運が良い人が笑顔なのか、笑顔だから運が良いのか、
どちらが先かわかりません。しかし、 業績が良い会社は従業員が生き生きしているのです。 それを見て私は、 業績と組織マネジメントは間違いなくリンクしていると感じました 。従業員が疲弊している会社は継続せず、業績が一瞬上がっても、 そのときだけ繕った数字になるのかなと思いました。(三浦弘)
photo credit: bump Lots of iPads via photopin (license)
売り上げを改善するNPSとは何か?
昨晩は友人の池田順一氏がアタカマ砂漠を走るということで
その壮行会にお邪魔して来ました。
そんな過酷なレースに参加する池田氏は
実はトータル・エンゲージメント・グループという会社の代表で
従業員満足を起点としたマーケティング支援を行なっています。
彼のお客を増やす努力をやめなさい!を再読していたら
ビッグ・エーの代表取締役の三浦弘氏の言葉がとても気になりました。
私が講師を務めるサードプレイス・ラボという勉強会が先日開催されましたが
ゲストの笑顔の専門家の柏谷早智子氏が同じような話をしていたのです。
笑顔のすごさを学んでいた柏谷さんは
自分が店長をしている美容室で、笑顔を取り入れた経営を実践します。
今までの厳しい指導はやめ、スタッフを褒める経営に転換したのです。
お客様から褒められたスタッフがいると積極的に朝礼で紹介したそうです。
「笑顔と褒める」を徹底したことで、職場の雰囲気が良くなり
店が口コミされるようになりました。
効果はあっという間に現れ、わずか数ヶ月で客数が10%以上アップし
売り上げ目標を楽々クリアしたのです。
叱ったり、ノルマを与えた時には上がらなかった売り上げが
笑顔の徹底と従業員を褒めることで、達成できたのです。
業績がよい会社は社員が生き生きと働いています。
池田氏のクライアントである企業も従業員を褒めることで
業績を伸ばしていると言います。
そのために、お客様の声を聞くことがポイントになります。
「従業員満足 × 顧客満足」によって、日米の多くの企業が結果を出しています。
世界一の企業になったAppleもNPSという手法を取り入れ
お客様の声を従業員にフィードバックしています。
NPSはNet Promoter Scoreの略で
日本語に翻訳すると顧客の満足指標になります。
このNPSはコンサルティング会社Bain&Companyに在籍していた
フレッド・ライクヘルド氏らのチームが開発したものですが
欧米を中心に多くの企業が導入し、実績をあげています。
「プロダクトやサービス、お店を自分の友人に紹介するか?」という
シンプルな質問を行います。
0~10点の11段階のスコアをつけてもらい
その理由をフリーアンサーで答えてもらいます。
●10点・9点をつけた人を推奨者
●8点・7点をつけた人を中立者
●6点以下をつけた人を批判者とします。
推奨者の率から批判者の率を引いた数字をNPSとして算出します。
今まではイメージにすぎなかった顧客の声を可視化することで
経営者と現場のスタッフの意識を変えられます。
Apple Storeの店頭で私も何度かアンケートをお願いされましたが
このアンケートがNPSだったのです。
多くのスタッフがお客様の声を聞くことで
モーチベーションを高めていることがわかっています。
日本でも有名なセレクトショップや飲食業が
このNPSを採用して、効果をあげているそうです。
NPSによって、お客様の声にもとづいた課題の優先順位が明らかになり
今何をすべきかを社員全員で考えられます。
調査結果をもとに改善計画を実施することで
ファンを強化したり、批判者を減らすことができます。
実は批判者を特定し、減らすことがとても効果があることがわかっています。
ジョン・グッドマンの知見を共通認識にしよう!
本書には有名なジョン・グッドマンの話が紹介されています。
1970年代にアメリカの消費者問題局は消費者苦情処理調査を行いました。
その調査を担当したジョン・グッドマンが取りまとめたデータを
佐藤知恭氏が『グッドマンの法則』と名付け、発表したのです。
ジョン グッドマンの法則
(1)商品やサービスを購入したお客様のうち、満足している人は60%で、残りの40%は何らかの不満を持っている。
(2)不満を持っているお客様のうち、60%は苦情を言わない。そして、そのうち再購入するお客様は9%にすぎない。
(3)苦情を言った40%のお客様のうち、対応に不満を感じた人は二度と買わない。
(4)その一方で、苦情対応に満足し、かつそれが迅速に行われたと感じたお客様の再購入率は82%に及ぶ。
お客様がいつも気持ちよく買い物をしているわけではありません。
お客様の声(不平・不満)をしっかりと聞くことで
経営者と社員は改善策を作れるようになります。
お客様の声を聞かずにいれば、顧客の不満を見過ごしてしまいます。
アンケートなどを通じ、お客様のマイナスの体験をプラスに変えられれば
素晴らしいリピーターを生み出せます。
多くの売り上げは20%の優良顧客によってもたらされます。
この法則を私も若い頃に広告会社で学びました。
クレームの処理の仕方でお客様の態度が変容することを
多くの現場で実感しました。
実際、クレームに真摯に対応するとファンを増やせるのです。
しかし、何もしなければ、お客様の不満を見つけることはできません。
苦情を言わない人たちによって、知らぬ間にマイナスのロコミが広がります。
グッドマンは「お客様が不満を感じたときのマイナスのロコミは、満足したときのプラスのロコミの2倍になる」とも指摘もしています。グッドマンによれば、「非常に感動した」なら2人に伝え、「満足した」という程度なら1人に、「不満だった」場合は6人に自分の体験を語ります。もし、1万人のお客様がいて、そのうち8割が満足してくれたとしても、2割の不満なお客様がいれば、好意的なロコミの数を凌駕してしまう可能性があるのです。だから、お客様に「普通に満足してもらって」安心しているわけにはいきません。いかに「不満だった」お客様を減らし、「非常に感動した」と言ってくれるお客様を増やすか。あなたは、それに取り組んでいかねばなりません。(池田順一)
NPSを導入することで、お客様の不満を把握できるようになります。
採用した企業はクレームがあった場合には
経営層が対応することで批判者をファンに変えています。
ネガテイブな評判を減らし、ポジティブなものに変えられれば
自ずと売り上げは増えていきます。
NPSに加え、従業員向けの満足度調査(eNPS)を活用することで
より結果が出るようになります。
続きは近々、このブログで書こうと思います。
まとめ
お客様を満足させるNPSを導入すると
お客様の感想を従業員にフィードバックできます。
よい対応は積極的に褒めることで、従業員のモチベーションはアップします。
笑顔の溢れる職場を作れれば、売り上げはアップしていきます。
逆に、お客様のクレームを知らずに、放って置くと
ネガティブな口コミが広がり、売り上げはやがて降下してしまうのです。
お客様とのエンゲージメントを築くために、NPSを導入するとよいでしょう。
ソーシャルメディアを武器にするための10カ条 [ 徳本昌大 ] |
コメント