1日中、最高のコンディションが続く!脳を鍛える超呼吸法 (関根朝之、白濱龍太郎)の書評

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1日中、最高のコンディションが続く!脳を鍛える超呼吸法
関根朝之、白濱龍太郎
KADOKAWA

1日中、最高のコンディションが続く!脳を鍛える超呼吸法(関根朝之、白濱龍太郎)の要約

現代人はストレスや姿勢の悪化により、浅く速い呼吸になりがちで、脳が酸欠状態に陥りやすくなっています。これにより集中力や睡眠の質が低下し、日々のパフォーマンスが落ちる原因となっています。『脳を鍛える超呼吸法』は、脳への酸素供給と自律神経の調整という2つの観点から、科学的かつ実践的に呼吸法を解説し、呼吸の質を高めることで心身の状態を根本から改善する方法を提示しています。

脳を活性化する超呼吸法とは?

心、とくに脳へ働きかける手段として考案したのが、本書で取り上げる「超呼吸法」です。(関根朝之)

現代社会に生きる私たちは、日々さまざまな課題に直面しています。集中力の欠如、慢性的な疲労感、質の低い睡眠——いずれも、多忙な生活のなかで見過ごされがちですが、実はその根底に「呼吸」の問題が潜んでいることをご存じでしょうか。 現代人の多くが、日常的に「浅く・速い呼吸」をしています。

スマートフォンやパソコンに依存した姿勢の悪化、蓄積するストレスなどが影響し、無意識のうちに呼吸の質が著しく低下しているのです。結果として、脳への酸素供給が不足し、脳疲労や自律神経の乱れといった問題が表出します。このような状態では、どれほど高いスキルを持っていたとしても、その能力を十分に発揮することは難しいでしょう。

こうした状況に一石を投じる一冊が、マインドフルネス講演者の関根朝之氏と呼吸器内科医の白濱龍太郎氏の共著1日中、最高のコンディションが続く!脳を鍛える超呼吸法です。本書は、単なる呼吸法の解説にとどまらず、脳科学と睡眠医学の視点を織り交ぜながら、呼吸とパフォーマンスの関係を深く掘り下げています。

呼吸は、脳に酸素を供給するもっとも根本的な手段です。わずか数分間酸素が遮断されるだけで、脳は壊死を始めます。脳は身体器官の中でも特に酸素への依存度が高く、質の高い呼吸を行うことは、脳の活性化と心身の安定に直結します。 

とりわけ重要なのは、関根氏が独自に考案した「超呼吸法」が、極めて明確な2つの狙いをもって設計されているという点です。第一に、強力な集中力を発揮したり、思考を深めたりする脳に対して、十分な量の酸素を届けること。脳は、全身の器官のなかでもとくに酸素への依存度が高い器官であり、わずかに酸素が途絶えるだけで深刻なダメージを受けてしまいます。

実際、呼吸による酸素供給が5分程度途切れただけでも、脳の壊死が始まってしまうという事実は、脳と呼吸の関係を如実に物語っています。したがって、パフォーマンス向上の鍵は、呼吸によっていかに効率よく酸素を脳と体に送り込めるかにかかっているのです。

第二の狙いは、自律神経系への意識的な働きかけです。自律神経は本来、無意識に働くものであり、心拍や消化、体温調整などを自動的に調整しています。しかし、呼吸という唯一の“半自動”の生理機能を通じて、この自律神経に対して意図的な介入を行うことが可能になります。

呼吸をコントロールすることによって、必要なときには交感神経を優位にし、戦闘モードに切り替えることができ、逆に休息が必要なときには副交感神経を働かせて深いリラクゼーションをもたらすこともできるのです。

最新科学に基づく呼吸メソッド

[4秒(吸う)+8秒(吐く)]が1つの単位で、これをくりかえすことが基本の呼吸のリズムになります。吸う時間よりも吐く時間を長くすることで、副交感神経優位になり、こわばっていた体がほぐれ、脳と体に大量の酸素がスムーズに送り届けられるようになるのです。これにより、脳酸欠によって生じた心身の不調が改善していきます。

本書で紹介されている実践的な呼吸法の中核となるのが、「4秒吸って8秒吐く」腹式呼吸でで、これは、私たちにリラックスをもたらします。副交感神経を優位にし、ストレスを和らげ、こわばった体をゆるめます。

さらに、吸う→止める→吐く→止める、という4フェーズの呼吸リズムを取り入れることで、緊張の中でも心を落ち着かせる力が高まります。 例えば、大きなプレゼンや会議の直前。不安や緊張がピークに達し、呼吸が速く浅くなる。そんなときこそ、この呼吸法を実践してみてください。肩の力が抜け、脳に酸素が行き渡り、思考がクリアになります。そして自然と、落ち着いた自分を取り戻せるはずです。

逆に、集中力を一気に高めたいときに有効なのが、「4秒吸って4秒吐く」胸式呼吸、通称「戦闘モード呼吸」です。この呼吸リズムは交感神経を刺激し、ドーパミンの分泌を促進。モチベーションが高まり、迷いが消え、行動に移すスピードが格段に上がります。関根氏が指導するプロボクサーたちは、試合直前にこの呼吸で意識を戦闘モードに切り替え、数秒でゾーンに入るといいます。

私自身も先日、関根氏から骨盤矯正の施術を行ってもらい、ストレッチや呼吸法の指導を受けてきました。驚いたことに、それ以降、睡眠の質が明らかに向上し、朝の目覚めも格段によくなりました。日中の集中力や体調の安定にも変化を感じています。まさに「理論と実践」が一致した体験でした。

呼吸の影響は、単なる体感レベルにとどまりません。マインドフルネス瞑想を1日45分、8週間継続した被験者においては、脳の海馬の灰白質が5%増加し、ストレスに関与する扁桃体の容積が5%減少するという研究結果も示されています。つまり、呼吸を整えることで、脳の構造そのものを「書き換える」ことができるのです。

本書ではさらに、呼吸の質を高める手段として「セルフストレッチ」の重要性にも言及されています。スマホ姿勢で固まった呼吸筋は、ストレッチによって柔軟性を回復し、より深く安定した呼吸を可能にします。姿勢が変われば、呼吸が変わる。呼吸が変われば、思考も感情も、そして行動までもが変わるのです。 習慣の力は偉大です。

だからこそ、私は「基本の呼吸」を毎日のルーティンに取り入れることをおすすめします。特に寝る前など、副交感神経優位に切り替えたい時間帯に実践することで、質の高い休息と心の回復が得られるでしょう。これは、自律神経の調律装置としての呼吸を最大限に活用する方法なのです。

結局のところ、呼吸とは「今この瞬間を整える技術」であり、人生のクオリティそのものを高める最短の手段なのです。正しい呼吸は、あなたの脳と体を「本来あるべき状態」に導いてくれます。

本書は、今この時代を生きるすべての人にとって必読の書です。意識と習慣を変えることで、未来の自分を最適化していきましょう。呼吸を変えれば、人生は変わります。

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この記事を書いた人
徳本昌大

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

Ewilジャパン取締役COO
Quants株式会社社外取締役
株式会社INFRECT取締役
Mamasan&Company 株式会社社外取締役
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数
iU 情報経営イノベーション専門職大学 特任教授 

■著書
「最強Appleフレームワーク」(時事通信)
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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