50代から楽しくお金を稼ぐ方法

歳をとってからも仕事を探して働くことは、間違いなく社会貢献になる。定年後の高齢者がある程度、経済的な力をつけることによって、年金頼みの人数が減り、若者たちの負担も少なくなる。こういう社会的効果は、非常にはっきりしている。(外山滋比古)


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シルバー世代が働くことで、何が起こるのか?

外山滋比古氏のお金の整理学書評を続けます。人生100年時代を迎え、シルバー世代の働き方が変わってきました。様々な分野で50代以上の人のチャレンジが始まっています。シルバー世代でも自分の価値を提供すれば、お金を稼げるようになります。シルバー世代が経済的に成功することで、年金問題を解決できるかもしれません。破綻が予想される年金を頼らずにすむ人が増えれば、若者世代の負担も減らせます。

人口減少、高齢化が顕著な徳島県の上勝町の取り組みはとても有名ですが、改めて紹介したいと思います。人口がわずか1500人ほどのこの町では、65歳以上の高齢者の割合が人口の半分以上を占めます。食い扶持がないという理由で、若者はどんどん都会に出ていき、老人だらけの集落になってしまいました。

「高齢者ばかりでも稼げる方法がないか」ということを真剣に考えることで、あるプロジェクトが生まれました。地元の農協職員だった男性を中心に生まれ、始まったのが山に生えている花や葉っぱを採って”料理のツマ”として売る〈葉っぱビジネス〉でした。

重いものを持ち運ぶわけではないから、これまでの重労働の農作業をするには限界があると考えられてきた高齢者や女性にも活躍の場が生まれました。女性たちは「世界中探したってこんな楽しい仕事ない!」と言い、〈葉っぱビジネス〉を楽しんでいます。この町では、葉っぱビジネスが他の農業を凌ぎ、年間数億円を稼ぎ出す一大産業になったのです。 

お年寄りたちも、パソコンを駆使して市場情報を分析するなど、一人ひとりが〈実験と思考〉を重ねた。工夫は成果に反映される。葉っぱビジネスにかかわる農家のなかには、年収1千万円を超える世帯もあるという。そこまで稼げるようになれば、国から受け取る年金など、おまけのようなものだろう。 高齢化というマイナスの現象を逆手に取って、生きがいと稼ぎ口を創出した成功事例として、今では日本にとどまらず世界中から視察にくる人がいる。

新しい発想のビジネスにより、この町に注目が集まったことで、都会から移住してくる若者も出てき始めたと言います。町では若者の移住プロジェクトにも力を入れています。やる気を出して働く高齢者が増えた結果、高齢者の医療費は、徳島県内でもっとも少なくなり、生活保護世帯も少ないという実績が出ています。町営の老人ホームの入居者が減って、この施設は廃止になってしまったほどです。

いくつになっても頑張れる仕事が目の前にあれば、人間の衰え、老化を止められることをこのケーススタディから学べます。シルバー世代が稼ぐことで、町の財政は豊かになるし、何より一人ひとりの高齢者にとって、人生が面白くなったのです。高齢化・人口減少をネガティブにとらえるのをやめ、ポジティブに考えることでチャンスが見つかります。

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経済的自立が日本の課題を解決する!

80歳になっても90歳になっても、経済的に自立して生きられる人が増えるのは、日本社会にとって望ましいことである。「余計な社会保障はいらない」「医療費も一割どころか三割、五割くらいは自己負担で払ってもいい」高齢者がそんな言葉を口にできるくらい元気になっていけば、世の中は間違いなく明るくなる。

経済的に自立した人が増えれば、日本の多くの課題は解決し、世の中を明るくできます。そのために大切なことは、「面白い仕事」を見つけ、自分の人生を楽しむことです。

シルバー世代を活用し、成功している事例も増えています。岐阜県中津川市にある加藤製作所は、日本一の高齢者雇用企業と呼ばれ、60歳以上の新規採用を推進しています。100人ちょっとの社員のうち、実に半数近くがシルバー世代になっているのです。もともと金属加工で高い技術を持っていたこの会社は、土日祝日も工場を稼働させるために、「意欲のある方求めます。ただし60歳以上の方」という求人広告を出したそうです。すると地元で大きな反響があって100人以上が面接に訪れました。プロフェッショナルな技術者はいませんでしたが、本当に働きたい人が指導を受けることで、工場の稼働率は大きく上がりました。今ではもともとの募集要項にあった土日祝日だけでなく、平日に出勤するシルバー世代の社員も増え、皆楽しみながら働いているそうです。

楽しく再就職する選択肢だけでなく、50代以上の起業も増えています。起業への偏見を捨て、小さなことからビジネスを始めてみるのもよいでしょう。

歳をとってからの「起業」というと、リスクが大きい印象を抱く人も多いと思う。1からビジネスを立ち上げようとして、うまくいかなかったら巨額の借金を背負うのではないかといったマイナス思考だ。定年まで会社を勤め上げた後に、とてもそんなギャンブルはできないと決めつけてし まう。ただ、具体的なシミュレーションもせずに選択肢から外さなければならないほど、大きなリスクがあるのだろうか?

他人の人生を生きるのをやめ、自分の人生を取り戻すことが重要だと思います。自分の人生の経営者になり、人生を楽しむと決めると50歳を超えても良い時間を送れます。自分の価値を見つけ、それをアウトプットするうちに人から仕事を頼まれるようになり、起業に繋がります。自分の価値を提供すれば、人から感謝され、やがてお金を稼げるようになります。

本を書いたり、ビジネスのアドバイスをしているうちに、私は50歳の時に会社をやめ、独立していました。今では数社の社外取締役として、ベンチャー企業の経営に参加しています。日々、経営課題に直面しますが、広告会社で学んだ戦略思考やフレームワークがビジネスに役立っています。

50代以降を楽しく過ごすためには、様々な選択肢を検討しましょう。もともと勤めていた会社に再雇用で残る、やりがいの感じられない仕事を続けるくらいなら、自分のやりたいことを優先するのです。自分の価値を提供し、他者に貢献できる仕事を探し、そこに全力を注ぐうちに結果を出せるようになります。

個人事業に定年はありません。自分が続けられる限り、現役でいられます。人生100年時代、寿命が延びていく時代に、仕事のマインドセットを変えることで、人生をエンジョイできるようになります。起業というと若い世代のものと思いがちですが、経験を積んだ50代の方がふさわしいと私は考えています。50代からの起業にチャレンジし、人生を豊かにしましょう。

まとめ

歳をとってからも仕事を探して働くことは、間違いなく社会貢献になります。50代以上の人たちが、楽しく働き、経済的な力をつけることによって、年金頼みの人数が減り、若者の負担を減らせます。新しい働き方を考え、自立することで、人生の後半戦をエンジョイできます。

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この記事を書いた人
徳本

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数
iU 情報経営イノベーション専門職大学 特任教授 

■著書
「最強Appleフレームワーク」(時事通信)
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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