『どうして?』と何度も繰り返す理由の多くは、私たち大人が子どもたちの質問を理解していないか、質問に耳を傾けていない場合が多い。何度も何度も質問するのは、『僕の言うことをもっと聞いてよ。僕が聞いていることをわかってくれていないじゃないか』と言っているのと同じだ 」と言っている。(ハル・グレガーセン)
PDFA習慣術の徳本昌大です。
ウォーレン・バーガーのQ思考の書評ブログを続けます。
多くの学校は、工業化社会に適応する人材を送り出すための
旧式の教育プログラムを採用することで、ミスマッチを起こしています。
考える力を養うのではなく、相変わらず詰め込み教育を行うことで
企業が求める人材を育てられなくなっています。
社会が工業社会から起業家的社会へと移行するのにしたがって
工場/服従的な学校モデルを質問重視型モデルへと移行させるべきなのですが。
まだまだ、後手後手で成果はあまり上がっていないようです。
古い教育モデルは日本でもアメリカでも、あまり進化していないのが実情です。
創造的で自立的にものを考える労働者を求める企業と教育現場に齟齬が起きているのです。
セス・ゴーディンらは、学校教育の旧式モデルを現代化するなら
「目的は何か?」という基本的な以下の問いから始めるべきだと考えています。
「学校は何のためにあるのか?」
「そもそも子どもたちを学校に通わせているのは何のためか?」
ウォーレン・バーガーはその質問に対して、次のような答えを用意しています。
学校の目標は何かを考えたとき、その重要なものの一つが「一生学び続け、変化し続ける世界に合わせて自分を変えられる21世紀の市民を育てることだ」という点に同意するなら、またさらに、そのとき求められるスキルの中でも最重要のものの一つが「効果的にものを問う能力 」だということを認めるなら ……次のような質問が自然と浮かんでくるはずだ。 「もし学校が生徒たちを優れた質問家に育て、そのことによってて生徒たちが一生学び続け、変化にうまく対応できるようになったとしたら、どうだろう?」
Q思考 [ ウォーレン・バーガー ] |
今から20年以上前にアメリカで質問形式の学校運営を行ったのがデボラ・マイヤーです。
彼女は、幼稚園児が体験するようなことを学校教育に取り入れたのです。
生徒たちの問いかけにしっかりと答えていくうちに
新たな教育プログラムが生まれていったのです。
そして、「思考の習慣」と呼ばれる5つの学習スキルが生まれたのです。
その1つひとつが関連する問いをともなっている。
■証拠 何が「真」で何が「偽」かをどうやって知るのか?どの証拠が信頼できるか?
■観点 他人の立場で考えると、あるいはほかの方向から見るとどう見えるか?
■つながり 何らかのパターンはあるか?前にも同じようなものを見たことがあるか?
■推測 それが異なっていたとしたらどうか?
■関連性 なぜそれが重要なのか?
親には評判の悪かったこのシステムが、子供からは評価されました。
自分の頭で考えるように学習スタイルを変えることで
学校のレベルが飛躍的にアップしたのです。
貧困が深刻で、家庭崩壊や非行問題に悩まされていた学校が
市内トップレベルの学力水準となったのです。
9割以上の卒業生が大学に進学するなど目覚ましい結果を残しました。
最近になって、ようやくこのデボラのメソッドが認められるようになり
質問型の教育を採用する学校が増えてきたそうです。
生徒たちを探求させたり、プロジェクトに参加させることが
今後の教育では重要になってきそうです。
日本でもこういったプログラムが増加することを期待しています。
今日もお読みいただき、ありがとうございました。
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