創造力は眠っているだけだ――人生を充実させる「8つのレッスン」
ヤロン・ヘルマン
プレジデント社
本書の要約
さまざまな分野に関心を向け、好奇心を育むこと、学び続けることが創造力を鍛えることにつながります。多くの事柄に興味関心を向け、内面を豊かにすればするほど、脳の中で日々要素と要素の組み合わされ、アイデアが生まれるようになります。
「創造力」を磨くための10箇条
人生のどの時期であっても、あなたは「創造力」を目覚めさせ、磨き上げることができます。使ってもらえることを待ち望んでいるこの力は、使えば使うほど輝きを増します。「創造力」とは、枯渇することのない泉なのです。(ヤロン・ヘルマン)
ヤロン・ヘルマンは高校生までバスケットボール選手を志していましたが、試合中に大怪我をし、自分の夢を見失います。失意の中で自分との対話を重ねながら、今までとは全く異なる職業であるジャズピアニストの道を選択します。
16歳からピアノを始めるという遅咲きの音楽家ながら、現在では、スタインウェイ&サンズの専属アーティストとして9作のアルバムをリリースしています。
変化を余儀なくされた著者は、創造力を育むことで、自分の人生を切り開きます。著者はその過程で見つけた創造力を以下のように定義しました。
・自身の内面を表す媒体(例:楽器、アイデア、動作など)を用いて独自のものを表現する力。
・「才能」と同義ではない。物事に取り組む姿勢や、人としてのあり方、習慣を示す力。
・何歳になっても、育み、磨くことのできる力。
時代が大きく変化する中で、変化に適応できなければ、あっという間に取り残されてしまいます。創造力を育むことで、私たちはさまざまな課題に適応できるようになります。人生100年時代となり、一生涯でいくつもの仕事を経験する可能性が高まっています。キャリアチェンジをポジティブに捉え、自分のスキルを高めるようにしましょう。その際、著者のアドバイスがとても参考になります。
創造力は人としてのあり方で、要素を組み合わせるおことで、幾つになってもアイデアを生み出せるようになります。人生には課題がつきものですが、創造力(物事に取り組む姿勢)を身につけることで、それを乗り越えられるようになります。
著者は創造力を磨くための10箇条を私たちに提示します。
1、あなたには生来の「創造力」が備わっています。
2、他人のためではなく、自分自身のために「創造力」を発揮しましょう。
3、「ベイビー・ステップ」で始めましょう。あなたの代わりに歩んでくれる人はいません。あなたのために歩めるのは、あなただけです。
4、遊び心を持ち、ゲームや遊びを創り出しましょう。「想像力(イマジネーション)」の続くかぎり、限界はありません。
5、確固たる意志と目標を持って、創造的な活動に取り組みましょう。心ここに在らず、の状態で取り組むのは絶対に避けましょう。
6、あなたの時間は、あなたの持ち物の中で一番貴重です。賢く使いましょう。しっかりと計画を立てることが重要です。
7、困難や失敗はプロセスの一部であり、大きな教訓です。困難や失敗から学び、同じ間違いを繰り返さないようにしましょう。
8、最悪の失敗は、チャレンジしないことです。
9、他人から学びましょう。しかし、自分を他人と比較しないこと。
10、唯一あなたがコントロールできるのは、努力の継続です。粘り強く物事に取り組みましょう!
スペシャリストになるだけでなく、博学を目指そう!
人は、一つの身体でいくつもの人生を生きられます。僕たちの存在は、他人に決めつけられた姿に収まるものではありません。自分自身さえ、自分の全容を正確に捉えてはいないかもしれません。
自分の職業や趣味を一つに固定する必要はありません。著者はピアニストとして生計を立てていますが、その他多くのことにも情熱的に取り組んでいます。
私は元々広告会社で働いていますが、9年前に独立し、社外役員やアドバイザリーとして働いています。当初はマーケティングをポートフォリオの中心においていましたが、経営の課題を解決するためには、さまざまなスキルが必要であることを実感しました。
金融、財務、税務、法律、人事のスペシャリストと仕事をすることで、多様な知識を吸収することができました。彼らのおすすめの書籍を読みながら、自分の知識と体験を組み合わせることで、面白いアイデアを生み出せるようになったのです。
ビジネス書だけでなく、歴史、哲学、アート、小説、健康などカテゴリーを気にせず、乱読することで、自分の中に変化を起こせます。毎日の読書と自分との対話によって、私は日々自分を変化させています。
僕たちは自分自身を素材として創造を行います。自分が何者であるか、自分の中に何があるか。これが創造の材料になります。自己を探求すればするほど、僕たちは多くを学びます。それに伴い、結びつけ、組み合わせ、実験すべきものも増えます。異なる専門分野、異なる世界の要素を統合すればするほど好奇心は高まり、自身に宿る「創造力」の遺伝子を輝かせることができます。
複数の分野で発揮される能力を、英語では「polymathy(博識、博学)」と呼びます。 スペシャリストになるだけでなく、博学になることで、アイデアの幅が広がり、多様な課題を解決できるようになります。
さまざまな分野に関心を向け、好奇心を育むこと、学び続けることが創造力を鍛えることにつながります。多くの事柄に興味関心を向け、内面を豊かにすればするほど、脳の中で日々要素と要素が組み合わされ、アイデアが生まれるようになります。
そのためにできるだけ、未知のものにふれ、探検の旅を再開するのです。身近なところにリスキリングのヒントが転がっています。
・普段とは違うスタイルの音楽を聴く
・歴史や生物学など、未知の分野の本を読む
・詩を創る
・絵を描く
・写真を撮る
・踊る
・自然の中に迷い込む
・楽器を弾く
・さまざまなテーマの講義動画を見る
・量子物理学について学ぶ
・古い映画や演劇を鑑賞する
・ドキュメンタリーを観る
また、既知の事柄を深く探求することも重要です。自分との対話を重ね、子供の頃にやりたかったことにチャレンジするのです。
好奇心を育み、積極的に行動することで、さまざまな知識や体験を蓄積できます。それらが脳内で組み合わさることで、素晴らしいアイデアが生まれるようになるのです。
コメント