが重要で、チャンスが来てから準備するのでは遅すぎます。

チームを成功に導く6つの条件
チームが成功をおさめるには、次の6つの条件が欠かせないとウッデンは言います。メンバーの一人ひとりが、そして何よりリーダー自身が、次の6つの条件を満たすことが必要です。
1、勤勉に努力していること
2、情熱を持っていること
3、精神面、肉体面、道徳面でのコンディションが万全であること
4、基本に忠実であること
5、チームに貢献する気持ちを持っていること
6、細部にまで注意が行き届いていること
偉大なチームのメンバーは情熱を持ち、規律を守り、日々努力を重ねています。

良いチームを作りたければ、スターを優遇してはいけないとウッデンは述べています。スターがチームと協調をはからない時には、ウッデンは容赦無く彼らをベンチに戻しました。

物事を順調に展開し、選手たちに一丸となってプレーをさせる最適の道具はベンチだ。スター選手であろうと、恐れずにベンチに下げるとよい。実際、スター選手をベンチに下げると、全体的な効果が上がることがある。他の選手たちはそれを見て、より一生懸命にプレーするようになるものだ。

ウッデンが率いた、UCLAのチームは規律と文化を大事にしていました。新入生が集まった日には、チームの規律を守ることの大事さから始まり、靴の履き方から靴ひもの結び方、ソックスの履き方・脱ぎ方まで指導されます。それはスーパースターと同じで、チームのメンバーとともに規律を守ことを学びます。

企業経営でも規律が重要であることが明らかになっています。ビジョナリー・カンパニー 2 – 飛躍の法則の中で、ジム・コリンズは規律の重要性を説いていますが、規律ある行動がとられていれば、過剰な管理は不要になり、メンバー自らが動けるようになります。メンバーが自ら規律を守り、規律ある行動をとる組織が、偉大な企業の条件なのです。(ジム・コリンズの関連記事

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この記事を書いた人
徳本

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数
iU 情報経営イノベーション専門職大学 特任教授 

■著書
「最強Appleフレームワーク」(時事通信)
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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