衛生状態の差が、アルツハイマー病罹患率の地球規模のパターンを説明づける根拠の一つかもしれない。細菌との接触がアルツハイマー病のリスクと反比例する関係にあると考えられる。(デイビッド・パールマターとクリスティン・ロバーグ)
photo credit: Happy Sleepy Posers, Kathmandu, Nepal via photopin (license)
アルツハイマーと腸内細菌に関連性はあるのか??
デイビッド・パールマターとクリスティン・ロバーグの
「腸の力」であなたは変わるの中に
アルツハイマーの罹患率と衛生状態が
反比例するという調査が紹介されていました。
ケンブリッジ大学のモリー・フォックス博士らは
世界192カ国を二つの要素に着目して分析したところ
都市の生活水準が高い人の方が
アルツハイマーになりやすいことをつきとめたのです。
まず、彼らは各国の対象者の寄生虫感染率と腸内細菌の多様性を調査しました。
次に、アルツハイマー病の発症率を調べたところ
注目すべき結果が得られました。
衛生状態が低い水準の国々ほど、アルツハイマー病の罹患率が低かったのです。
一方、衛生状態がよく、寄生虫感染率と腸内細菌の多様性が低い国々ほど
アルツハイマー病の罹患率は急激に上昇していることがわかりました。
イギリスやオーストラリアなど人口の75%超が都市に居住する国々では
アルツハイマー病の罹患率が、ネパールやバングラデシュなど
都市の居住者が人口の10%未満の国々よりも、10%も高かったのです。
調査チームは研究結果から、以下のような結論を導きました。
われわれの調査の結果、衛生状態はアルツハイマー病のリスクとの関連性が高い。衛生状態の差が、アルツハイマー病罹患率の地球規模のパターンを説明づける根拠の一つかもしれない。細菌との接触がアルツハイマー病のリスクと反比例する関係にあると考えられる。こうした調査結果は、細菌の多様性が急速に減少している発展途上国におけるアルツハイマー病の罹患率を予測するのに役立つかもしれない。
アルツハイマーと衛生状態に反比例するルールが見つかったからと言って
必ずしもそれがアルツハイマー病の増加の原因とはいえません。
どんな疾病の進行も、特定の病気のさまざまな国での発生に関しても
多様な要因があることは間違いありません。
しかし、それでも、体内の腸内の細菌環境(マイクロバイオーム)が
多くの慢性疾患のかなりの要因になっているという事実から
アルツハイマー病と腸内細菌の関連性について検討すべきだと
著者の二人は指摘しています。
「腸の力」であなたは変わる |
アルツハイマーとは脳の炎症だ!
細菌は私たち自身の細胞と同様に、人間が生き延びるために重要なもの。生命と健康に不可欠だ。残念ながら、人間は今、腸内細菌たちをまるで不法入国者のようにあつかっている。しかし、腸内細菌たちは他の誰も請け負わない任務を遂行し、最低限の報酬を得て、彼ら自身は利益を得ることなく、危険な環境ではたらいている。今こそ腸内細菌たちに市民権を与え、彼らのはたらきに報いるべきだろう。
都市に暮らす現代人は清潔が当たり前だと捉え
腸内細菌をあたかも不法侵入者だと考えているようです。
清潔は確かに重要なのですが、それが過度だと別の問題を引き起こします。
昔のように細菌と仲良くしなくなったことで
私たちは別の病気やアレルギーに苦しむようになったのです。
腸内環境が悪くなると体中に炎症を起こすことがわかっています。
アルツハイマー病患者は脳内で炎症を起こしているのです。
悲しいことに、患者たちにはその実感はありません。
脳の炎症では、痛みや腫れなどの基本的な炎症の症状が出てこないからです。
脳は体のどの部分の痛みも認識できますが、脳自体には痛覚受容器がなく
そのため自分自身が燃えていることがわからないのです。
血糖値がコントロールできないこととアルツハイマー病の関係はとくに強く
研究者たちは現在、アルツハイマー病を「三型糖尿病」と呼んでいます。
最新の研究では、腸内フローラが悪化することが
糖尿病やAGEs(脳内のタンパク質が糖化)の急増の原因になり
それがアルツハイマー病のリスクを高めることがわかってきています。
腸内環境とアルツハイマーの関連性が徐々にわかってきたのです。
まとめ
腸内環境の悪化によって、糖尿病やAGEsが急増します。
これがアルツハイマーの原因になっているのです。
腸内の悪玉菌を減らして、善玉菌を増やすことで、腸内環境をよくできます。
アルツハイマーになりたくなければ、腸内環境を改善するとよさそうです。
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