フェイスブックとグーグルはメディアを、アップルは電話を支配している。そしてアマゾンは小売業界を制覇しようとしている。(スコット・ギャロウェイ)
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GAFAという四騎士が世界を制覇する!
ニューヨーク大学スターン経営大学院教授のスコット・ギャロウェイのthe four GAFA 四騎士が創り変えた世界を読むと、今後のビジネストレンドがわかります。GAFA(Google、Amazon、Facebook、Apple)という4つのプラットフォーマーの熾烈な戦いによって、世の中は確かに便利になっています。しかし、多くの競合企業は負け組となり、株価を下げているのが実態です。私たちの働き方もこの4社のビジネスモデルによって、影響を受けます。それを理解するためにもGAFAの動きを理解しておいたほうがよいでしょう。
四騎士のGAFAは圧倒的な存在になり、国家をも超え、多くの人たちは彼らにコントロールされています。今日は4社の中でもっとも成長著しいアマゾンにフォーカスしたいと思います。
たいていの取締役会は経営陣にこう問いかける。「どうしたら最小の資本(投資)で最大の儲けを得られるだろうか?」。一方、アマゾンはこの逆を行く。「莫大な資金がかかるために他社にはできないことで、我々が他社を出し抜けることは何だろうか」。なぜそれが可能かといえば、アマゾンは他社に比ベリターンへの期待が低い資本を集める力を持っているからだ。配送時間を2日から1日に短縮する?それには何十億ドルもかかる。アマゾンは自動化された倉庫を都市部近くに建てなければならなくなる。そのような土地は不動産も人件費も高い。従来の基準では、わずかな利益のための膨大な投資である。
アマゾンはローコストで莫大な資金を調達し、リスクを取りながら、新たなマーケットを創造しています。一方アマゾンのライバルであるメイシーズやシアーズは従来型の少ない資本で戦うしかなく、最初から勝負になりません。アマゾンは顧客のための冒険を続けるうちに、新たなマーケットを生み出し、顧客をファンにします。競合は対抗する術を持たず、アマゾンの背中を追うしかなく、ますますその差は大きくなっていくのです。
アマゾンは過去に2つの巨大なホームランを放ち、利益の源泉を得ました。アマゾン・プライムとウェブサービス(AWS)という2つの事業によって、利益を出せる企業となり、多くの投資ができるようになったのです。
100倍の資金を回収できる可能性が10パーセントあるなら、絶対にその賭けをするべきなのです。(ジェフ・ベゾス)
アップルとグーグルフェイスブックも多くの実験を行なっていますが、うまくいかなければすぐに撤退します。アマゾンプライムもAWSも多くの実験のうちの一つでしかなく、スタート時には成功するか失敗するかはわかりませんでした。ベゾスはリスクを取りながら、多くの実験を重ね、アマゾンプライムとAWSという金鉱脈を掘り当てたのです。
失敗と発明は不可分の双子だ。新しいものを生み出すには実験が必要だ。そして最初からうまくいくことがわかっていたら、それは実験ではない。(ジェフ・ベゾス)
最近では、アマゾンはブランドのパワーを消し始めています。ブランドは消費者が適切な製品を見つけるための手引きで、それを構築するためにメーカーは、メッセージ、包装、店内の配置、宣伝活動を通し、何十億ドル、何十年を費やしてきたのです。
しかし、買い物の場所がオンラインに移行すると視覚に訴える販促も、商品棚の並べ方の工夫も関係なくなってきました。アマゾンエコーによって、音声で人は商品をオーダーするようになることで、ブランドの価値が毀損しだしたのです。
音声による案内では、消費者は価格もわからず、パッケージも見ないため、ブランドにこだわる傾向はさらに薄れる。ブランド名の検索はどんどん減っている。消費者が望むのはいくつかのブランドの価格を比較することで、アマゾンはその機会を提供しているのだ。アマゾンの、特にアレクサの手によるブランドの死の前兆が、検索項目の中に現れているのかもしれない。
アマゾンがアレクサからの注文を区別し、音声で注文した場合に価格を安く変更しています。電池のようなリピート商品では、アレクサは自社のプライベート・ブランドであるアマゾン・べーシックのものをレコメンドされます。サイトに他のブランドがいくつかあっても、その選択肢は教えません。この結果、ネット上の電池の売上げは、アマゾン・ベーシックが3分のーを占めているといいます。
ブランドを殺すものには名前がある。それはアレクサだ。
自社のプライベート・ブランドを小売が優先するのは当然ですが、アマゾンのやり方は凄まじいものがあります。アレクサは他のブランドの存在を教えてくれません。音声のオファーの前では、ブランドの価値はなくなり、アマゾンが売りたい商品が力を持ちます。アマゾンはブランドの利益を減らして消費者に還元することで、顧客からの支持を得ようとしています。
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アマゾンがマーケティングの世界を変え、一人勝ちできる理由。
いまや機は完全に熟した。アマゾンはゼロ・クリック注文への条件をすべてそろえている。Al、購入履歴、全米人口の45パーセントの住居20マイル以内にある倉庫、何百万ものSKU(在庫管理単位)、アレクサ、最大のクラウド/データ・サービス、460(まもなく何千にもなる)もの実際の店舗、そして世界で最も信頼されている消費者ブランド。
アマゾンは最新のテクノロジーと資本を駆使し、クリックいらずのビジネスモデルを構築し、ライバル企業を駆逐しています。アマゾンは小売業、メディア分野で世界的に優位に立つと同時に、すべての製品の配送を自社の飛行機、ドローン、自動走行車に切り替えようとしています。彼らは革新的な文化と無限の資本によって、今後も成長し続けるはずです。これだけ巨大で強くなったアマゾンに唯一抵抗できそうな存在として、著者はアリババをあげています。
デジタル時代は、その透明性とイノベーションで、心をターゲットにしたビジネスに宣戦布告をした。検索エンジンとユーザーレビューによって、ある程度の透明性が加わり、購入の意思決定からかなり感情が排除された。グーグルとアマゾンはブランド時代の終焉を予告している。消費者は神(グーグル)や、その従兄弟(アマゾン)の啓示を受けると、心に流されにくくなる。
デジタル時代のマーケティングは変わり始め、人々はアマゾンからレコメンドされたものを買うようになります。アレクサでのオーダーが普通になれば、消費財やこだわりの少ない商品は大きな影響を受けそうです。ブランドのパワーが落ちていく中で、企業がアマゾンと戦うためにはリアル店舗での CX(顧客体験)を重視しなければなりません。オンラインでは得られない買い物の楽しみを作らなければ、多くの企業が敗者になっていくはずです。逆に、顧客の心に訴える機会を作ることが、小売やメーカーの生き残りの鍵になるのです。
まとめ
私たちの生活はGAFAに支配されています。特に買い物においてはアマゾンの一人勝ちになりそうです。何かを買うときには、アマゾンで検索するのが当たり前になり、エコーの登場で音声でオファーするのことも増えています。この結果、ブランドの価値が毀損し、アマゾンでレコメンドされた商品が売れ筋になります。アマゾンに打ち勝つためには、CXを高めるなど買い物の楽しみを作らなければならないのです。
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