高木修、立川哲夫氏のアマゾンを飲み込め! ネット通販で売上を伸ばす7つの戦略と21の鉄則の書評

世界ではすでにプライム会員が1億人を超えており、そのおよそ8割を抱えるアメリカのプライム会員における来店当たりの商品購入率は70%以上。驚くべき数字にけん引され、現在のアメリカEC市場におけるシェアは5割に近く、ほぼアマゾンの一人勝ち状態となっています。そのあおりをくったのが小売業です。アメリカではアマゾンの台頭によって実店舗の市場が徐々に侵食され、大手小売チェーンの閉店も相次いでいます。(高木修、立川哲夫)


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アマゾンによって変わる広告の未来

デス・バイ・アマゾンという言葉が、日本でも当たり前に使われるようになりました。アマゾンの影響力が増大するにしたがって、小売だけでなく、物流や飲食、広告産業にまで影響を及ぼしています。リアルの店舗では、売り場面積やストックスペースに限りがあるため、顧客が求める売れ筋を中心に陳列してきました。しかし、アマゾンのようなEコマースであれば、販売する商品の種類に限りはなく、ほぼ無限に商品を揃えられます。アマゾンは「ロングテール」の膨大な品揃えとテクノロジーの力で、競合を追い詰めていったのです。一番影響を受けているのがショッピングモールで、大手の小売が次々撤退する中で、その存在感を失っています。

リアルの小売店が減れば、卸売をメインに手がけているメーカーの販路も縮小していきます。そのため、メーカーはこれまでと違う戦略を強いられているのです。その影響は日本にも及んでいます。アマゾンを飲み込め! ネット通販で売上を伸ばす7つの戦略と21の鉄則の中で高木修、立川哲夫氏は買い物客が小売店で買い物をする頻度を明らかにしました。

アマゾンが小売店や消費者の買い物行動にどのような影響を与えているのかを調べた世界的な調査(世界29の国と地域、2万4000人以上のネット通販の購買者を対象に実施)の結果、「アマゾンによって小売店で買い物をする頻度が減った」と答えた人の割合がもっとも多かったのは、日本でした。世界の平均28%に対して、日本は39%と、アメリカの37%を上回ったのです。

アメリカでも日本でも、最近アマゾンの広告ビジネスが成長しています。特に消費財ビジネスの中で、数少ない右肩上がりの媒体であるアマゾンを販売のプラットフォームと考える企業が増えています。

アマゾンの検索結果ページを「デジタル商品の陳列棚」と考え、今まで実店舗での棚を取るために投じていた巨額の費用を、ネット通販に移行させているのです。

アメリカで「ECで商品を買う」という場合、まず最初にアマゾンで検索して探し始める人がネット通販全体の購入者の7割いるといわれています。書籍から家電、ファッション、食品、日用品まで扱うアイテムも幅広く、「アマゾン以外のウエブサイトで買い物をする頻度が減っている(18%)」「アマゾンでしか買い物をしない(10%)」など、世界的に見てもアマゾンの影響力のすごさがうかがえます。

企業側もウェブ広告予算として、グーグルに費やしてきた予算を、アマゾンに変更する例が多くなっています。アマゾンで広告費を使ったほうが、より効率的に商品が売れるのがその理由です。

グーグルは知りたい情報を検索するツールですから、検索結果によって商品を買ったかどうかはわかりません。一方、アマゾンは消費者の購入データをたくさん持っているために、検索広告が結果につながります。アマゾンのサイト内検索広告を行なったほうが、より高い精度で広告配信ができるのです。

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広告でもアマゾンシフトが起こっている?

ブランド企業が予算を使うということは、売上を上げることが目的です。グーグルより確実に売上につなぐことができる可能性があるアマゾンに広告を出す企業が増えていくのは必然なのかもしれません。

アメリカではアマゾン広告を意識した広告予算の配分が行われています。それを数字も裏ずけています。最近は多くの企業が検索広告の出稿先を、グーグルからアマゾンに移しています。Wall Street Jounalによると広告世界最大手の英WPPグループはは、2018年に3億ドルの広告費をアマゾンの検索広告に使いました。この金額の75%は、それまでグーグルの検索広告に使われていた予算でしたが、それがアマゾンに移ったのです。アメリカの最大手の広告代理店オムニコム・グループは、同社の顧客が検索広告に支出した金額の2~3割が、アマゾンの検索広告に使われたと述べています。

クライアントも広告会社も広告予算の見直しを行なっています。 
①すでに自社ブランドを好んで買っていただいているお客様を守るために使う予算(全体の約4割程度がベンチママーク)
②まだ好きなブランドを決めていないお客様を獲得する予算(全体の5割)
③他社のお客様を奪うための予算(全体の1割)

自社ブランドのファンであるほどレスポンス効率がよく、反対に、他社のファンを奪うのは非常に難しいためこのような予算配分を行うとよいでしょう。そして、この予算配分をアマゾンで計画的に行うと、面白いように結果が出せると著者は言います。

ネット通販では、ナショナルブランドは一度買った商品、ブランドを約75%の人がリピートするというデータがあります。まずは、指定ブランドのない顧客を獲得することが重要で、広告出稿でクリックを高めていくことで、顧客を獲得でいるようになります。広告と顧客のレビュー対策を組み合わせ、自社の検索結果を1位にすることで、アマゾンでの存在感が高まり、他の施策にも波及します。

アマゾンで目立つことで、リアル店舗での陳列場所も確保できるようになります。アマゾンでのコミュニケーション戦略を立案し、結果を出した企業がネットだけでなく、店頭でも存在感を増していきそうです。

まとめ

アマゾンの影響は広告業界にも影響を及ぼしています。アマゾンの検索広告やレビュー対策を行うことで、検索結果やクリックによい影響を及ぼします。アマゾンの検索結果が1位になれば、注目率が高まり、リアル店舗での棚も確保でき、売り上げアップをはかれるようになるのです。

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この記事を書いた人
徳本昌大

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
IoT、システム開発のビズライトテクノロジー 取締役
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数 

■著書
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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