出口治明氏の知的生産術の書評

物事を処理するには、些細で煩雑なことは切り捨てて、本質的なものを簡単明快につかむのがよい。本質でない小さなものに心を奪われると目がくらんで大切なものを逃してしまう。(椎名悦三郎)


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「サボりたい」という欲求がイノベーションを生み出した!

出口治明氏の知的生産術を読了しました。実は、人は怠けるためにイノベーションを起こしてきたのです。楽をしよう、時短をしたいという人の欲求がイノベーションを生み出したと出口氏は述べています。私たち日本人はもっと楽をすることを考え、自分の行動を見直した方が良さそうです。

そのヒントになる言葉が本書の冒頭に紹介されています。1972年に自由民主党副総裁だった椎名悦三郎の座右の銘は「省事」がそれで、彼は自分の時間を有効に活用することで結果を残していました。彼の省事の姿勢を見習うことで、私たちは生産性を高められるようになるのです。

「サボりたい」という気持ちからイノベーションが生まれたと捉えると、自分の好きなことを優先することが正しいと気持ちが整理できます。好きなこと、やりたいことを優先しようとすれば、人は仕事の時間をなんと減らそうとします。コンサートに行く、デートをするなどの目的があれば、残業をせずに就業中に仕事を終わらせようとします。この態度を日々続けることで、自分の頭で考え、行動できるようになり、生産性を高められるようになるのです。

歴史を紐解いても、この態度が正しいことがわかります。古代の地中海に繁栄をもたらしたカナン人は、紀元前19世紀ごろ、パレスティナからシナイ半島にかけて暮らしていました。この地域は、メソポタミアとエジプトの中間に位置し、両国との関係を良好にするために、彼らは文字でイノベーションを起こします。メソポタミアには楔形文字、エジプトにはヒエログリフという文字があり、彼らは両方の言葉を覚える必要があったのです。しかし、どちらの文字も難しく、両方を覚えるのは大変で、彼らはもっとラクに読み書きできる略字はないかと考え、アルファベットのもととなった「原力ナン文字」を考案したのです。

このように楽をして、時短につながることをすれば、「知的生産性」が高まり、自分の働き方を変えられます。「生産性を上げる」とは、「時間当たりの産出量を増やす」言い換えると「人が成長すること」と同義だと出口氏は指摘します。

生産性を上げるとは、
・「同じ仕事をより短い時間でこなすこと」
・「同じ時間でたくさんの量をこなすこと」
・「同じ時間で仕事の質を高めること」
であり、それはすなわち、人が「成長すること」なのです。

私たちの日本を再び成長さ得るためには、この考え方を取り入れるべきです。人口減少社会でGDPをアップするためには、生産性を高めるしかありません。デービッド・アトキンソンも同様の意見を述べていますが、GDPとは「人口×生産性」のことで、これを上げるためには、人口を増やすか、あるいは生産性を上げるしかありません。日本の人口を増やすことはほぼ不可能なので、日本人一人ひとりが自分の頭で考え、知的生産性を高めるしかないのです。

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考えてもしかたがないことは考えないようにしよう!

時間は有限で、1日は24時間しかありません。時間を有効に使うには、取捨選択が必要になります。僕の場合、取捨選択の基準は単純で、まず「好き、嫌い」です。(出口治明)

著者の出口氏は睡眠時間をまず7時間前後確保し、そこから1日を設計しています。次に食事の時間を3時間とり、残りの14時間で仕事とやりたいことの時間配分をします。「残業しない」ために、集中して8時間(2時間×4コマ)、就寝前に本を読む時間が最低でも1時間使うと、1日の残りはわずか5時間になってしまいます。

出口氏はこの残り5時間を「好きなもの順」で、取捨選択していくというのです。実は「好き、嫌い」で物事を決めると、モチベーションが高まります。私も会社をやめて、独立してから、好きなこと、好きな人としか仕事をしないと決めました。このルールのおかげで、私は日々の生活を楽しめるようになり、ストレスを低減できたのです。

当たり前ですが、好きなことは長続きし、それで結果を残せるようになります。「好きこそものの上手なれ」で、自分の好きなことの優先順位をあげることで、人生をエンジョイできるようになるのです。

AとBの2択があって、どちらも同じくらい「好き」な場合は、「コインの裏表」で決めます。選択肢が3つ以上あって、「どれも同じ程度に好き」ならば、あみだくじで決めます。情報を集め、期限を決めて考え、それでも結論が出なければ、あみだくじかコインの裏表で決めればいい。長々と考えるのは時間の無駄です。なぜかと言えば、AとBについて情報を集め、集中して考えても結論が出ないということは、AとBとの間にはそれほどの差がないということです。

時間は有限で大切な資産ですから、無駄に悩むのはやめましょう。数字やファクトを使い、ロジカルに考えれば、選択肢はいくつかに限られます。その中から一つの解答を選び出し、決めたことに集中すればよいのです。

結果を出すためには、行動の習慣化が欠かせません。そのためには、自分のやる気を高める必要があります。行動力の源泉を保つためには、腹落ちすることがポイントになります。自分の中の違和感がなくなれば、目の前のことに集中できるようになります。

仕事でも勉強でも、それほど好きではないことを続ける必要がある場合は、「腹落ち感」が原動力になります。「腹落ち(腹に落ちる)」とは、「本当に納得すること」「心の底から合点がいくこと」です。腹の中にしっかりと収まり、違和感もなく落ち着く状態を指しています。

腹落ちしたことを「言語化」すること、自分の行動ルール化することで、日々アクティブに動けるようになります。私は自分の行動ルールを書き出し、それを毎朝見直すことで、朝早くから動けるようになりました。自分のやりたいことを言語化(ビジョン)することで、行動がつらくなくなり、結果を残せるようになるのです。

まとめ

「楽しい」という感情が生産性を高めてくれます。自分のやりたいことを優先すれば、行動しやすくなり、結果を残せるようになります。好きなことを実現するためには、自分の頭で考えて、行動する必要があります。自分の頭で考え抜くことで、イノベーションが起こり、良質なアウトプットを出せるようになるのです。

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この記事を書いた人
徳本昌大

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
IoT、システム開発のビズライトテクノロジー 取締役
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数 

■著書
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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