エンゲージメント4Pで顧客体験を高め、勝ち続けるアマゾンという存在。

セレクト

アマゾンといえど、「本」というモノを売るだけでは、本を買ってからの使用段階には入り込めない。唯一、本に対する任意のレビューデータを見るしかなかった。しかしキンドルというチャネルを待つことによって、アマゾンは「本(モノ)」ではなく、「読書(コト)」を提供し、顧客時間のすべてに関与できるようになった。(奥谷孝司、岩井琢磨)

顧客体験を増やすことで、顧客時間を入手したアマゾン

アマゾンは顧客とのタッチポイントをどんどん広げ、かつ頻度を高めています。新たな体験を提案し、習慣化させることで、アマゾンは顧客のデータを確実に蓄積しています。私は毎朝Amazon Echoに話しかけることから1日をスタートさせます。ニュースのチェックや脳を元気にする音楽を聞きながら、朝の準備をしていますが、この習慣もアマゾンには価値のあることなのです。読書もiPhoneのKindleアプリを使っているので、本好きの私は1日の多くの時間をアマゾンと共に過ごしています。便利な生活を私は日々送っていますが、その一方で私の好きな音楽や書籍、興味関心、時間までもがアマゾンによって丸裸にされているのです。

マーケティングにおいて、顧客時間を抑えることが重要になってきましたが、アマゾンは多くのデバイスで顧客の時間情報を得ています。アマゾンはWEBからKindle、Echoなどにチャネルシフトすることで、顧客の時間情報を入手し、事業を成長させてきたのです。最近ではリアル店舗などのオフラインにも進出し、顧客の時間軸を抑えています。

奥谷孝司、岩井琢磨氏の世界最先端のマーケティング 顧客とつながる企業のチャネルシフト戦略の中には、キンドルによる顧客時間の可能性が紹介されていました。アマゾンは選択データ、購入データ、使用データを活用することで、読者を囲い込んでいるのです。キンドルで読書をする人が増えることで、アマゾンは真のベストセラー(実際に何が読まれているか?)を把握できるようになったのです。この結果、顧客の時間を把握し、的確な提案で競合に打ち勝っています。「顧客時間のフレームワーク」に、「対話」というレイヤーを出現させることで顧客の購買頻度を高めています。

1、選択段階から得られる顧客の「選択データ」に対しては、直接的には情報による「販促提案」を行えます。アマゾンで本を探すと関連したレコメンド情報が表示されます。これは顧客の「選択段階での行動データ」を把握していないと、提案することができません。

2、購入段階に得られる顧客の「購入データ」に対しては、販促提案に加えて「価格提案」を行うことができます。キンドルでの特別価格やセール情報が表示され、購入金額を高めようとしています。さらにプライム会員になれば、月に1冊を無料で読めるようになります。読み放題のサブスクリプションモデルのkindle unlimitedも、購入者に対する強力な価格提案になっています。これも多くの顧客データをアマゾンが抑えているから可能になったのです。平均的な購入量などの「購入段階での行動データ」を把握していなければ、採算が合う形での価格提案をオファーすることはできません。

3、使用段階に得られる顧客の「使用データ」に対する提案もなされるようになります。今後アマゾンは自社オリジナルの商品を作って提案してくるはずです。顧客がどのような本を最後まで読み、評価しているのかを分析できれば、極論すれば顧客から高い支持を得られる小説や書籍自体を独自に出版できるようになるのです。売れ筋の作家を囲い込み、売れる可能性の高い作品を作家と読者と一緒に共創できるようになるのです。ベストセラーがアマゾンから生まれてくれば、既存の出版社のビジネスを侵食するはずです。

 

アマゾンはエンゲージメント4Pで顧客体験を高めている!

「チャネルシフト戦略」とは、 オンラインを基点としてオフラインに進出し、 顧客とのつながりを創り出すことによって、 マーケティング要素自体を変革しようとする戦い方である。

アマゾンは様々なチャネルシフトを行っています。この結果、顧客は他にはない購買体験によって、アマゾンとのつながりを深めています。アマゾンは様々なチャネルを通じて、顧客の行動を把握しているのです。顧客が今何を買い、何をしているかが一目瞭然になっています。

本書には「エンゲージメント4P」という新たな考え方が提示されています。エンゲージメント4Pというのは、Place( チャネル)、Promotion(販促)、Price(価格)、 Product(製品)のマーケティングの4Pを変革して、競合に打ち勝つ新たな戦略を作り出すことです。

前述のキンドルの事例が、まさにこのエンゲージメントの4Pなのです。キンドルというPlaceで、アマゾンは顧客データを活用することで様々な販促提案や価格提案を行っています。アマゾンはそれ以外のチャネルも組み合わせ、顧客を喜ばす提案を行っています。リアル書店のAmazon Booksでは、アマゾンの4つ星以上の本が、顧客が探しやすいように表紙が見えるように陳列されています。価格表示はなく、本のバーコードをスキャンすると、価格が表示される仕組みになっています。ここでは、「ダイナミックプライシング」が採用され、日々値段が変わるなどネットとリアルの境界をなくしています。実はプライム会員はここでも優遇され、安い価格で本を購入できるようになっています。書店の中でキンドルの試し読みができるなど、様々な顧客体験でアマゾンは顧客との絆を強めているのです。

今後、アマゾンは豊富な顧客データを活用して、新たなプロダクトを次々生み出すはずです。アマゾンのプライベートブランドはどんどん増えていますが、顧客の声を意識した強力な新製品が次々リリースされるはずです。書籍や映像というカテゴリーでも、アマゾン発のベストセラーが生み出されるはずです。顧客との「対話」を通じて開発された商品は顧客の支持を得やすく、Place発のエンゲージメント4Pによって、アマゾンはますます強いブランドになっていくのです。

まとめ

オンラインとオフラインの境界がなくなる中で、アマゾンの攻めの姿勢が際立っています。顧客体験を高めるエンゲージメントの4Pの戦略で、顧客との絆を高めています。アマゾンはネットとリアルの様々なPlaceで得た情報から販促や価格提案を行うだけでなく、商品提案も行えるようになっているのです。

ブロガー・ビジネスプロデューサーの徳本昌大の5冊目のiPhoneアプリ習慣術がKindle Unlimitedで読み放題です!ぜひ、ご一読ください。

 

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