書籍を読むとは、単に受動的に読むのではなく、著者の語っていることに対して、 「本当にそうなのか 」と疑い、反証するなかで、自分の考えを作っていくという知的プロセスでもあるのだ。元々、世の中には最初から何らかの真実があるわけではない。それは、様々な考え方を持っている人達が、議論を戦わせることを通じて、相対的に今の時点でとりあえず正しそうなものが採用されているに過ぎない。今日正しいとされる考え方も、明日には新しい考え方に取って代わられるかも知れない。(瀧本哲史)
読書は格闘技(瀧本哲史著)がとても面白かったです。
読書は著者との知的闘いで、著者の書いていることが
本当に正しいのか?を検証することで、自分を成長させられるのです。
マルクスの資本論はそういった意味では、良書であり
マルクスとの知的闘いに喜びを感じられれれば、読者は幸せだと言えるのです。
読書とは自分の考え方を進化させるための行為なのです。
様々な著者の視点を学び、著者との知的な格闘をすることで
私たちは自分のレベルを高めることができるのです。
【新品】【本】読書は格闘技 瀧本哲史/著 |
本書では2冊の異なる名著を対比することで、新しい読書論を展開しています。
いきなりページを開くと、影響力の武器 なぜ、人は動かされるのかと
人を動かすの比較論が楽しめます。
人を動かすの事例は、あまりにも現代的ではないので
読者は一旦自分のコンテキストに置き換えなければなりません。
抽象化から内容をわかろうとすることで、私たちはより理解を深められるのです。
思考しない読書は価値がないのですが
この抽象化によって、私たちは多くの学びを得られるのです。
高い普遍性を説明するためには、状況が理解しにくい事例を使って
読者の思考を促すべきだという著者の指摘が刺さりました。
読者にスルーさせない仕掛けが、本を理解させるためには必要なのです。
また、影響力の武器は、人の判断を歪ませる方法を学ぶことによって
自分の判断を正確にすることを目的にしているのです。
人を説得するのを学ぶと同時に、人から説得されない方法を学ぶというところに
最大の眼目があるという著者の考え方に共感しました。
(瀧本氏と格闘していなくてすみません!)
攻撃の手法を学ぶということは、防御の方法を学ぶのと同義です。
本を理解し、使えるレベルまで読み込むためには
著者との徹底的な対話が必要なのだと気づけました。
君主論とビジョナリー・カンパニーの対比を読むことで
新たな視点で企業(組織)の永続性について学べます。
ソニーの成長と没落の理由は、競合他社との違いが小さくなったからなのです。
大量なものを試して、うまくいったものを残すことが成功の条件ですが
これは、読書体験やプレゼンにも使える考え方だと思います。
大量に行動することに、勝るものはないのかもしれません。
また、君主論とビジョナリーカンパニーのリーダー比較を読むだけでも
本書には価値があると思います。
ぜひ、読書は格闘技をご一読ください。
今日もお読みいただき、ありがとうございました。
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