ある事柄について、いくつもの書物を読んだほうがいい。何冊もの本を読むことによって、今まで常識だと思いこんでいたものが、偏見だったとわかるからだ。ふだんのわたしたちだって、いろいろな人間に会って、いろいろな交渉や関係をもって、はじめてこの世にはいろいろな性格や考え方があるのだとわかる。それと同じことを書物に対してもすればいいのだ。多読の効用はまずそこにある。多読は自分の脳を刺激してくれる。自分で考えることをうながしてくれる。自分で考える、これらは誰からも奪いとられることのない宝である。(白取春彦)
読書術に関する本を見つけると、ついつい買ってしまうのですが
白取春彦氏の「深読み」読書術: 人生の鉱脈は本の中にあるは、大当たりでした。
冒頭で紹介した多読のススメの白取氏の考え方や
読書において押さえるべき3つのポイントを知ることで、読書がますます楽しくなりそうです。
1、書物の主張、あるいは結論が何であるかをはっきりと知る。
2、その主張や結論を導いた根拠を押さえる。
3、その根拠の前提となっているものが何かを押さえる。
最初はどんなに難しそうに見えていた書物でも
この3つのポイントをチェックすることで、身近な存在にできそうです。
著者の主張と結論の根拠をメモし、そのロジックが正しいか?と考えることで
理解力を高めたり、知識を自分ゴト化できるようになるのです。
本を漫然と読むだけではなく、そこから読み取りをしなければ、正しく読むことにならない。この読み取りの力を土台から育てるのは、想像力であろう。
本を読む際には、著者との対話が重要になります。
文脈の中に隠された著者の思考を自分の思考で埋めることができれば
本を読むのが、楽しくなります。
この際、重要になるのが想像力なのです。
この書評ブログを書き始めてから、私の読書は変わり始めました。
想像すること、著者と対話するという積極的な行為によって
想像力を鍛えることができるようになったのです。
また、書くことで知識を知恵に変えられることにも気づきました。
様々なカテゴリーの本を読む、想像する、書くことを継続することが
読み取り力もアップさせるのです。
本書を読むことで、「読書法が変われば、人生が変わる」ことを理解できます。
実は、著者の真骨頂は、本書の「おわりに」に隠されていました。
もし何かを書物から得ようとする気持ちがあるならば、読書は実りの少ないものになる。なぜならば、何らかの獲得を目指すような卑しい気持ちが心を平穏にしないからだ。心が平穏でなければわからないことが書かれているのが本だ。そこを読むのが読書というものだ。要するに、もつとも効率のいい読書をしたいのなら、まずしなければならないことは時間の捻出などではなく、心を穏やかにすることだ。自分の心を穏やかにしてはじめて十全になされるのは何も読書だけではない。スポーツ、武道、仕事など多くの事柄にも通じるのである。
この心を落ち着けることこそが、私たちに必要なことかもしれません。
心を穏やかにする、感情をコントロールすることが
読書にはとても重要だという白取氏の主張に共感しました。
本書のこの一言に出会えたことで、私の読書はこれから変わり始めそうです。
今日もお読みいただき、ありがとうございました。
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