エリック・カロニウスのなぜビジョナリーには未来が見えるのか? 成功者たちの思考法を脳科学で解き明かすの書評


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なぜビジョナリーには未来が見えるのか? 成功者たちの思考法を脳科学で解き明かす
著者:エリック・カロニウス
出版社:集英社

本書の要約

ビジョナリーには、「発見力」「想像力」「直感」「勇気と信念」「共有力」「運が良い」という共通点があります。彼らは目の前のチャンスを逃さないように、今ここの情報を見落とさないようにしています。能力やスキルだけでなく、強運が成功を左右します。

ビジョナリーに共通する6つの要素

ビジョナリーはみな運がいい。彼らは、巡りあわせがもたらす好機をすべて手にする。それも、一度だけでなく何度でも。(エリック・カロニウス)

ビジョナリーと言われる成功者の脳は普通の人たちのものとは異なります。彼らには「発見力」「想像力」「直感」「勇気と信念」「共有力」「運が良い」という共通点があります。この6つの要素を取り入れることで、脳のつながりが変わり、より良い結果を得られるようになります。脳はトレーニングできると捉え、ビジョナリーの行動を真似することで、成功確率を高められます。

「ビジョナリーとは普通の人が見落とすものを見つけられる人だ」と著者のエリック・カロニウスは言います。彼らは、他人が見落としていたものを見落とさない人たちなのです。ビジョナリーは頭の中で視覚する(想像する)ことで、新しいアイデアを次々に生み出します。そして、それを現実世界で使えるようにするために、自ら経験を繰り返し、アイデアの質を高めていくのです。

インスタントカメラを発明し、スティーブ・ジョブズも尊敬していたと言われるエドウィン・ランドは空想と現実を行き来することが重要だと言います。

いつも最初は空想から始まる。空想するときは、まず完成した状態を頭に思い描くといい。それから空想と現実を行き来しながら、細かい部分を仕上げていく。(エドウィン・ランド)

ランドにはポラロイドカメラの完成品が、ジョブズには最初からマッキントッシュの完成品が見えていたのです。

ビジョナリーは、自分の直感を信じ、圧倒的な行動力で、失敗など存在しないかのように、世の中を変えようとします。自らの夢を人々に熱く語り、共感力で周りを巻き込んでいきます。それだけでなく、彼らは運の力で成功を手に入れていきます。ジャーナリストの著者は、スティーブ・ジョブズやリチャード・ブランソンなどの取材を通じて、彼らの「脳力」を探り、それを私たちに伝えてくれました。

偶然を自分のものにする力

では、運とは何なのでしょうか?運が良くなるために、ビジョナリーは何をしているのでしょうか?多くのビジョナリーは偶然の力をものにし、成功を手に入れています。アンドリュー・カーネギーは、ドイツの鉄鋼業界に革命を起こした新型溶鉱炉の記事を目にしたから、その後鉄鋼王になれたのです。カーネギーホールがあるのも、この記事がスタートラインになっています。

ウォルト・ディズニーがカンザスシティで興したアニメーション制作会社が、倒産せずにそこそこの成功を収め、そのまま中西部にとどまっていたなら、もしかするとディスニーランドは生まれていなかったかもしれません。時代が過ぎ去り、そのディズニーを首になったジョン・ラセターを、エドウイン・キャットムルがルーカス・フィルムに引き入れることで、ピクサーのタネが生まれたのです。優秀なラセターが来なければ、ディズニーはピクサーとの関係に悩まずに済んだかもしれないのです。

私たちに身に起こることの多くは、スキル、準備の賜物ですが、偶然の力によって、結果が左右されることを忘れてはいけません。様々な偶然に翻弄されながら、それにどう対応するかで、結果が変わります。偶然の力が大きいと知っているビジョナリーは、好機を逃すまいと常に気を配っているのです。

あのブラック・スワンで有名なニコラス・タレブも「成功の最大の要因は粘り強さでもスキルでもなく運」だと主張しています。

敗者の墓場にも、勇敢さ、大胆さ、おおらかさなどの資質を持ち合わせた人が大勢いる。その数は、億万長者の数と変わらないだろう。もちろん、スキル的に劣る人はいる。しかし、勝者と敗者を分かつ要因は、実は一つしかない。それが運だ。単に運がよかったかどうかの違いなのだ。(ニコラス・タレブ)

スティーブ・ジョブズは、電子機器を自宅のガレージで開発する父親が多く住むエリアで育ったために、スティーブ・ウォズニアックや優秀な開発者に出会えたのです。自分が欲しい人は、実は自分の近くにいるのです。彼らの才能を見逃さないことも、強運な人が持っている能力なのです。

また、タイミングも幸運の重要な要素になります。最適なタイミングに最適な場所にいることがヒット商品を生み出すためには、必要です。その時が来るまで、ビジョナリーはあきらめません。打席に立つ回数が増えれば、機会が増え、より多くのチャンスを生み出せるようになります。

ジョブズは、アップルを去った後も、様々なチャレンジを続けます。そして、ルーカス・フィルムからピクサーをM&Aし、苦闘しながら、ついにはピクサー株をIPOさせることに成功します。当初、ピクサーをハード会社だと誤解し、危うくその資産をマイクロソフトに売るところでしたが、彼は最後の最後にコンピューター・アニメーションの未来に気づきます。本当に大切な価値を見落とさなかったことで、彼は再び資産家に戻り、アップルを強者に変える道を歩み始めたのです。ピクサーとの偶然がビジョナリーを復活させたのです。

この記事を書いた人
徳本昌大

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
IoT、システム開発のビズライトテクノロジー 取締役
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数 

■著書
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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