最強の軍隊はアメリカ人の将軍、ドイツ人の将校、日本人の下士官と兵だ。最弱の軍隊は中国人の将軍、日本人の参謀、ロシア人の将校、イタリア人の兵だ。(有名なジョーク)
冒頭の軍隊のジョークからも、日本人の現場力が強みだということがわかります。
この20年で。アメリカが経済分野でも戦い方を戦略的に変えたために
私たち日本人の負け戦が続いています。
日本人は「競争」というと、同じ方向に同じように走って、頑張った人が勝つようなイメージを持つかも知れない。いわばマラソンのイメージだ。あるいは、ルートが決まっているコースをチームで繋ぎ合う駅伝のイメージかも知れない。いずれも、日本人に人気があるスポーツだ。しかし、実際の競争はそれほど単純ではない。実際の競争は、全く違うルートを開発したり、今まで存在していたルールを変えてしまったりした者が勝利する。あるいは、自動車を発明して、その新しい技術を使って、桁違いのスピードで人を追い抜いていくのもありである。つまり、戦略を考えるというのは、今までの競争を全く違う視点で評価し、各人の強み・弱みを分析して、他の人とは全く違う努力の仕方やチップの張り方をすることなのだ。(瀧本哲史)
日本人は、太平洋戦争の頃から戦略下手で
戦い方を知らないまま兵力を毀損し、負け戦を止められず壊滅しました。
日本という国は、初期に成功を収めても、戦略がないため
最終的には失敗をしてしまう国民性があるので、余計に気を付けなければなりません。
しかし、日本企業の多くは、アメリカの戦略変更の前になす術がありません。
AppleがiPhoneというプラットフォーム戦略で戦い始めたのに
多くの日本企業は今までの勝利のパターンから抜け出せず、戦術レベルの戦いを続け
SonyやSharpという大企業が、あっという間に彼らの軍門に下ってしまったのです。
瀧本哲史氏は、戦略がすべての中でその理由を明らかにしています。
同じ戦い方で正面衝突すれば、強い者が勝つに決まっています。
勝つためには、戦いのルール自体を変更したり、攻守を逆転したりするなど
大胆な方向転換を模索しなければなりません。
アメリカの企業は日本の強みを分析し、戦い方自体を変えてしまいました。
自分の強みで戦うことを決めたアメリカ企業は、戦いのルールを別物にして。
日本の現場力に頼った経営を駆逐していったのです。
戦略経営の強さに気づいた日本人のビジネスマンも、戦略論を学び始めましたが
理論を覚えるだけで、実践していないために、アメリカとの戦いに負け続けています。
ほとんどの日本のビジネスマンは「高級作業員」にすぎないと言う
瀧本氏の指摘が的を得ています。
「戦術の失敗は戦略でカバーできるが、戦略の失敗は戦術ではいかんともしがたい」という
厳しい現実を多くの日本人は実感していますが、打開策が見つかりません。
企業という組織においては、各階層での仕事は大きく異なるため、日本のようなキャリアパスの設計は適切ではない。事実、多くのグローバル企業では、最初からリーダーを選抜し、かなり早い段階から難しい意思決定をさせて経験を積ませている(日本でも先進的な企業はすでにそうなっている)。軍隊のような組織も、参謀と士官と下士官と兵隊では仕事の質が大きく異なるため、キャリアパスも違う仕組みになっている。
日本人が勝つためには、リーダー主導の戦力思考で戦うしかありませんが
多くの企業は機能不全に陥っているのです。
本書戦略がすべてを読むと、戦略的な思考を理解できます。
AKBやオリンピックのケーススタディからわかりやすく戦略を学べます。
特に、最終章の『「戦略」を持てない日本人のために』を読むだけでも、価値があると思います。
勝てる土俵を作り出せる戦略的思考を持つ経営者のみが、今後の勝負に勝てるのです。
言い換えるとAppleのように、これまでにないプラットフォームを構築できれば
ひとり勝ちできるわけですから、私たちはここに注力すべきなのです。
身の回りに起きている出来事や日々目にするニュースに対して、戦略的に「勝つ」方法を考える習慣を身につければいい。世界的な経済問題を考えるのもいいが、自分のいる世界で起きたこと、自分の目に映る物事、自分の気になるものに関して考えることのほうが役に立つ。
戦略を考えるというのは、今までの競争を全く違う視点で評価し
各人の強み・弱みをフレームワークを駆使し
ロジカルに分析して、自分たちの戦い方を作り出すことなのです。
そのために日々の生活の中から、戦略を考えるのが大事だというのが著者の考え方です。
本書のケーススタディをヒントに、勝つ戦略を考える習慣を身に付けたいものです。
今日もお読みいただき、ありがとうございました。
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