渋沢栄一の現代語訳 論語と算盤の書評


現代語訳 論語と算盤

著者:渋沢栄一 翻訳:守屋淳
出版社:筑摩書房

本書の要約

渋沢栄一は、約500の企業の育成と約600の社会公共事業などに携わり「日本資本主義の父」と呼ばれています。彼は「道徳経済合一説」を説き、論語を経営に取り入れ、多くの経営者に影響を及ぼしました。人は得意な時に失敗しがちなので、気を緩めず、目の前の顧客を喜ばすことを考えるべきです。

得意な時の落とし穴に気をつけよう!

だいたいにおいて人のわざわいの多くは、得意なときに萌(きざ)してくる。得意なときは誰しも調子に乗ってしまう傾向があるから、わざわいはこの欠陥に喰い入ってくるのである。ならば世の中で生きていくには、この点に注意し、得意なときだからといって気持ちを緩めず、失意のときだからといって落胆せず、いつも同じ心構えで、道理を守り続けるように心掛けていくことが大切である。(渋沢栄一)

高橋源一郎氏の一億三千万人のための『論語』教室が話題になっています。この現代語訳を読んでいたら、渋沢栄一の論語と算盤が読みたくなり、本書のKindle版を購入しました。若い頃から何度も論語と算盤を読んできましたが、名著からは読むたびに気づきをもらえます。(渋沢栄一の関連記事

日本実業界の父と言われた渋沢は、「道徳経済合一説」を説き、生涯に約500もの企業に関わったといわれています。企業の目的が利潤の追求にあるとしても、その根底には道徳があることを忘れてはならないというのが、彼の経営思想でした。

私ごとで恐縮ですが、今年は良い年になるなと正月に期待を込めてスタートしました。海外事業の立ち上げなど、2月までは順調でしたが、ご多分に漏れず、今回のコロナショックによって、様々なビジネスに影響が出ました。外出禁止が続き、気持ちも落ち込みましたが、様々なトライを続けたおかげで、なんとかひどい目に合わずに済んでいます。これも、渋沢栄一の言葉が頭に残っていて、極度に落胆せずに行動できたからだと感謝しています。

得意な時に奢らず、失意の時にも極端に落ち込まずに、平常心を保つことが経営者には求められます。同時に「大きなこと」と「些細なこと」についても考える必要があると渋沢は言います。確かに、得意な時に、人は「些細なこと」を軽視してしまいます。しかし、ここには落とし穴があり、「些細なこと」への緻密な心がけを持たないと、思ってもいない失敗に見舞われてしまいます。

自分の力を過信し、あまり考えずに新規投資や採用を行うことで失敗する経営者を今まで私は何人も見てきました。事業を行う時には、様々な視点で、課題を発見しておかないと後で苦しむことになります。それを避けるためには、些細なことへの小心掛けが欠かせません。経営者は、大胆な行動と些細な心配りのバランスを取ることで、失敗を避けられます。自戒も込めて、些細な心配りを忘れないようにしたいと思います。

経営者は調子に乗るな!

また、「些細なこと」がかえって「大きなこと」となり、「大きなこと」が予想に反して「些細なこと」になる場合もあるから、大小にかかわらず、その性質をよく考慮して、その後でふさわしい取扱いをするよう心掛けるのがよいのである。これに加えて一言いっておきたいことは、人が調子に乗るのはよくないということだ。「名声とは、常に困難でいきづまった日々の苦闘のなかから生まれてくる。失敗とは、得意になっている時期にその原因が生まれる」と昔の人もいっているが、この言葉は真理である。

渋沢は多くの成功者は、心を引き締めて物事に当たっていると指摘します。困難な事態に直面しても、彼らは覚悟をもってこれに臨むことができたために、名声を勝ち得てきたのです。

世の中で成功者と呼ばれる人々は、必ず「あの困難をよくやり遂げた」「あの苦痛をよくやり抜いた」というような経験をしています。逆に失敗は、その多くが得意な時に兆しがあり、自信満々で対処しようとするから起こります。得意な時に、経営者は自分の実力を過信し、チェックが甘くなるため、予定通りに行かなくなり、落ちぶれてしまうのです。

ですから、得意な時にも調子に乗ることなく、「大きなこと」「些細なこと」に対してと同じ考えや判断をもって日々臨まなければならないのです。「小さなことは分別せよ。大きなことには驚くな」と言う水戸黄門の言葉は、まさに渋沢の考え方を表現しています。

商いとは飽きないことだとよく言われますが、日々、目の前の顧客を喜ばすことを考え、平常心を保つことが重要です。私の周りの優秀な経営者も目先のことに一喜一憂せず、今ここに集中し、顧客を幸せにする努力を続けています。

コロナ禍という厳しい時代ですが、様々な甘苦を乗り越えてきた渋沢の言葉を読むことで、元気をもらえます。こんな時代だからこそ、彼の言葉を信じ、行動し、周りの人を幸せにすることに注力しましょう。

この記事を書いた人
徳本昌大

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
IoT、システム開発のビズライトテクノロジー 取締役
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数 

■著書
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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