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FUTURE INTELLIGENCE ~これからの時代に求められる「クリエイティブ思考」が身につく10の習慣~
著者:スコット・バリー・カウフマン&キャロリン・グレゴワール
出版社:大和書房
本書の要約
天才とは好きなことに没頭し、時間を忘れるほど集中するフロー状態を作れる人たちであることがわかっています。彼らは「調和的な情熱」を持つことで、困難に直面してもやり遂げ、成長の過程で出会う多くの障害を克服することができ、卓越した結果を出しているのです。
フロー状態とコミュニティが天才を育む!
フローとは、完全に没頭し、幸福で、時間を忘れるほど集中した状態を指す。(スコット・バリー・カウフマン&キャロリン・グレゴワール)
心理学者のスコット・バリー・カウフマンと「ハフィントンポスト」のシニアライターのキャロリン・グレゴワールのFUTURE INTELLIGENCE ~これからの時代に求められる「クリエイティブ思考」が身につく10の習慣~を読み返しています。コロナ禍で時間ができたために、Kindleの表紙を見ながら、再読したい本をかたっぱしから、選び、刺激を自分に与えるようにしています。(以前のブログ記事はこちらから)
クリエイティブに思考が身につく習慣を著者たちは10セレクトし、それを本書で紹介しています。
■遊び
■情熱
■夢想
■孤独
■直感
■好奇心
■瞑想
■繊細
■逆境
■異端
今日はこの中から、「情熱」について取り上げたいと思います。
私たちは好きなことに没頭すること、フロー状態になることで結果を残せるようになります。子どもは遊び心と好奇心を持つことで、高いスキルを得ていきます。発達心理学者のエレン・ウィナーは天才児を研究し、才能に恵まれた子どもたちは「困難に直面してもやり遂げ、成長の過程で出会う多くの障害を克服することができる」と結論づけました。
『才能の有無とは、「うまくなりたいという強烈な熱意」を持てるかどうかで決まる』とウィナーは言います。さらにその努力に加えて、彼らは自分がしていることに強い愛着を持っています。彼らは外からの報酬や称賛よりも、すること自体に強い喜びを感じているのです。それをしている時には、桁外れの集中力を発揮し、心理学で言う「フロー」になっていました。完全に没頭し、幸福で、時間を忘れるほど集中した状態=フローになることで、人は結果を出せるようになります。
フローは、スポーツから音楽、物理学、宗教、スピリチュアリティ、にいたるさまざまな分野のパフォーマンスに大いに貢献しています。フローになる能力は、「うまくなりたい」という熱意から生まれます。マーサ・J・モアロックは並外れて賢い子どもたちを研究し、もっと学びたいという「脳の強烈な欲求」により、彼らはフロー状態を実現し、自分の能力を発揮していることを明らかにしました。
発達心理学者のベンジャミン・ブルームも、さまざまなジャンルの天才たちは、幼いころから並外れてそのジャンルに強い関心を持っていたと言います。子どもの並はずれて強い関心と理解の速さを知った親や仲間、メンターやコミュニティが、子どもたちを励まし支えることで、天才が生まれるのです。
人生において最もエネルギッシュでエキサイティングな瞬間は、出会いの一瞬だ。その時、それまでの葛藤や探求が突如として、目も眩むようなオーラを放つ、まったく新しい未来のイメージに変わる。(E・ポール・トランス)
E・ポール・トランスは、小学生に「一番好きなもの」は何かと尋ね、その後の成長ぶりを追跡調査しました。驚いたことに、小学生の多くはすでに何かに情熱を注いでいて、それは永続的で、成長するにつれて関心の度合いは高まっていったのです。ポール・トランスは、子どものころに学業成績が良かった社会的成功者と、天才的なクリエイターになった人を比較分析し、子どものころに何かに夢中になった人は、22年後も、創造性についてのさまざまなテストで高スコアを出しやすいことを発見しました。実のところ、大人になって、自分にとって意義があり公にも認められるような仕事ができるかどうかは、学業成績よりも、幼いころにどこまで夢にのめり込めたかによって予測できるのです。
もちろん、夢を持つだけでは不十分です。自分の将来のイメージがはっきりしていながら、それに夢中になって力を注ぐことができない人もいることは確かです。しかし、クリエイティブ思考の人々は、創造のプロセスそのものを想像したり、新しい形を創りあげたり、新しいアイデアや可能性を探ったりすることに夢中になっていることは間違いありません。
調和的な情熱で、結果を出すようにしよう!
想像力と恋に落ちれば、それがいかに自由な精神かということがわかるわ。わたしを、どこへでも連れて行ってくれるの。(アリス・ウォーカー)
『カラーパープル』の著者であるアリス・ウォーカーは、「自分は想像することに恋している」と言います。情熱は、クリエイティブ思考の人々にとって前に進むための力になります。
E・ポール・トランスは「情熱を探求することは、人間にとって最も重要な行為の一つ」だと確信しています。しかし、情熱を探求するだけは、素晴らしい結果を残せないことがわかっています。情熱は「量」だけでなく、その「質」にこだわることも重要です。
価値あるものを生み出すために必要なスキルを習熟するには、情熱だけでなく「努力」も必要です。心理学者のロバート・バレランドらは、情熱を「調和的」なものと「強迫的」なものの2つに分類しました。
■調和的な情熱(自分の一部になっている情熱)
■強迫的な情熱(誰かに認められたいという思いから生まれる情熱)
例えば、劇場で演じるという仕事の場合、「調和的な情熱」を持つ人々は、自分の情熱をコントロールできているように感じます。彼らは情熱に従っているのではなく、情熱と一体化しているのです。リハーサル中も本番で演じている時も、真の自己と調和しており、人生を豊かにする他の活動と両立できています。彼らにとって、演じることは内なる自己の延長であり、自分の一部になっているのです。
一方、「強迫的な情熱」を持つ人は、仕事への愛ゆえに努力するわけではありません。彼らは仕事を自分が社会に認められる根拠、自尊心の根拠と見なしています。そのため、仕事中に不安を覚えることが多く、他の人に負けてはならないというプレッシャーを常に感じています。そもそも、その仕事をしたいからしているのではなく、外的な報酬を動機として仕事に励んでいるのです。「強迫的な情熱」で動いていると、自尊心が活動に左右されてしまいます。彼らは人から評価されるために、頑張りすぎてしまいますが、結果を出せないために、ストレスを抱えてしまいます。
著者たちは、クリエイティブな人たちは調和的な情熱を持っていると指摘します。
「調和的な情熱」を持つ人は自ら創作に向かうのに対し、「強迫的な情熱」を持つ人は、外的な要因によって創作するよう追い立てられるのだ。この違いは重要だ。情熱の質は、仕事に最初から最後まで影響する。
演劇からバスケットボール、シンクロナイズドスイミング、クラシック音楽まで、多種多様な分野で高いパフォーマンスを目指す人が歩む道は2通りあることを、バレランドらは発見しました。
1番目の「調和的な情熱」の道は、王道です。この道では、見栄えの良さや名声、あるいは他者を打ち負かすことより、習熟と熟達、成長が重視されます。天才たちは、活力と前向きな気持ちと喜びを原動力にしています。対照的に、2番目の「強迫的な情熱」の道は、はるかに曲がりくねっています。この道は、時には達成しがいのある目的(世間に認められる、など)に彩られていますが、さらなる成長につながるはずの障害を迂回しようとします。人からの評価が基準になるため、活力と前向きな気持ちと喜びの度合いは低くなります。
結果を出したければ、本当に自分の好きなことに没頭し、それに喜びを感じるべきです。調和的情熱によって、やり抜く力は育まれ、自分が好きなことに集中できるのです。
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