経営者が若い世代を活用した方が良い理由 神田昌典氏のマーケティング・ジャーニー 変容する世界で稼ぎ続ける羅針盤の書評


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マーケティング・ジャーニー 変容する世界で稼ぎ続ける羅針盤
著者:神田昌典
出版社:日本経済新聞出版社

本書の要約

会社を成長させたければ、経営者は時代の変化に適合すべきです。新しいテクノロジーを試すことで、若者世代との会話が進みます。若者のアイデアを取り入れ、ソーシャルメディアやコミュニティを活用することで、熱狂的な顧客を作れるようになります。

最新テクノロジーを活用する経営者になる!

リーダーが、未来のテクノロジーに好奇心を持たなくなった組織は、急速に衰える。マインドの高齢化を防ぎたいなら、スマートテクノロジーをひとつ取り入れることだ。意識の変革は、身につけるものを変えることから始まるのである。(神田昌典)

神田昌典氏のマーケティング・ジャーニー 変容する世界で稼ぎ続ける羅針盤書評を続けます。マーケティングとは顧客の痛みを減らし、自動的にモノやサービスが売れる仕組みをつくることです。そのために、経営者は自分のマインドセットを変えなければなりません。

経営者が新しい物を取り入れることで、若者との交流が進みます。神田氏はスマートウオッチを身につけている経営者は、還暦を超えても新しいものを取り入れることに抵抗がないと言います。そういった経営者のもとには有能な若手が集まり、事業を共に行えるようになります。

私がパーソナルブランディングで成功したきっかけは、日本でiPhoneが流行り始める前に、ビジネスアプリを紹介し、生産性を高める記事を書いたことです。そこから若い世代のアプリ開発者(経営者)と知り合い、彼らのアイデアを取り入れることで、デジタルシフトができました。ちなみに当時出会った会社は今では上場したり、大企業にMAされるなどしています。若い世代との交流が、私のネットワークをよりよくしてくれたのです。

既存のマーケティングの考え方に、デジタルやソーシャルメディアのメソッドを取り入れることで、私は自分という存在を差別化できました。

経営者が率先してツールを使えば、ツールの可能性に気づき、自社の新たなる可能性を見出せるようになります。新しいツールを使うことで、頭の中のシナプスのつながりが変わり、新しいアイデアが生まれます。当然、社内の生産性も高まりますから、一石二鳥どころか、三鳥、四鳥にもなるのです。

若手の力を伸ばす経営者になる!

顧客は、会社が提供した商品を消費するだけの存在ではない。そして社員もまた、会社が提供した商品を販売するだけの存在ではない。なにか輝くものスターをともに創り出していくプロセス自体が磁力になって、人々を魅了するようになったのである。

本書には急成長しているWEGO(ウィゴー)のケーススタディが紹介されています。WEGOは、1994年に創業した、10代・20代に人気のカジュアルブランドです。うちの娘たちがこのブランドをよく買うのですが、私はファストファッションの一ブランドだと誤認していました。同社は元々は古着ショップから始まったのですが、2014年には「WWDジャパン」の好きなブランドランキングで第1位に躍り出ました。 著名ブランドばかりが評価されるメディアで、このWEGOが評価されたのです。

店舗数は、2018年2月の時点で191店舗に拡大、年商は約10年前の45億円程度から、2018年には367億円に達しました。このWEGO成長の原動力を神田氏は、アパレルを超えたビジネスモデルで説明します。

WEGOの本質は、ユニクロのようなファッションのSPA(企画から製造、小売までを一貫して行うアパレルのビジネスモデル)ではなく、若者が思い切り自己表現できる一種の「メディア」だったのだ。 カリスマ店員を次々と輩出するのは偶然ではない。実は、 WEGOには、読者モデルをしている有名なカリスマ店員がたくさんいる。

WEGOは若者が自分を表現できるメディアで、ここから多くのスターを輩出しています。自社メディアをプラットフォームにすることで、コンテンツ・インクでビジネスを加速させています。

古川優香はショップの店員を卒業し、今では本格的なモデルとして活躍しており、ツイッターのフォロワーが95万人近い人気者です。モデルを兼務するカリスマ店員がたくさんいる同社は、ソーシャルメディアを起点にし、顧客をファンにしているのです。

実は、WEGOはレキシントンという芸能事務所を持ち、人気店員や読者モデル(読モ)のプロデュースをしています。ソニー・ミュージックエンタテインメントと組んで、読モが結成した音楽グループをバックアップもしているのです。自社でファッションショーを行うときには、デザイナーを主人公にするのではなく、カリスマ店員をメインにおくことで、ショーを顧客の身近なものに変えています。

WEGOには、人気の店員から、カリスマモデルやスターになれる階段が整っています。WEGOというメディアで働くこと自体が、自己表現の舞台になっているのです。魅力的な店員が集まり、彼らが自己表現を行うことで、そのライフスタイルに憧れた若者が商品を購入してくれるのです。

コンピュータ科学者のアレックス・ペントランドは、リアル世界での交流を持つ友人からのメッ セージは、ネット上だけで登録した友人からのメッセージよりも、4倍も大きな影響力があると言います。WEGOは友人のようなカリスマ店員からの発信で、爆発的に売り上げを伸ばしています。

また、同社は、読者モデルだけではなく、渡辺直美や若槻千夏などの人気タレントのプロデュースもしてきました。WEGOは自社メディアを通じて、魅力ある、個性的な人材を、次々にスターダムに上げることで、新たなファンを獲得し続けているのです。

ファンマーケティングやソーシャルメディアマーケティングを行うことで、売り上げは上がります。若い才能を開花させるために、彼らをメディアに主役にするのです。若者がつくるコンテンツが新しい顧客を連れてきてくれるのです。

 

この記事を書いた人
徳本

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数
iU 情報経営イノベーション専門職大学 特任教授 

■著書
「最強Appleフレームワーク」(時事通信)
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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