パーパス・ドリブンな組織のつくり方 発見・共鳴・実装で会社を変える(永井恒男,後藤照典)の書評

people sitting on chair in front of table while holding pens during daytime
パーパス・ドリブンな組織のつくり方 発見・共鳴・実装で会社を変える
永井恒男,後藤照典
日本能率協会マネジメントセンター

本書の要約

パーパス・ドリブン・経営とは、パーパスを起点としてイノベーティブで一貫した戦略立案や意思決定、社内外向け施策を実行することです。パーパス・ドリブン・経営によって、①人材のエンゲージメント ②イノベーションの創出 ③パーパスに共感するファンの獲得 ④社会課題面でのインパクト創出 ⑤自律型人材の育成 ⑥経営に求められる一貫性、スピード感の高まり ⑦多様性をつなげる組織の一体感の醸成の7つの効果が期待できます。

パーパス・ドリブン・経営を実践することで期待できる7つの効果

今の社会において、「仕事にやりがいを見出せない」「何のために働くのかわからない」といった不平不満を抱えている人は少なくありません。こうした思いは、「個人のパーパス」と「会社のパーパス」が合致していないことによって引き起こされます。(永井恒男,後藤照典)

私が社外取締役やアドバイザリーで参加している企業では、パーパス経営を取り入れています。パーパスを設定し、それを経営に取り入れることで、経営者だけでなく従業員の働き方が変わることを何度も経験しています。

パーパスを基軸にした経営を行うことで、一貫性のある戦略が描かれ、組織に一体感が生まれます。パーパスに共鳴した社員のモチベーションは間違いなく高まり、パフォーマンスが上がります。

優れた組織のメンバーは、パーパスを実現するために、未来のあるべき姿からバックキャスティングし、目標の向かって自走できるようになります。

パーパスに盛り込むべき要素は2つあります。
①その組織の価値観(独自性)・・・自社(自分)が大切にする軸となる考え方
②社会的な意義・・・組織が社会に対してどのような影響をおよぼすかという視点

特にミレニアル世代やZ世代は、社会貢献を重要だと考えていますから、自社の価値観だけでなく、社会的意義を明らかにし、彼らのやる気を引き出すようにすべきです。

パーパス・ドリブン・経営とは、パーパスを起点としてイノベーティブで一貫した戦略立案や意思決定、社内外向け施策を実行することです。

著者は、パーパスよりも「パーパス・ドリブン・経営」が重要だと指摘します。「パーパス・ドリブン・経営」とは自社の存在価値や社会的意義を探求する経営です。

パーパスを描くだけでなく、リーダーがそれを実践すると決め、従業員とともにパーパスを実現しなければ意味がありません。

実際、パーパス・ドリブン・経営を実践することで、以下の7つの効果が期待できます。
①パーパスに共鳴する人材のエンゲージメント
②イノベーションの創出
③パーパスに共感するファンの獲得
④社会課題面でのインパクト創出
⑤自律型人材の育成
⑥経営に求められる一貫性、スピード感の高まり
⑦多様性をつなげる組織の一体感の醸成

パーパス・ドリブン・経営はリーダーから!

社長は自身のパーパスを持ち、さらにそれを会社のパーパスに一致させておくことが大事です。経営判断などがパーパスに基づいて行われなければ、パーパス・ドリブン・経営がまわりにくくなります。そのため、一般の社員よりも経営者のパーパスの一致度が高いことは大事なポイントです。

パーパスを経営に取り入れるためには、経営陣がリーダーシップを発揮する必要があります。経営陣や事業部のトップや管理職は全員自身のパーパスを持ち、会社のパーパスと共鳴していなければなりません。上司がパーパスに基づいた判断ができなければ、組織にパーパスが浸透するわけがありません。まず、リーダーがパーパスに共感・共鳴した姿を社員に見せることが重要です。

「自社のパーパスと自分のパーパスの重なりを見つける」ことができれば、パーパスに共感した社員が高いモチベーションを持って、力を発揮してくれるようになります。結果、業務のパフォーマンスが高まり、イノベーションを起こせるようになります。

著者のクライアント企業で、従業員5000名以上を対象に「幸福度」に関する調査を実施しました。「人生の目的を見つけている度合い(個人のパーパス明確度)」「会社スタンスへの共鳴」を掛け合わせて分析した結果、人生の目的が明確であるほど、かつ、会社スタンスへの共感度が高い社員ほど、相対的に幸福度が高いことがわかりました。幸福な社員が多い組織であれば、人とのリレーションシップも良くなり、他者への貢献が当たり前になりそで、パーパス・ドリブン・経営の価値を再認識できました。

自社のパーパスと個人のパーパスは働く上で両輪です。重なっている面積が大きいほど、会社としても個人としても生産性が高くなります。この両輪が揃って、はじめてパーパス・ドリブン・経営が実現するのです。

パーパスを実装するためには、以下の6つの観点で考えるべきです。
①経営のリーダーシップ
②事業・プロダクト・サービス
③人・組織
④構造・システム
⑤慣習・マインドセット
⑥共創
この6つの観点からあるべき姿を目指すことで、パーパス・ドリブン・経営で結果を出せるようになります。

パーパスに沿って経営の大きな意思決定を行い、事業・商品を創っていくことで、それに共感・共鳴するファンを獲得できます。社員だけでなく、顧客を応援団に変えることで、企業は成長できるようになります。本書にはさまざまなケーススタディが紹介されていますが、これらの取り組みを知ることで、パーパス・ドリブン・経営の価値や導入法を理解できます。


 

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