暦本純一氏の妄想する頭 思考する手の書評

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妄想する頭 思考する手
著者:暦本純一
出版社:祥伝社

本書の要約

日本は妄想に不寛容な社会になっています。この空気を打破しなければ、イノベーションは起こりません。妄想を持つことをよしとし、「とりあえずやってみよう!」「失敗してもOK」という世の中を作らなければ、日本は完全に負け組になってしまいます。

イノベーションは妄想から生まれる!

真面目なイノベーションが「やるべきことをやる」ものだとしたら、「やりたいことをやる」のが非真面目なイノベーションだ。暦本純一

本書の著者の暦本純一氏は、マルチタッチシステムSmartSkin(スマホの画面を指2本で広げたり狭めたりする技術)や世界初のモバイルARシステムNaviCamなどの発明をはじめとする、ヒューマン・コンピュータ・インタラクション研究の第一人者です。

暦本氏は誰も考えなかった新しい技術は、 『ひとりの「妄想」から生まれる』と言います。課題解決型の「真面目」路線の技術開発だけだと、予測不能な未来に対応するイノベーションを起こすことはできません。真面目に目の前の課題を解決するだけではなく、 自分の「やりたいこと」は何なのかを非真面目に考えてみると、そこからイノベーションが生れることがあります。

想像を超える未来をつくるために必要なのは、 それぞれの個人が抱く「妄想」だと私は思っている。 その「妄想=やりたいこと」を実現するには、 いろいろな工夫や戦略が必要だ。

ほとんどの妄想は、「ふつう」に考えると実現困難ですが、今までとは異なるアプローチで行動する、ノリでやってみることで、実現することがあります。妄想する際には、世間のルールや倫理も外して考えましょう。妄想は欲望がないと生まれないのですから、徹底的に自分との対話を重ね、自分の欲望を明らかにすべきです。

妄想から生まれたテクノロジーが、次々に私たちの常識を覆してきました。蒸気機関からAIに至るまで、新たなテクノロジーによって、人類は自分を拡張させてきました。過去の偉人たちの妄想がなければ、人はこれほどまでの文明を築けなかったはずです。

「悪魔のように細心に!天使のように大胆に!」と言う言葉を黒澤明監督が残しています。著者はこの言葉にインスパイアされ、悪魔(技術の高さ)と天使(発想の大胆さ)という視点で、イノベーションを起こしてきました。

悪魔と天使のマトリックスを使って、自分のアイデアの価値を客観的に捉えることで、破壊力のあるイノベーションを生み出せるようになります。

イノベーションを起こしたければ、手を動かせ!

手を動かさないと失敗さえできない。失敗によって問題の構造が見えてくれば前進だ。うまくいかないなら、その問題を解決する方法を考えながら、また手を動かせばいい。

妄想は頭の中で考えているだけでは、決して実現しません。妄想するだけでは何も生み出せないのですから、私たちは手を動かして「プロトタイプ」を作るべきです。

「このアイデアは面白そうだけど、本当にうまくいくだろうか」などと、じっと熟考するのをやめ、ダメ元でもいよいので、まず手を動かしてみましょう。できるだけスピーディーに小さなプロトタイプを作り、その出来栄えを確かめることで、よりよいものが生み出せるようになります。

試行錯誤は、傍から見れば地道な作業だろう。でも、地道に手を動かすことによって、さらに別の妄想が湧いてくることもある。

著者は新しいアイデアを生む才能より、手を動かし続ける才能のほうが、競争に勝つには重要だと言います。行動を起こすことで、私たちは様々なフィードバックを得られます。実践することで、新たなアイデアが生まれ、それを試すうちにどんどん製品やサービスが改善されていきます。結果的に、当初妄想したものとは違ったものができあがり、時にはそこからヒット商品が生まれます。

うまくいかないアイデアを完全に捨て去るのが惜しいなら、「いったん眠らせておく」という方法もある。私自身、それは何度もやってきた。時間や人員のリソース不足で手が回らなくなった案件を、いったん脇に置くのだ。

アイデアが良くても実現が難しい場合があります。そんな時にはピボットすることで、結果を出せるようになります。いったん立ち止まって、ピボットすることで、タイミングをはかれます。いくらよいアイデアでも、早すぎるアイデアは世の中から受け入れられません。最初の妄想からいきなり素晴らしいプロダクトができるわけがないと考え、ピボットを楽しみましょう。著者のピボットの体験を読むことで、私たちは妄想と手を動かすことの重要性を理解できます。

ピボットでアイデアをよりよくする方法を著者はいくつか挙げています。
■天使度を上げる
■視点を変える
■逆転の発想
■トレードオフのバランスを崩す(何かを犠牲にする)

今できないことでも、数年後には別のイノベーションによって、できるようになるかもしれません。それを待ちながら、今実現できるアイデアを見極め、そこにパワーを費やすようにしましょう。

日本は妄想に不寛容な社会になっています。この空気を打破しなければ、イノベーションは起こりません。妄想を持つことをよしとし、「とりあえずやってみよう!」「失敗してもOK」という世の中を作らなければ、日本は完全に負け組になってしまいます。

自分のやりたいことを思い浮かべて、楽しそうに何かを考えている人が大切にされる社会こそが、イノベーションを生むはずだ。

妄想を語る人を周りから排除しない!日本からイノベーションを起こすためには、妄想を否定しないことが最も大事なことなのかもしれません。

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この記事を書いた人
徳本昌大

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
IoT、システム開発のビズライトテクノロジー 取締役
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数 

■著書
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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