リップシャッツ信元夏代氏の世界のエリートは「自分のことば」で人を動かすの書評


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世界のエリートは「自分のことば」で人を動かす
著者:リップシャッツ信元夏代 
出版社:フォレスト出版

本書の要約

ビジネスで結果を出したいなら、自分の経験をストーリーにして語りましょう。ストーリーを語ることで、モノやサービスが購入されるだけでなく、あなた自身も応援されるようになります。その際、自分の失敗体験を織り込むようにし、どう復活したかを語ることで、相手の共感を得られます。

ビジネスパーソンはストーリーを語れ!

多くのビジネスパーソンは、自分の体験したことや、自分の身に起こったこ とを他人にシェアすることはあまりないかと思います。そんなことは個人的なことであって、語るに足りないことであると考えているかもしれません。しかし、そこにこそストーリーの鉱脈があるのです。(リップシャッツ信元夏代 )

フォレスト出版さんから本書を献本いただきました。著者はニューヨークのスピーチ大会で4連覇、世界トップ100入りを果たしたプロフェッショナルスピーカーとして活躍しています。そのノウハウが一冊に凝縮されているので、本書を読めば、自分らしいストーリーを語れるようになります。

あらゆるビジネパーソンには語るべきストーリーがあるはずなのに、積極的にストーリーを語ろうとしません。日本人は遠慮深く、自分には価値がないと考え、人前でストーリーを語ることを避けようとします。しかし、そんなネガティブな姿勢はやめた方がよさそうです。ストーリーは、天才的な起業家やビジネス界のレジェンドだけのものでなく、普通のビジネスパーソンも身に付けた方がよい大切なスキルなのです。では、どうすれば、自分らしいストーリーを人前で語れるようになるのでしょうか?

ストーリーを作ることは、自分の内側を掘り下げていく作業だと著者は言います。過去の個人的な経験や失敗を思い出し、内省を通じて、物語に紡いでいくのです。過去の苦労や気づきなどのパーソナルな体験をポジティブな視点で、ストーリーにすることで、人があなたに共感を覚え、あなたのために動いてくれるようになります。

営業プレゼンに抵抗を感じる人が増える中で、ビジネスパーソンはストーリーを語る力を鍛えるべきです。ましてや、Zoom会議が当たり前になるとパーソナルブランディングが重要になります。自分らしいストーリーを持っていることで、聞き手との距離を縮められます。人は事実よりストーリーを22倍覚えているとジェローム・シーモア・ブルナーも指摘していますから、ストーリーを活用して自分を語るようにしましょう。

ストーリーを語ることで、モノやサービスが購入されるだけでなく、あなた自身も応援されるようになります。本書には私が尊敬するアリババのジャック・マー(馬雲)の「未来予想図」が紹介されています。ジャックマーは「4つのF」を利用して、自分の失敗談をストーリーの流れに取り入れます。

他の起業家がビジネスプランや戦略を語る中で、マーは未来予想図(ビジョン)を語ることで、孫正義氏からの投資を受けることができたのです。

成功物語を勉強するな。失敗から学ぶべきだ。過去18年間、私たちは毎日失敗したリ拒絶されたりしてきました。拒絶されたら痛いのが当たリ前です。だからこそ夢に向かって愚かであり続け、闘い続けなければなりません。失敗を避けるのではなくて、失敗に立ち向かうことを学ぶのです。(ジャック・マー)

失敗をストーリー化することで、相手に共感を与えるだけでなく、行動のモチベーションも高めることができます。私も失敗する勇気をマーの話からもらえたことを思い出しました。

「4つのF」と「6つのC」を活用しよう。

失敗を恐れないこと。失敗は成長につながります。自分自身もたくさんの失敗をしてきたし、スーパーボウルで勝ったからといって、私は完壁でもスーパーマンでも何でもないのです。だから私は、自分の弱みのことを話す人には共感するし、耳を傾ける。弱みや苦悩を経ることは、成長のための機会なのです。(ニック・フォールズ)

聞き手が苦労しているような課題や問題意識を察知し、いかに自分たちもその苦労を経験してきたか、そこからどんな失敗やフラストレーションを経て解決策を見いだしてきたのか、そこを語ることで、「この人は/この会社は、われわれの苦労をわかってくれる」と共感し、人の心が動くものです。スーパーボウルで代役のクオーターバックとして勝利をつかんだニック・フォールズは、自分の弱身を伝えることで共感を得られました。

いかなるストーリーにおいても「4つのF」のいずれかの要素を組み込んでいくのが大切です。4つのFとは次のとおりです。
①Failures(失敗、過ち)
②Flaws(欠点)
③Frustrations(フラストレーンヨン・不満・苦悩)
④Firsts(初めての体験)

人は、お互い何かが足らないからこそ惹かれ合うものです。大成功を収めて完璧なように見える人の話は、自分とは遠い存在としてしか見えません。けれども、先の4つのFのような失敗談を聞くと、親近感がわき、「自分にもできるかも」「それをやってみよう」と思うようになるものです。

ニック・フォールズのインタビューから学べることは、自分の弱みや苦悩などをさらけ出すことで、聞き手の共感を得られるということです。過去を曝け出すをことは、つらいことかもしれませんが、それが共感の入り口になります。私はプロフィール紹介の時にかつてアル中だった体験談を必ずします。 アル中から立ち直り、社外取締役や著者になった話をすると聞き手は目を輝かせてくれます。この失敗体験を話すことで相手との距離が縮まり、私への関心が一気に高まります。もし、あなたの言葉が伝わらないのなら、失敗の4つのFを意識し、自分オリジナルのストーリーを作るようにしましょう。

3幕構成と6つのCの法則もストーリーに入れ込むことで、より相手の共感を得られます。
■3幕構成
第1幕 状況説明 
第2幕 コンフリクト(葛藤や困難)
第3幕 収束、ヒーローが勝利を得る

■6つのC
Character(登場人物)
Circumstance(状況設定、環境)
Conflict(困難、問題、障害、敵)
Cure(救済・解決)
Change(変化)
Carryout(収束・学び)

困難に打ち勝った経験を整理し、映画のような3幕構成でまとめてみましょう。その際、6つのCを入れ込むことで、人はあなたの体験談により共感を覚えます。自分独自のストーリーを語り、ファンを増やすことで、ビジネスはうまくいくようになるのです。

 

この記事を書いた人
徳本昌大

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
IoT、システム開発のビズライトテクノロジー 取締役
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数 

■著書
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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